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日本の植民地図書館
アジアにおける近代図書館史
加藤一夫、河田いこひ、東條文規
Libraries in Colonial Japan
Modern History of Libraries in Asia
Written by Kazuo Kato, Ikohi Kawada, Fuminori Tojo

北海道・沖縄、台湾、朝鮮、「満州」、南方日本が侵略・占領した地域に作られた図書館。それは「皇民化政策」と文化支配の重要な装置であった。現地で「腕を磨いた」図書館員たちは、戦後図書館界の再出発にあたり、中心的な役割を果たしていった。図書館司書・元司書らによる共同研究が明らかにする、知られざる図書館の歴史と戦争責任。

5月25日

46判★408頁★4200円+税
ISBN4-7845-0559-8

第1章 日本の近代国家と図書館
西欧の図書館の紹介/近代学校教育と図書館/帝国図書館の創設/大日本教育会図書館/地方改良運動のなかの図書館/小松原訓令と日本図書館協会/中央図書館制度/天皇制と図書館/「御大典」と図書館/日本図書館協会と松本喜一/思想善導運動と図書館

第2章 内国植民地・樺太の図書館
内国植民地の図書館/北海道の図書館/沖縄の図書館/樺太の図書館

第3章 台湾の図書館
台湾統治の性格/台湾近代図書館の出発/台湾総督府図書館の設立/図書館行政の開始/台湾総督府図書館/発展する地方公共図書館/台湾教育政策の展開と学校・大学図書館/台湾図書館協会の設立/全国図書館協議会/霧社事件と国際社会での孤立:戦時体制へ/「皇民化政策」と図書館の対応/『台中州図書館報』にみる図書館と図書館員/日本の敗戦と戦後の台湾

第4章 満州の図書館
満鉄/満鉄調査部/満鉄の図書館/大連図書館/奉天図書館/哈爾浜図書館

第5章 朝鮮の図書館
朝鮮支配と図書館/武断統治期の文教政策/武断統治期の言論政策/直接支配後期

第6章 植民地中国の図書館
「満州国」と中国占領地域の図書館/満州国立奉天図書館/北京近代科学図書館/上海近代科学図書館/天津日本図書館/東亜同文書院:幻の図書館/植民地中国での図書接収問題



第7章 南方地域の図書館
南洋問題と図書館/南方調査・情報収集の拠点としての台湾/「南方資料館」の活動/日本軍の南洋制圧/図書館・博物館の接収:田中館秀三の活動/日本軍のシンガポール侵攻:ラッフルズ図書館・博物館の接収/図書収集活動と資料保護/図書・研究資料の略奪と返還問題/GHQによる掠奪資料の返還指令

第8章 戦争と図書館界の対応
シベリア出兵慰問図書送付運動/満鉄図書館の慰問図書/日本図書館協会の慰問図書/満州事変慰問図書/植民地での図書館大会/国民精神総動員運動と図書館/「紀元二六〇〇年」祝典と植民地図書館/『図書館雑誌』の中のアジア

植民地図書館略年表

加藤一夫(かとう・かずお)
1941年北海道生まれ。1970〜92年、国立国会図書館職員。その後静岡精華短期大学教授を経て、現在は静岡福祉大学教授(学長)。中東欧近代史・民族問題・国際社会論が専門で、ポーランドを中心に旧社会主義体制の研究を行い、『歴史の転換と民族問題』(御茶の水書房、1993年)、『エスノナショナリズムの胎動』(論創社、2000年)など多数の著書がある。図書館関係については『記憶装置の解体』(エスエル出版会、1989年)、『情報社会の対蹠地点』(社会評論社、1992年)など。植民地図書館については70年代末から関心をもち調査研究を続けてきた。

河田いこひ(かわた・いこい)
1941年生まれ。本書関係論文「オゾ文庫 満鉄に買い取られたロシア軍所属図書館」(『近現代東北アジア地域史研究会News Letter』第7号、1995年)、「植民地図書館の三つのエピソード」(『ず・ぼん』第3号、1996年)、「一九一○年の焚書」(『季刊三千里』第47号、1986年)。

東條文規(とうじょう・ふみのり)
1948年大阪生まれ。1975年から四国学院大学・短期大学図書館勤務。『ず・ぼん』編集委員。著書『図書館の近代私論・図書館はこうして大きくなった』(ポット出版、1999年)、論文「図書館が『紀元二千六百年』にかけた夢」(『ず・ぼん』第8号、2002年)、「お年寄りとともに 四国学院短期大学の試み」(『短期大学図書館研究』第22号、2002年)ほか。

書評

●[図書新聞 2005/9/3

加藤一夫、河田いこひ、東條文規『日本の植民地図書館』

「ところでこの「外地」であるが、その来歴や統治形態など千差万別であり、ひと括りにするには無理がある。そこで経営された図書館も、その設置目的や利用対象などさまざまで、一概に述べることは難しい。その難事業に挑み、戦前期日本が近隣アジア諸国で経営した植民地図書館の活動を概説したのが本書である。」


●[北海道新聞 2005/7/24

加藤一夫、河田いこひ、東條文規『日本の植民地図書館』

「戦前、日本が侵略・占領したアジア各地に作られた図書館に、初めて焦点を当てた日本近代図書館史。内国植民地として北海道、樺太の図書館にも触れている。」


●[日本経済新聞 2005/7/17

加藤一夫、河田いこひ、東條文規『日本の植民地図書館』

「前略〜そこから見えてくるのは支配層のための道具、もしくは大衆を強化するための装置としての図書館だ。それは日本が近代化の中で、図書館を社会的にどう位置付けてきたかの投影でもあった。学校教育が第一で、図書館はそれを補助し、思想を善導する機関としての役割を負っていた。だから日本国内では到底実現できない、理想の姿を旧植民地に求めた図書館人もいた。翻って、そうした歴史を歩んだ日本の図書館は大戦を経て転換を遂げたのか。著者は否定的である。改めて、図書館とは何かを考えさせる。」


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●開設 1998年12月31日
 ●最終更新日 2005年 6月16日