松岡環 編著

『南京戦 閉ざされた記憶を尋ねて』

書評より

●[てんとう虫 2004/6月号]

「この本を作ったすべての人を私は尊敬する。そして、よくぞ証言してくれたと元兵士にも感謝したい。この事実を闇に葬っては決してならない。未来の平和のために。(渡辺えり子=劇団主宰)」

●[朝日新聞 ポリティカにっぽん 2004/1月6日]

「日本の若き兵士が死んだ、殺されたというからには、相手側も死んだり殺されたりしているのが戦争である。例えば松岡環編著『南京戦』(社会評論社)の2冊の証言集をひもとけばよい。1冊目の『閉ざされた記憶を尋ねて』は02年8月15日に出版された。日本人兵士102人を小学校教員の松岡さんたちが一人一人訪ねて南京戦の体験を聴いた。……2冊目の『切り裂かれた受難者の魂』は03年8月15日に出版された。中国側の被害者120人の証言である。……小泉さん、特攻で死んだ若き日本青年たち、小泉さんの少し上の世代が『心ならずも命を落とした』のを悼むのはよい。しかし、そのときは相手側にも『心ならずも死んだ同胞』を悼むたくさんの人びとがいることを思ってほしい。(早野透=朝日新聞社コラムニスト)」

●[東京新聞 2002/12月22日]

「かつての戦争の時代、普通の兵士が何をしたのか。普通の市民による丹念な聞き書きが恐ろしいリアリティーを浮かび上がらせた。」(徐京植)

●[図書新聞 2002/10月12日号]

「『南京大虐殺』はあったのかなかったのか、これらの証言に接してなお、電卓でもたたきながら、私たちはそう問うのだろうか。六〇年以上の歳月を超えて、日本がまるごと『沈黙の村』にならないために、本書が達成したものは限りなく大きい。」(細見和之)

「本証言集は、別に職業をもった市民グループの面々が、四年余の歳月を費やし、土日その他の休日を全部それに献げて達成したところとして、私は高く評価し、できるだけ多くの識者の繙読を願いたいと思う。『専門家』と自称し、他称される諸君も、本証言集を避けて通ることはできないであろう。ただ、南京戦に参加した元兵士たちも、いちばん若くても、いまや八十歳代後半にはいっているはずである。その点、私は、この種の聞きとり調査としては、これが最後の機会ではなかったかと懼れる。」(津田道夫)

●[週刊文春「私の読書日記」 2002/9月19日号]

「語られる地獄絵巻も怖いが、さらに怖いのは、それを回想するのが、殺人鬼でも異常性格者でもない、ごく平凡な人々であるということ。殺される側の恐怖、無念、苦痛に対するおめでたいほどの鈍感さ。そして何よりも、多くの日本人が、世界が知るこの過去の恥部に顔を背け続けること。本書の中国語訳、韓国語訳が近々刊行されるのは、その意味でも意義深い。」(米原万里)

●[新文化 ニュー・パブリケーション 2002/8月1日号]

「本書は南京戦、とりわけ問題となっている『南京大虐殺』の糾弾を前面に出してはいない。多田その根底には、歴史の闇に消え去る前に、一方の当事者の口から事実を引き出し記録しておきたいという明確な意図がある。聞き取りは双方が普段使っている関西弁で、よもやま話を織りまぜながら根気よく行われた。しかし南京戦に話が及ぶと、急に黙り込んだり、怒りを露わにしたり、警戒する人もいた。
 ……これだけ多くの証言を集めた本はこれまで日本にはなく、研究の第一次資料として、また次の世代に事実の重みを伝える上でも貴重な労作である。」

●[毎日新聞関西版 2002/7月14日]

「日中戦争で南京攻略戦にかかわった旧日本軍の元兵士102人から、大阪府の市民団体『南京大虐殺60カ年全国連絡会』が聞き取り調査を行った。元兵士の証言はこれまで一部しかなかった。兵士ではない女性や子どもを無差別に殺し、捕虜の虐殺、性暴力、食糧などの略奪を繰り返していたことを生々しく証言している。」

●[朝日新聞 2002/7月13日夕刊]

「日中戦争時、南京攻略戦に従軍した日本軍兵士の証言集が8月に出版される。登場するのは102人の元兵士。60年余り前の記憶を呼び起こし、初めて『虐殺』を語ったという人がほとんどだ。一方、手柄話のように話を続ける人や、口を閉ざそうとしたり、虐殺の事実を否定したりする人もいる。これだけ多くの兵士の声が集められたことはこれまでなかった。
 ……聞き取りをまとめた松岡さんは『心から悔いている人はあまりに少なかった。ただ、記憶を呼び起こす中で、中国の被害者に人間らしい心を寄せて下さった方もいた』と話している。」

読者カードより

●[2004/3月4日]

本多勝一『中国の旅』『南京への旅』よりずっとマトモ。本当のことが書いてあるような気がする。しかしまだ「全体」が私自身には見えない。(神奈川県在住、公務員、43歳)

