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ナチス・ドイツの強制労働と戦後処理
国際関係における真相の解明と「記憶・責任・未来」基金
田村光彰
Erinnerung, Verantwortung und Zukunft
Written by Mitsuaki Tamura
ナチス・ドイツによって強制連行され、生死の境目で労働させられ、敗戦と共に放置された異国や占領地の人びと。2000年7月、強制労働者に補償を行なう財団が正式に発足した。それは、加害の歴史を直視するドイツ市民と、被害者・遺族の尊厳を取り戻すための闘いの成果だった。
2006年6月22日 |
A5判★280頁★3400円+税
ISBN4-7845-1322-1
第一章●ドイツの歴史認識はどう進んだか
1 歴史認識の大筋
2 記憶の抹殺と沈黙
3 ドラマ『ホロコースト』の衝撃
(1)「テレビ史上、最も重要な日」
(2)『ホロコースト』のもたらした歴史認識
4 ヴァイツゼッカー大統領演説と歴史家論争
5 基金の設立
第二章●強制労働
1─強制労働の実態
1 体験を語る
(1)ボッシュ社
(2)フォード社
(3)IG―ファルベン社
(4)企業の「被害者」論
2 強制労働者の由来
3 出身国別の強制労働者
(1)チェコ
(2)ポーランド
〈1〉強制連行と職安
〈2〉農業労働者
(3)北欧、フランス
(4)ソ連
〈1〉生存圏
〈2〉強制労働の実態
4 子どもの強制労働
2─強制労働とは何か
1 大規模、組織的な強制労働
(1)農業部門から産業部門へシフト
(2)全ヨーロッパを供給先に
(3)強制収容所に新たに触手
2 「業績に連結」させる食糧配給
3 「業績に連結」させる賃金
4 人種差別に基づくヒエラルヒー
5 後始末
(1)間引き
(2)警察、職安へ「戻す」という措置
(3)帰還者を待ち受けた偏見
第三章●国際法と裁判
1─国際法、国内法と強制労働
1 無差別大量殺戮の時代
2 国際法
(1)第三帝国が拘束される国際条約〈1〉「ハーグ陸戦規則」
(2)第三帝国が拘束される国際条約〈2〉「捕虜条約」
(3)第三帝国が拘束される国際条約〈3〉「ジュネーヴ赤十字条約
(4)第三帝国が拘束される国際条約〈4〉「奴隷禁止条約」
(5)第三帝国が拘束される国際条約〈5〉「ILO五号条約」
3 国内法
4 強制労働者使用の目的
(1)ドイツ人労働者の穴埋め
(2)不払い、低賃金労働
(3)労働生産性
(4)社会保障規定から除外
(5)戦後へのスタートダッシュ
(6)高度経済成長
(7)ステータス・シンボル
5 企業の虚偽
6 各社の強制労働
(1)ディール社の場合
〈1〉元社長への称号授与
〈2〉ディール社の強制労働史
〈3〉「戦時利得者」
〈4〉ディール社の基金設立
(2)アメリカ企業フォード社の場合
〈1〉ドイツ支社
〈2〉第二次大戦前のフォード社
〈3〉第二次大戦中のフォード社
〈4〉第二次大戦後のフォード社
〈5〉日本企業の場合
〈6〉基金参加拒否
〈7〉フォードシステム
7 ナチス犯罪とは何か
(1)戦争開始以前の暴力装置
(2)すさまじい事後法の体系
(3)「人道に対する罪」
2─ニュルンベルク国際軍事裁判とニュルンベルク継続裁判
1 ニュルンベルク国際軍事裁判
(1)「人道に対する罪」と「狭義(通例)の戦争犯罪」
(2) 判決
(3)ニュルンベルク国際軍事裁判の意義と問題点
〈1〉後世に残す学ぶ場
〈2〉問題点
2 ニュルンベルク継続裁判
(1)ニュルンベルク継続裁判と強制労働
(2)IG―ファルベン社の場合(事件番号六)
