人として忘れてはならない歴史がある――「南京戦・切りさかれた受難者の魂」出版によせて (田英夫)
第1部 はじめに
加害と被害のはざまで 松岡環
「雨花石」――張秀英お婆さんとの思い出
被害の事実調査を日中の協力で行う
元兵士の調査をし始めて被害者の集中的な調査の必要性を知る
被害証言の聞き取りの困難さ
国内の調査をしてはまた南京へ出かける
南京で暮らしている被害者の家を尋ねて
南京戦に参加した元日本兵からの聞き取り調査
集団虐殺は組織の命令、性暴力は軍隊組織の暗黙の了解なくしてはあり得ない
用語解説 林伯耀
南京安全区(難民区)国際委員会及び国際赤十字南京委員会
ミニー・ヴォートリン女史(華小姐)と南京金陵女子大学
保甲制
花姑娘
良民証
南京特務機関と「南京市自治委員会」
漢奸
ドンヤンシー
苦力
下関とイージャン門
中国軍とその編成
紅卍字会
南京の日本軍慰安所
新四軍
第2部 南京大虐殺――受難者は語る
1 揚子江の北側――浦口、大廠
村に攻め込んだ日本兵に強姦され、その間生後数か月の娘が焼き殺された・張秀英
日本兵は中国人を刺し、切り殺し、犬に噛みつかせて喜んでいた・許国鳳
女性への強姦の強要を拒否して父は銃殺された・王桂英
避難した浦口でも、下関に帰ってきても女性の悲鳴がよく聞こえていた・陳金華
日本兵は藁の山に銃剣を差し込み女性を見つけ出しては強姦した・雷慶鳳
日本兵が来て女性を追い回し強姦された女性が慰安所に閉じこめられた・宋香清・高秀華・邵文明
日本兵に花姑娘を知らないと答えて刀で刺された・銭伝興
浦口あたりの農村にも日本軍が来て家畜を盗っていった・蔡保家
2 揚子江南側――下関一帯〜燕子磯あたり
煤炭港で数百人の人が機関銃で掃射されるのを見た・徐端
火をつけられ命からがら逃げたが母親は焼き殺された・仇秀英
父は食べ物を探しに隠れ家から出て日本兵に殺された・孫素珍
野草摘みにでかけて少女たちは日本兵に輪姦された・陳文恵
舟や筏、身一つで揚子江を逃げる人でいっぱいだった・劉敬桂
三度も日本兵に捕まったが切り抜けた・謝桂英
逃げ遅れた若い女性が強姦されるのを見た・金秀英
日本兵に暴行を受けるより自殺しなさいと言われた・張月英
無数の死体が浮いており櫓にまとわりついた・陸宝珍
中山埠頭で大勢の男と共に集団虐殺され、死体の中から生き返った・楊紹栄
河面は死体でびっしり 中山埠頭三十一号で死体片付けをさせられた・季和平
幕府山の下で集団虐殺する機関銃の音がずっと聞こえていた・王振挙
掃蕩に遭い機関銃掃射が終わって出て見ると仲間が大勢殺されていた・朱芳海
下関で数千人の人といっしょに私は機関銃掃射された・劉永興
紅卍字会の父を手伝って死体処理をした・趙林生
日本兵が来ると聞いたのですぐ六合に逃げ 南京に戻ると日本兵に殴られた・許福田
戦後、煤炭港の河ざらいをすると、殺された人の骨がいくつもいくつも出てきた・任炳森
3 南京城内の国際安全区(難民区)
避難先の家から若い女性ばかり連行され十四人の日本兵に輪姦された娘もいた・陳桂英
街の中で中央軍の制服を着た男がなぶり殺しにされていた・熊秀芳
隠れている目の前で強姦が行われ金陵女子大へ逃げた・丁栄声
金陵女子大の正門から日本兵はトラックで女性を連れ出した・趙政蓮
国際安全区内に避難していたのに日本兵に強姦されてしまった・陶秀英
日本兵は花姑娘、花姑娘と叫びながら難民区の中を探し回っていた・張素珍
