●[東方 2000/9月号]
「著者が指摘するように、『改革・開放』政策の進展は少数民族に巨大な影響を与える可能性がある。市場の論理が導入されることによって、現実問題として少数民族は漢語を習得することが経済的利益をもたらす現実に直面しつつある。一方で、朝鮮族や雲南省のジンボー族(ビルマではカチンと呼称)のように、国境の向こう側の同一民族との交流が民族語の再評価を生み出す可能性もある。今後、どのように少数民族の民族教育が変化するか、著者の次回作が待ち望まれる。(谷垣真理子/東京大学教員)」
●[図書新聞 2000/3月25日号]
「一九一二年中華民国の成立以降、中国は国民国家への道のりを歩んできたが、いまなお国民形成の途上にある。いずれの国でも、国民形成を推し進める上で、国語や共通語の普及が大きな柱となるが、多民族国家中国において、国内の多様な民族集団とその固有の文化を国民国家と国民文化のなかに再編成する過程では、しばしば民族と国家、母語(民族語)と母国語(漢語)とのせめぎあいという形で矛盾が噴出してきた。……本書では中国国内の少数民族教育と言語政策の実状を、ミクロとマクロの双方から解明し、その全体像を明らかにするという、意欲的な試みがなされている。資料を丹念に収集・分析するとともに、吉林省の延辺、雲南、内モンゴル、新彊などの現地を精力的に歩かれた著者のバイタリティに敬服せずにはいられない。(曽士才/法政大学教員)」
●[週刊金曜日 2000/2月18日号]
「……地道で綿密な作業の結果、一見無味乾燥なデータの羅列から民族教育・言語政策の生々しい姿が浮かび上がってきている。著者の手になる各種図・表はそれぞれがひとつのレポートともいえるほどのものであり、今後の研究に裨益するだろう。第二に、文献調査とともに、『経済力も権威もない筆者』は中国人一般研究者と同様の方法で実際に少数民族地域に足を運び、その足跡は東北・西北・西南・内モンゴル等に及ぶ。臨地調査によって得られた情報は文献によって導き出された結果に融合され、本書をいっそう生動的なものとしている。(植田晃次・大阪大学教員)」
●[京都新聞 2000/1月9日]
「中国には政府が公認している少数民族が五十五あるが、これらの少数民族すべてに対する政府の教育と言語政策などの実態が紹介されている。……約二年間の中国留学で集めた資料や現地調査結果を詳細に分析している。」
●[社会新報 1999/12月22日]
「タイトルを見ると少しカタく、教育や言語政策の問題に限られているような印象も受けるが、実際に開いてみると、スケールの大きさと内容の豊かさに圧倒されてしまう。第一部の総論では、中国が五十五の少数民族を、どう承認してきたか、民族自治地方設立の経過や特徴など、今まで聞いたこともない『基本知識』や中国政府の教育・言語政策が、一世紀のスパンで全国レベルで説明されている。全九章からなる第二部は、朝鮮族やモンゴル族、チベット族、雲南省、貴州省など、各地、各民族の実態に焦点を当て歴史的背景も含めて詳細に紹介されている。(朴君愛/アジア・太平洋人権情報センター)」
●2000/10月28日]
こんな細かい記述ができたものだと驚いている。日本での「運動」がいかに狭い視野かよくわかる。(奈良市在住、教員、四七歳)