〈1〉IG―ファルベン社とは
〈2〉IG―ファルベン社小史
〈3〉ニュルンベルク継続裁判とは
〈4〉フリック社
〈5〉クルップ社
〈6〉 継続裁判をめぐって
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第四章●「記憶・責任・未来」基金
1─ドイツの戦後補償史
1 第一期:補償問題は州が先行
2 第二期:初期の国際条約と国内向けの単一補償法
(1)加害への沈黙
(2)アデナウアー、一歩踏み出す
〈1〉イスラエル議会での交渉可決
〈2〉ドイツ・イスラエル会合
〈3〉ルクセンブルク協定
(3)ロンドン債務協定
〈1〉「賠償問題の最終規定」
〈2〉アウシュヴィッツに融資したドイツ銀行
(4)連邦補償法
〈1〉ナチスの不法
〈2〉制限、除外された人々
(5)二国間協定による西側諸国への補償
〈1〉連邦補償法の国外適用
〈2〉西側諸国への補償の意味
3 第三期:東側諸国との補償問題に進展
4 第四期:緑の党の努力と忘れられた犠牲者
(1)補償は「誇り」
(2)緑の党
(3)「忘れられた犠牲者」
(4)ノイエンガメ強制収容所
5 独自の裁判と非ナチ化
(1)西ドイツの既存の刑法による裁判
〈1〉ナチス犯罪解明センター
〈2〉時効の廃止
〈3〉「司法は戦後補償を行う」
(2)非ナチ化と大赦
〈1〉「民主主義を徹底させる教育」
〈2〉恩赦、大赦
6 第五期:『記憶、責任、未来』基金設立
(1)ドイツ・ポーランド和解基金
(2)強制労働補償基金「記憶、責任、未来」に先立つ企業の補償史
〈1〉ドイツ政府による補償
〈2〉 企業による補償
(3)真相の解明
〈1〉 オーストリア:侵略戦争への加担
〈2〉 フランス:ヴィシー政権、パポン裁判、カトリック
〈3〉 スイス:半世紀後の逆転無罪
〈4〉 スウェーデン:「中立政策」の見直し
〈5〉 日本:「従軍(軍隊)慰安婦」
(4)基金成立の要因
〈1〉 企業史の執筆
〈2〉 別人の人生
〈3〉 スイスの戦争責任
〈4〉 ヒューゴー・プリンツと補償問題
〈5〉 ナチスと年金
〈6〉 裁判とロンドン債務協定
〈7〉 国防軍の犯罪展
〈8〉 基金創設の最大の要因:市民運動と市場の喪失
(5)基金の成立
〈1〉法的安定性
〈2〉 強制労働補償基金「記憶、責任、未来」
2─終わりに
1 申請者二一〇万人
2 運動を続ける人々
(1) ミュンヒェン反差別同盟
(2) 独自のカンパ、基金の創設
3 くり返さないために
田村光彰(たむら・みつあき)
1946年生まれ、金沢大学大学院修士課程(独文専攻)終了、北陸大学教員
著書
『統一ドイツの苦悩──外国人襲撃と共生のはざまで』、技術と人間、1997年(改訂版)
『ドイツ 二つの過去』、技術と人間、1998年
『現代ドイツの社会・文化を知るための48章』(共著)、明石書店、2003年
主要訳書
エルケ・シュテーク他『意識はフェミニズム、行動は地域』、現代書館、1991年
トーマス・エバーマン、ライナー・トランペルト『ラディカル・エコロジー』(共訳) 社会評論社 、1994年
ペーター・シュタインバッハ他『ドイツにおけるナチスへの抵抗1933─1945』(共訳)、現代書館 、1998年
ヤン・C・ヨェルデン編『ヨーロッパの差別論』(共訳)、明石書店、1999年
ベルント・シラー『ユダヤ人を救った外交官──ラウル・ワレンバーク』(共訳) 明石書店、2001年
ゲールハルト・フィッシャー他『ナチス第三帝国とサッカー』(共訳)、現代書館、2006年
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