人力車夫だった父は難民区に帰る途中日本兵に捕まり殺された・朱鳳英
金陵女子大の華小姐のおかげで腎炎でも助かった・経智珍
金陵女子大の部屋の中で五、六人の日本兵が少女を輪姦した・呉秋英
親と離れて私だけが金陵女子大に長い間避難した・閻保貞
銃声がして父親は血を流して倒れていた・王順英
集団虐殺が始り隠れていた壁の穴で銃声を聞いていた・謝桂真
留守番に残った祖母の所に日本兵が何度もやってきて花姑娘を求めた・馬恵玲
夫は食べ物を探しに出て胸を刺し殺された・陳秀英
父は中央軍だと言われ銃で撃ち殺された・楊秀英
日本軍が入城して二日後に難民所から追い出され他の男は連行された・湛珊
華小姐は日本兵の強姦をやめさせようとしてビンタを張られた・屈慎行
悲嘆の内に父は衰弱死 私たちは金陵女子大で暮らした・張玉英
家族三人が同じ日に日本兵に殺された・胡燕影
五台山小学校で良民証をもらいに行って捕まり男たちは殺されていった・王明
日本兵にトラックで連行され機関銃掃射された・蒋坤
妊娠中の兄嫁が強姦され精神を病んで死んだ・候仁寿
窓から見ていると日本軍は大方巷から若者ばかりを連行していった・シュイ・チイ
街の中で死体はいくつも見た 女性の強姦もよく目にした・徐明
良民証を発行すると称して多くの男が連行され殺された・蔡雲龍
五台山小学校では男全員が外に連れ出され証明のないものは殺害された・姜永和
日本兵はサイコサイコと言って女性を追い回した・劉学孝
女子大に良民証をもらいに行くと男は引き出されていった・王金福
五台山小学校の運動場に並ばされた男たちは集団虐殺された・夏瑞栄
逃げた鎮江でも日本兵の暴行 南京に戻っても暴行を受けた・冷松海
日本兵は難民区に入ってきて逃げ遅れた女性を強姦した・陳万年・肖桂英
兄や叔父、従兄弟五人は連行後殺害 祖父母は目の前で刺殺された・伍正禧
4 南京城内の中南部
私を助け瀕死の重傷を負った父の前で私と母は陵辱された・楊明貞
私はまだ九歳だったのに、日本兵は私の帽子を取り押し倒した・張俊英
強姦を逃れるため母は死のうとして水に飛び込み、祖父母、父も撃ち殺された・戎秀英
義母が強姦された後、中華門外で生き埋めを見た・樊紅英
連行された父の後を追うと漢西門まで死体がいっぱいだった・周成英
日本兵は母を犯そうとして、じゃまな娘の目を突き刺した・孫学蘭
夫は中国兵といわれ顔を銃剣で突き刺された・劉秀英
貧しくて避難できないうちに、日本兵はやって来て食料を運ばされた・張余氏
父は連行、兄は追われ、弟は刺され、我が家の男は全て殺された・陸桂芳
夫は日本の旗を持たされ銃剣で刺し殺された・渠劉氏
句容から南京に戻るとき中華門で甥はいきなり殴られた・孔淑華
貧乏人は難民区まで行かず、家の近くの廟で近所の人と隠れていた・楊秀華
兄は即殺され叔父は連行され、路上も池も死体ばかりだった・張文英
南京に戻ってからも花姑娘狩りで夜中に日本兵が入ってきた・張鳳英
日本軍とは知らずお茶を出して迎えた母は撃ち殺された・胡偉
日本軍将校は母を何度も強姦 街中に死体が転がっていた・趙伝仁
強姦後虐殺された女性の死体をよく目にした・許志誠
隣家の娘が輪姦されるのを見ていた・孫鴻林
叔母さんが強姦に抗い刺し殺されるのを見た・陳徳寿
母は撃たれた私を抱えて日本兵から逃げ回った・付兆曾
日本兵に捕まり蕪湖まで強制労働させられた・伍必毅
5 南京南郊外――城外南部(中華門の南、南東地域)
