北米インディアン生活誌●目次  

第1章 火を囲んで

第2章 獲物を追って

第3章 原野のスポーツ

第4章 偉大な神々

第5章 戦闘

第6章 植民地時代の戦場

第7章 アメリカ人と闘う

第8章 幌馬車と鉄の馬

第9章 白人の道



 僕の個人的な思い出話から始めよう。僕がこの本に初めて出会ったのは今から二〇年以上も前のことだった――というのは、この本、実は一九六九年に出版された『滅びゆくインディアン』という本の改訂復刻版なんだ。その本を開くと、そこには、わくわくするようなインディアン世界が広がっていた。それは、僕を夢中にさせる世界だった。僕は、ある時は森野少年狩人となってリスや鹿を追い、またある時は大平原の戦士となって馬を盗みに敵陣深くに侵入した。インディアン戦士の死をも恐れぬ武勇伝に胸を躍らせ、チーフたちの堂々たる雄弁にしびれた。そして、「彼女のことを想うと、体じゅうの力が抜けたような気がする」(第1章「スー族の求愛」)ってどんなふうになることか、ほどなく身を持って知るようになり、「なるほど、こういうことか」と思ったものだった。

 その頃、僕はまだ中学生。『モヒカン族の最後』という小説を読んで以来、インディアンに対する憧れを募らせ、彼らについてもっともっと知りたいと思ってはいたんだけれど、あの頃はインディアンに関する本なんてそう多くはなかった。そんな僕にとって『滅びゆくインディアン』は、彼らの生活や歴史を、分かりやすく、しかも楽しく教えてくれる、この上もなく有り難い書物だった。この本のおかげで、僕はインディアンの世界にますますのめり込んでいったのだった。

 だから、今回、この本が再び日の目を見て、僕はとっても嬉しい。というのも、この本の値打ちをよく知っているからだ。あの頃と違って、今ではインディアンの本なんて珍しくもない。特に最近はインディアンの本が一種のブームで、一年に一〇冊近くも新刊が出ている。そんな中で、この本は、北米インディアンについて初めて学ぶ人には分かりやすくて面白い入門書として推薦できるし、既にインディアンのことはひと通り識っている人にとっても価値の高いものだと思う。それは、ひとつにはこの本がインディアン自身が語ったものを編纂した本だからであり、もうひとつには、特定の地域のインディアンに限らず、多くの地域をカバーしているからだ。

 「インディアンのことなんか知って、なんになる?」という意見もあるかと思う。もっともな意見だ。他の国の先住民に関心を持つ前に、僕たちはまず自分の国の先住民の歴史や現状をもっとよく知らなくちゃならないといわれれば、返す言葉もない。でも、この本を読んでインディアンの生活や歴史を知ることは、僕には理屈抜きに楽しかった。世界の「先住民族」と呼ばれる人たちの中でも、インディアンほど親しまれている人たちは珍しい。そのことが良いことか悪いことかは別にして、彼らほど映画やテレビ、その他のさまざまなメディアに登場する先住民族はいないだろう。そのように親しまれているインディアンの本当の姿を知り、彼らの訴えに耳を傾けることは、インディアン以外の先住民族への理解を深めるのにもきっと役立つはずだ。この本が、そうした世界の先住民族への理解を深めるための入門書になってくれればと思う。

――横須賀孝弘「まえがき」より

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