仕事と職場を協同で創ろう●目次  

第I部  ワ−カ−ズ・コ−プ 

 第1章 基本的な考え方と課題

  1.協同労働と協同組合
  2.ワ−カ−ズ・コ−プの台頭の背景
  3.ワ−カ−ズ・コ−プの成立しやすい分野と難しい分野
  4.ワ−カ−ズ・コ−プの課題

 第2章 町づくりの仕事そして夢

  1.電気技術者と町づくりの夢――九州ユニオン電設
  2.阪神大地震からの復興を手がける――建設労協
  3.シネマのあるまちづくりをめざして――シネマ・ワ−カ−ズ

第3章 人間社会のメイテナンス

  1.生協を基盤とする女性の仕事起こし――ワーカーズコープ・キュ−ビック
  2.精神医療の地域化の試み――秋田市中高年雇用福祉事業団   

第4章 地域交通の担い手

  1.ケアワ−カ−ズドライバ−を目指す――新三隈・セキ・宇佐参宮タクシ−
  2.国労闘争団が事業体づくりに込めるメッセ−ジ――国労音威子府闘争団

第5章 生活支援のテクノロジ− 開発 

  1.清掃技術の開発と清掃現場改革――企業組合・ひかり情報技術
  2.環境NGOビジネス――エコテック

第II部 シニア・コ−プ

第6章 元気のよい高齢者の社会参加

  1.高齢者観の転換
  2.高齢者協同組合の三つの目的

第7章 地域で自分の力を発揮できる場(三重と岡山)   

  1.開拓者――三重県高齢者生活協同組合
  2.老人力――岡山県高齢者協同組合
 

第8章 新しい公共圏をユニバーサル・デザインしよう(東京)

  1.交響楽「第九」の合唱――東京高齢者協同組合
  2.練馬の地域社会づくりの実験――練馬高齢者組合

第9章 女たちの活動が支える(大阪と沖繩)  

  1.ほっとステーション――大阪高齢協枚方事業所
  2.給食の宅配と安否確認――沖繩高齢者協同組合

第III部  協同社会への歩み

 第10章 日本労働者協同組合連合会の機能と課題

  1.センター事業団
  2.市民社会型労働運動への転換
  3.オルグ集団
  4.これからの課題

 第11章 ヨーロッパの支援組織の現況

  1.モンドラゴン協同組合グループの場合
  2.フランスの労働者生産協同組合の場合
  3.イタリアの場合

 第12章 日本人の長所を活かして市民社会をつくろう 

  1.異種の協同労働または協同組合の間の連携
  2.日本のワ−カ−ズ・コ−プについての海外知識人の感想
  3.日英のワ−カ−ズ・コ−プの比較
  4.協同組合セクタ−としての協同組合基本法
  5.結び
  ICA[協同組合のアイデンティティに関する声明」

あとがき

全国ワーカーズ・コレクティブ(コープ)一覧

日本労働者協同組合連合会加盟事業所一覧



 古典的な資本主義の社会では、労働者は資本家に雇用されて働くもの、労働者は企業経営などするものではないと自他ともに思いこんできた。そう思いこまされてきた。ところが生産過程や事業がシステム化されるにつれて、労働する者が協同労働によつて企業を経営する、つまり企業で働く労働者が企業の政策決定に参加し、生産、サ−ビスを管理し、社会に責任を持つのだという思想と現実条件が成熟してきた。ワ−カ−ズ・コ−プはその有力な実現形態として登場してきた。ことに不況と失業時代には、リストラにたいする自主的仕事起こしの対策となる。ワ−カ−ズ・コ−プは成熟資本主義ないしポスト工業資本主義社会のオルタナティブな企業形態として期待されている。

 コ−プかながわの「キュ−ビック」は、普通の女性組合員が働く場を作る例を示している。国労闘争団の報告は、基幹産業の労働者が集団解雇され、解雇撤回、職場復帰の長期間にわたる闘争を強いられる場合の自活の方策として、ワ−カ−ズ・コ−プを作って事業を始める実践記録である。「練馬の実験」は高齢者、身体障害者のケアをきっかけとする地域社会づくりの実験である。映画の分野でも「シネマ・ワ−カ−ズ」は、ハリウッド映画を大きいスクリ−ンと大音響装置のある豪奢な常設映画館で映写するのではなく、独立プロの訴える内容と個性のある映画を見たいひとの共同企画と集まりで映すことを進めている。

 これらの事例を通じて言えることは、ワ−カ−ズ・コ−プは生活と地域社会に結びつき、新しい社会の創造の担い手になりつつあることである。

 本書では「高齢者協同組合」にも注目した。介護を必要とする高齢者には、高齢者の相互介護や一人暮しの老人への食事の宅配への取り組みがすでに行なわれている。在宅介護の面で、家事支援やショ−ト・ステイ、さらにグル−プ・ホ−ムづくりが各地で推進されている。それよりも、高齢協の高齢協たるゆえんは、寝たきりにならないで元気を保持することへの取り組みにある。

 本書はワ−カ−ズ・コ−プとシニア・コ−プの真実の姿を理解していただくために、具体的に人間に注目した。そのため実践の経験を当事者たちに書いていただいた。どんな人がどんな動機で、それぞれのワ−カ−ズ・コ−プやシニア・コ−プをはじめたのか。そしてその結果、どんなことが起こりつつあるのかということを注視することにした。それらはまた、会社人間が地域の住民として、人の子の親として、また夫として妻として家族を取り戻す組織論をも提示している。

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