十三人の家族が強姦され殺されるのを便所から覗いていた・曹秀蘭
日本兵に見つかり、兄は穴からはい出したところを切り殺され従兄弟は突き殺された・李秀華
日本兵は家を焼き女性を目の前で強姦した・鄭桂英
兄嫁は日本軍の駐屯地西善橋に何度も連行され性暴力を受けた・劉長英
日本兵はいきなり村人を殺し、女性を連行して強姦した・莫翠雲
逃げ遅れた劉Y頭は近くの家に連れ込まれて強姦された・孟秀英
日本兵はサーツォウウェイにやって来て藁山に火をつけ娘をあぶり出した・魯淑雲
若い娘を隠してくれた伯母が年寄りと思っていたのに強姦された・陳淑真
避難していた江心洲にも日本兵が女性を捕まえに来た・包孔華
莫愁湖あたりは死体でいっぱいだった・范秀英
地下に大穴を掘って隠れたが日本兵に村民は引き出された・楊桂珍
日本軍は花姑娘を求め家に火をつけた・呉宝珠
日本軍は花姑娘を探し出しては連れ込んで強姦した・尹桂芳
サーツォウウェイで女性が強姦後、撃たれたり刺し殺された・狄素珍
秦淮河の堤防に避難民何百人も並ばせて機関銃で掃射した・曹治発
日本軍は報復のため江心洲で集団虐殺をした・顔金栄
日本軍に出くわし従兄弟は銃殺 私は重傷を負い生き延びた・許経富
上海路付近で、二百名の警察官と共に機関銃集団虐殺にあった・陳家寿
兄が殺され、兄嫁が強姦、少女強姦も見、その後は奴隷化教育を受けた・王華治
隠れ家で女性が強姦され、別の日も輪姦を見るよう強要された・彭善栄
日本兵に捕まり江東門で銃殺死体を目撃し、目の前で次々殺されるのを見ていた・周長貴
サーツォウウェイに来た日本兵は繰り返し女性を強姦した・張定国
日本兵は江心洲にモーターのついた船でやって来た・任雲芝
日本兵は村へ来て、豚を盗り女を追い回していた・范徳保
江東門で日本軍の集団虐殺を目撃し、死体の片付けをさせられた・邱栄貴
日本兵は子どもに飴を与えて花姑娘を聞き出そうとした・曹広松
6 南京城より遠い郊外(安徽省、六合県、江寧県)
日本兵はやって来ると女性を強姦 夫の妹は強姦され続け気が狂った・王興蘭
従兄弟の嫁は輪姦されて衰弱死した・陳鳳英
早朝、村にやって来る日本兵に若い娘はよく強姦された・王愛雲
父は日本兵に銃殺され、母と二人で棺桶に入れた・戴玉珍
日本兵は花姑娘を捜して、いないと殺し隠しても殺した・塗文英
空爆で街の人は殺され、夫も日本兵に首を切られた・蔡王氏
兄嫁と近所の娘が八人の日本兵に輪姦された・張桐軒
江寧県の山の中にも日本兵は花姑娘を探しにきた・呉元秀
安徽省に逃げたが食べ物がなく二人の子は栄養失調で死んだ・厳丁氏
日本兵は郊外の六合でも村人を殺し強姦した・謝佩華
逃げて行った六合でも日本兵は農民を銃撃し、父は殺された・張殿雲
上流の南京から虐殺死体がどんどん流れてきた・劉聚才
十二、三歳の少女も捕まると駐屯地に連れて行かれた・王厚雲
日本兵はいきなり中国人を刺し殺し、道ばたにはたくさんの死体があった・ユイ・ユェンツェン
安徽省に避難していて村の自衛隊が日本軍に反撃した・韋朝卿
第3部 南京大虐殺と民族の記憶 林伯耀
1. 南京大虐殺は中国人にとって民族受難の象徴
2.民族の壮大な悲劇の体験
3. 受難者を二重に傷つける歴史修正主義者
4. 歴史の共有に向けて
付 『南京戦――閉ざされた記憶を尋ねて・元兵士102人の証言』から何が見えるか――東中野修道、阿羅健一氏らの中傷に応えて
あとがき
対中国侵略戦争年表