東チモール・抵抗するは勝利なり●目次 

 東チモールは、いま久々に国際問題として脚光を浴びている。
 ポルトガルの植民地支配から独立しようとした東チモールを、インドネシアが軍事占領して以来、二十三年半もの間、東チモールをめぐる問題は常に国際問題であった。にもかかわらず、日本や欧米諸国などのインドネシア支援諸国によって、ほとんど無視され、あるいはインドネシア国内の問題として取り扱われてきた。
 現在、東チモールがインドネシア自治領土となる案を受け入れるか否かをめぐって、民意を問う住民投票が実施予定となり、言葉ではごまかしのきかない国際問題として、関係諸国が直面せざるを得なくなっている。
 東チモールの抵抗運動は、未決着のポルトガル植民地支配とそれに覆いかぶさったインドネシアによる軍事占領からの解放を目指すものである。ポルトガルもインドネシアもそれぞれ独りでは海外領土を支配する能力がないにもかかわらず、それができたのは、これらの二つの国を利用して利益を得る西側諸国の“力”があったればこそである。ここに東チモール問題の本質があり、東チモール人が真に闘っている“相手”が存在する。したがって東チモール問題を見つめることで、わたしたちは世界をより広く深く見渡せる高台に立つ機会を得ることができるのだ。
 本書は、最近の約二年間、解放闘争を担う指導的立場にある人物と闘争を底辺で支える支える住民たちと交流するなかでまとめた記録である。――「まえがき」より


[目次]

はじめに

本書に登場する東チモールの主な組織名

第1部 一九七〇年代生まれの東チモール人
――オーストラリア・ダーウィンに住む難民の体験から

 第1章 抵抗と弾圧

ダーウィンの東チモール人/中心勢力は七〇年代生まれ
   妊娠中に日本軍に殺された女性/教師は軍関係者
   女子高生の「サンタクルスの虐殺」/少年時代から活動参加
   第一の責任国はポルトガル/一回目の逮捕と拷問/二回目の逮捕と拷問
   拷問のあとの取り調べ

 第2章 ボートでの脱出

準備開始/″順風丸″で、いざ出航/予想に反して波高し
   無事、オーストラリア海域へ/二〇年振りのボート難民、ダーウィンへ到着
   さかのぼって二〇年前/「うずら」の人びと/夢は看護婦

 第3章 運転手は危険な職業

運転手M君/拷問で死んだ父/運転手から金を搾り取るインドネシア警察官
   所持金なくば留置所ゆき/海外から弟と妹たちを養う

第2部 雨露に濡れる山――一九九七年後半

 第4章 生き残った者、再会できぬ者

J氏との再会/山麓から山中へ/包囲されているコニス=サンタナ司令官
   夜露の山道からゲリラ潜伏地へ/生死が不明確のデビッド=アレックス司令官

 第5章 闘争と言語
   ゲリラをかくまう山の民/ソモツォ司令官の経歴/母語と闘争言語

 第6章 「ノーベル平和賞」以降の東チモール

インドネシア軍を挑発した「ノーベル平和賞」/夜更かしは禁物
   インドネシア軍に従事する東チモール人/同胞を攻撃した同胞を受け入れる
   隠れ場所に満ちる東チモール

 第7章 次なる闘争世代

ゲリラにとけこむ子供たち/パンチャシラだけは嫌い/ロロ=サエを拝み、そして下山

第3部 追悼 ニノ=コニス=サンタナ司令官――一九九八年前半

 第8章 疲れを知らない戦士、逝く

遅れて入った突然の訃報/死因と発表の遅れ

 第9章 残した業績

持ち味/同胞たちへの統一の願い/政治的・軍事的プレゼンスの拡大強化と通信の再確立
   文化の担い手として/政治的解決を訴える

 第10章 コニス=サンタナの苦悩と要求

誤解された二つの伝言/自治権、それは最終的な解決ではない
   なぜインドネシアは交渉に応じないのか
   ポルトガルへ突きつけた要求――この仮説と向き合えるか

第4部 スハルト退陣以降の東チモール――一九九八年後半

 第11章 ぐらつき出したインドネシア支配

ついに退いたスハルト大統領/ハビビ政権の演出/相互依存
   じかに聞こえてきたシャナナの声/五月以降の初便り/真昼間の会合
   二種類の現実

 第12章 ハビビ政権に対応する抵抗組織

新指揮官・タウル=マタン=ルアク/少年時代はホテル勤務
   ホテル・ボーイからゲリラ参謀長へ/一番辛かったこと/闘う女性
    スハルトとハビビの違い/スハルトとハビビの共通点
   現実路線はインドネシアの利益/抵抗組織の新体制

 第13章 課題も新たに、東チモールの闘争は続く

CNRTの意義と課題/戦略としての移行期――自治領/内部矛盾
   解消とはいかないMとTの対立/解放闘争と宗教の微妙な関係
   弱者を利用する軍事支配/抵抗するは勝利なり

 ●日の出に向うロロ=サエの国――一九九九年の主な動向

 [1]シャナナ=グズマンの一九九九年・新年のメッセージ
 [2]オーストラリア政府の政策転換
 [3]インドネシア政府が東チモールの独立を口に出す
 [4]シャナナが獄中から軟禁状態へ
 [5]依然として東チモール人を暴力にさらすインドネシア軍
 [6]住民投票の問題点
 [7]先行き不安なインドネシア
 [8]CNRTの議長と副議長がジャカルタで対面
 [9]東チモールの運命は東チモール人のもの

 [資料] 闘争現場からの訴え
 [東チモールでインドネシア軍は何をしてきたか] ……ル=オロによる軍事報告
 [東チモールは国際社会に何を訴えてきたか]……タウル=マタン=ルアクから国連人権委員会への伝言
 [東チモールは海外の同胞に何を呼びかけてきたか]……コニス=サンタナから海外に離散している東チモール人への伝言

 東チモール地図
 東チモール解放闘争史年表


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