●[2004/2月2日]

本書を読んで、私の少年の頃の忘れられない時代を思い出しております。私の地元は炭鉱の町で、昭和十九年頃多く連行されて来て、坑内で重労働に従事させられ、毎日のように死亡した中国人をたくさん見ています。(熊本県在住、無職、72歳)

●[2003/6月20日]

南京大虐殺は日本が犯した恥ずべき歴史的事実で、誰もこれを否定することはできない。自由主義史観という、実際は居直り軍国主義史観としか思えない異常な史観の人とか、新しい歴史教科書をつくる会という訳の分からぬ人たちがこの事実を改竄しようとする。この本は、大虐殺の現場にいた兵士たちの証言で、いわゆる第一級の歴史資料、証拠資料である。四年間に亘る二五〇人への訪問は立派で、頭が下がります。(埼玉県在住、67歳)

●[2003/2月27日]

興味深く読み通しました。実態は、語られた内容以上に残酷だったのか……或いはこのとおりなのか……命令があって、仕方なく従ったのか、兵士個人の意志で行動したのか。真相は、これら全てを包含しており、我々は断片を知るのみなのでしょう。(北海道在住、公務員、46歳)

●[2003/1月4日]

大変立派な本だと思いますが、当用漢字にないものや地名・人名にルビをふった方がありがたいです。(秋田県在住、52歳)

●[2002/10月16日]

非常に貴重な労作である。(香川県在住、69歳)

●[2002/10月16日]

日本の歴史教育をもう一回見直す必要があると思います。日本人はもっと明治以降の歴史に目を向けるべきです。(静岡県在住、41歳)

●[2002/10月15日]

数年に亙る地道な取材による本書を読みだして、身の引き締まる、又戦慄を覚える、これぞ南京戦の真実を訴えるものとして価値ある本はない、と思いました。この本が多くの人に読まれる事を願わずにはいられません。殊に無責任な言論を弄ぶ一部の人に読んでもらいたいものです。(熊本県在住、71歳)

昭和31年に亡くなった主人の父は、事変従軍記章と、もうひとつ勲章をもっておりましたが、お酒を飲むといつも、わしは死ぬ死ぬ、と云って苦しんでおりました。この度この本を読み終わり分かりました。中国の人に残酷なことをしていたのですね。申し訳なかったのでしょう。その時の声が耳からはなれません。(兵庫県在住、67歳)

●[2002/10月14日]

南京虐殺はあったことなのに、なぜ日本は認めないのか、過去は認めた上で今を考えないと。(京都府在住、デザイナー、50歳)

●[2002/10月3日]

本書を読むと戦争はできない。いかなる戦いも、聖戦ではありえない。(兵庫県在住、大学職員、69歳)

私の父が揚子江の中華鉄道で船長をしていました。河の土手で父が土を少しけると、ほ骨が出てきたのを思い出しました。(広島県在住、72歳)

●[2002/10月2日]

全部吐き出してしまいたかったと思います。そして、戦争に行く前の身に戻りたかったと思います。(大阪府在住、自由業、53歳)

[2002/10月1日]

「私も海南島海軍軍属より、日本陸軍に入隊、以後広東迄作戦して入城。その後すぐ敗戦、捕虜になり二十一年復員。本文中にある事情はよくわかる。(新潟県在住、76歳)

●[2002/9月28日]

この本によって『南京大虐殺』の論争に完全に決着がついたと思う。(北海道在住、公務員、53歳)

●[2002/9月27日]

現在、北朝鮮による拉致事件が大きく報道されております。北朝鮮の行為は決して許されるものではないし、被害者と家族の怒りも当然と思います。しかし、又我々には、父や祖父の時代に、中国、朝鮮からもっと大規模に住民を拉致して来た歴史を忘れてはいけません。自分の痛みを声高に主張するなら、同じ大きさで自分の与えた痛みにも思いを致すべきです。(長野県在住、自営業、53歳)

●[2002/9月20日]

もっともっと早い時期に出版されることが必要であったと思いました。(福島県在住、無職、61歳)

●[2002/9月16日]

反吐が出そうな日本人の悪行狼藉。兵であったからなどという弁解はとおらない。編者の努力に敬意を表します。(長崎県在住、72歳)

●[2002/9月13日]

子供の頃の、南京陥落祝いの提灯行列と重ね合わせて読んだ。東洋平和の美名のもと、侵略戦争を起こし、天皇陛下の軍隊がここまで腐っていたかと思い知らされた。日本の文化、宗教、思想は孔孟の時代からすべて中国から学んだものである。その恩を仇で返す仕打ちで誠に申し訳ない気持ちだ。(滋賀県在住、元教員、77歳)

●[2002/9月12日]

南京戦のことは軍隊で聞いてはいたが、証言を聞いて事実がわかった。(長野県在住、司法書士、78歳)