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日本植民地教育の展開と朝鮮民衆の対応
佐野通夫
The Development of Education of Colonial Japan and the Response of Korean Public.
Michio Sano

朝鮮人自らがつくった教育機関を否定し、日本語教育へと置き換えた日本の植民地教育。1920年代に「忌避」から「受容」へと転換したかのように見えたが、その底流には、朝鮮民衆の教育要求である民族教育が脈々と流れていた。解放後の教育へと接続した「受容」の中の抵抗を読み取る実証研究。

2月22日

A5判★542頁★7500円+税
ISBN4-7845-0288-2

目 次:
  序 章 先行研究の検討と本書の課題
第1章 朝鮮における植民地教育政策の展開
   第一節 植民地教員養成体制の形成
    1 朝鮮における近代学校の成立(一八七〇年代〜一八九四年)
    2 植民地教育の展開過程
     第一期 日本の朝鮮教育支配準備期(一八九四年〜一九一〇年)
     第二期 武断統治期(一九一〇年〜一九一九年)
     第三期 文化政治期(一九一九年〜一九三一年)
     第四期 戦時体制期(一九三一年〜一九四五年)
    3 日本からの流入教員
   第二節 植民地朝鮮における歴史教育の展開
    1 植民地朝鮮における歴史教育制度の展開過程
     第一期 日本の朝鮮教育支配準備期
     第二期 武断統治期
     第三期 文化政治期
     第四期 戦時体制期
    2 歴史教科書の内容検討
   第三節 植民地朝鮮における修身教育の展開
    1 祝祭日儀礼の展開過程
    2 天皇写真の配付過程
    3 修身教科書の内容検討
   小括
第2章 植民地教育の「忌避」から「受容」への転換
     −一九二〇年代における「教育熱」の考察を中心に
   第一節 朝鮮総督府の教育政策への朝鮮民衆の対応
    1 植民地化初期の日本の学校への忌避
    2 一九二〇年代の「教育熱」
    3 日本人・朝鮮人の相互入学と男女構成から見る教育の受容
   第二節 「忌避」から「受容」への転換の意味
       −一九二〇年代民族系新聞記事を通して
  1 民族系新聞の発刊
  2 一九二〇年代の教育状況と民族系新聞
    (1) 教育機会拡大の要求
    (2) 教育内容、教授用語についての要求
    (3) 朝鮮人・日本人の共学反対を軸にした学校制度への要求
    (4) 進学機会、大学設立の要求
    (5) 社会教育活動、また学生への勧め等
   小括
第3章 植民地末期における教育政策
   第一節 茗荷谷文書について
   第二節 義務教育制度実施と朝鮮民衆
   第三節 戦時下の中等教育政策
   小括
第4章 アメリカ軍政下南朝鮮における植民地教育の払拭過程
   第一節 解放直後の南朝鮮教育の諸相
    1 教育の拡大と教育制度の整備
    2 解放にともなう教育課題と教育条件
    3 高等教育の整備−国立ソウル大学校の開校
    4 解放後の教科書作成
   第二節 韓国における教育自治制度の導入と展開
    1 日本植民地時代の教育行政制度
    2 教育自治制度の登場
    3 教育法の成立と軍政法令との比較
   小括



第5章 在日朝鮮人教育に見る植民地教育遺制と朝鮮民衆の対応
   第一節 在日朝鮮人教育の成立
   第二節 継続する植民地教育体制
   小括
終章

資料 日本統治下における朝鮮人の教育要求
   (1) 教育機会拡大の要求
    初学者の入学試験 教育界に重大な問題 普通学級一年級に入学試験 崩れた学校を直す力もない
    朝鮮教育について(一)
    朝鮮教育について(四)
    京城府学校費予算と普通教育(一) 府債の発行に一層の勇断を
    京城府学校費予算と普通教育(二) 府債の発行に一層の勇断を
    ああ、父兄に告げる 行くところのない学童のために
     私学奨励 中等学校待遇改善
     学校費納付について再論する 義務を実行し権利を要求せよ
     私立育英学校不許可 学務当局の非常識
     入学難をいかにすべきか(上) 当局の責任
     普通学校の生徒激減
     道に外れた教育方針 平安南道が普通学校の学年延長を抑圧
    (2) 教育内容、教授用語についての要求
     朝鮮人の教育用語を日本語に強制することを廃止せよ(上)
     朝鮮人の教育用語を日本語に強制することを廃止せよ(中)
     朝鮮人の教育用語を日本語に強制することを廃止せよ(下)
     朝鮮教育について(二)
     朝鮮教育について(三)
     教育用日本語について
     教育用語について再論する(中) 能力発達を目標に、朝鮮語に決定せよ
     教育用語について再論する(下) 政治は日時を要する
     歴史教育について(続) 事実は事実のとおり 朝鮮史は朝鮮史のとおり
     普校教育と朝鮮語
     征服教育の誤算
     朝鮮人と国語問題
    (3) 朝鮮人・日本人の共学反対を軸にした学校制度への要求
     教育調査委員会開会に際して委員諸氏に与える 与論を基礎に根本的大針を定めよ
     共学問題について 教育を道具視するな
     学務当局に告げる 教育令審議について
     共学問題についてさらに論ずる 総督府の譲歩
     新教育令発布(上) 可否の両端
     新教育令の実施について 学務当局の態度
   (4) 進学機会、大学設立の要求
     朝鮮大学予科の入学試験について 教育家の奮起を促す
     大学予科入学試験について 当局者の一考を促す
     朝鮮教育に関する誠意は如何
   (5) 社会教育活動、また学生への勧め等
    学期時感 卒業者と入学者
    欧米留学を勧める 新学期に際して

  参考文献
  あとがき
  索引

佐野通夫(さのみちお) 1954年生まれ。
私大教員。 著書に、『近代日本の教育と朝鮮』(社会評論社、1993年)、『アフリカの街角 から』(同、1998年)、編著に、『〈知〉の植民地支配』(同、1998年)、『人権の新しい地平』(学術図書、2003年)、共著に、会沢勲編著『アジアの交差点−在日外国人と地域社会』(増補改訂版、社会評論社、1996年)、芹野陽一編著『〈家族〉からの離脱』(社会評論社、1997年)などがある


書評

[教育学研究第74巻 2007年3月]

多面的な幅広い研究文献の渉猟と独自の資料発掘と分析を試み、著者の地道な研究が反映されている。後出の参考文献は多岐に亘り、その努力の跡が伺われる。とくに「忌避」から「受容」という概念を用い、一連の民衆の教育熱を基軸に植民地期と解放期の連続性を見いだそうとした点は独自である。また資料として添えられた民族系新聞の教育記事は、これからの植民地教育研究にとって貴重な素材となるであろう。


「アジア教育創刊号2007」
民衆の側からの教育への反応を見る視点の重要性、さらには、植民地期後とのつながりを検討する必要性を実証した本書は、多くの示唆を与え、かつ植民地教育史研究を大きく前進させてくれるものである。

 

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●開設 1998年12月31日
 ●最終更新日 2006年 3月6日