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ある日本兵の二つの戦場
近藤一の終わらない戦争
内海愛子・石田米子・加藤修弘編
A Japanese Soldier's Two Battlefields
Edited by Aiko Utsumi, Yoneko Ishida, Nobuhiro Kato

沖縄戦の生き残り兵士の近藤さんは、「捨てられた兵隊」の悲惨さを語りつぐなかで、中国大陸で自分たちが何をしてきたかということに向き合うことになる。「初年兵教育」としての中国人刺殺から沖縄戦の悲劇に至る、一皇軍兵士の「加害と被害」体験の聞き書き。

1月19日

A5判★400頁★2800円+税
ISBN4-7845-0557-1
第一部……近藤一の証言
[1]証言−戦争に向きあいながら今を生きる
私が語り部を初めたきっかけ
中国の戦場で
兵隊暮らしが続く
沖縄の戦場で

[2]「近藤さんの戦争」を見つめ、考えるために
中国山西省
沖縄
語り部

第二部
[3]近藤一さんの忘れられない人々・忘れられない時



[4]近藤一さんと出会って−加害・被害への向き合い方
私の沖縄戦体験と近藤一さん
近藤一さんと辿った沖縄戦跡
近藤一さんと歩いた山西省の戦場跡
−日本軍兵士の娘として 加害の現場に立つということ
一枚の手紙からはじまった旅

[5]山西省の人々の記憶・記録の中の独混四旅十三大隊
−ともに歩いたかつての戦場での人々の証言から
近藤さんの山西省における戦場の被害に関する中国側資料の記録・記述

[あとがきにかえて]「兵士」の戦争への向き合い方
うつみ・あいこ 1941年生れ。 恵泉女学園大学教授『朝鮮人BC級戦犯の記録』(勁草書房、1982)、『戦後補償から考えるアジア』(山川出版社、2002)、『スガモプリズン 戦犯たちの平和運動』(吉川弘文館、2004)ほか。

いしだ・よねこ 1935年生 岡山大学名誉教授『黄土の村の性暴力』[共編著](創土社、2004)、「沈黙を強いる構造と自尊感情を回復する関係」(『岡山部落解放研究所紀要』第13号、2004.5所収)ほか。

かとう・のぶひろ 1943年生 都立高校教員『流れ坑夫 大井兼雄さんについての覚書』(1987)、「大娘たちの村を襲った戦争」(『黄土の村の性暴力』所収)ほか。


書評


●[歴史学研究 第813号]
「その[戦闘の]究極の結末は、人間の殺戮である。国家や集団の生き残りにかんするイデオロギーの問題や政治問題がどうであっても、敵と接触した一人の兵隊を動かす動機は、自分を殺そうとする者たちを殺さなければならないということである。戦闘行為の根底にあるのはこの単純な精神にうらづけられた衝動にほかならない」。戦場で戦闘する兵士にとっては連合国軍も日本軍も関係なく、ただ人間を殺すという一点に全神経を集中させる。そういう状況を作り出してはならない。そのためにはどう考えどう行動すればよいのか、近藤一の語りを中心に構成された本書は、このことを我々に問いかけている。

[評者 松村高夫]

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●開設 1998年12月31日
 ●最終更新日 2005年 4月 20日