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ドラマとしての住民運動
社会学者がみた栗東産廃処分場問題
早川洋行
Citizen's Protest as a Drama
Hiryoyuki Hayakawa

琵琶湖南東・栗東市の産廃処分場の焼却炉新設問題で、産廃処分場があることすら知らなかったニュータウンは大騒ぎに。
行政・企業・マスコミ・新住民・旧住民はどう対応し、運動のドラマはどのように展開したのか。
運動への「参与観察」を強いられた社会学者による、住民運動の社会学。


2007年2月22日

46判★236頁★2000円+税
ISBN978-4-7845-1461-8

序章 有機的連帯をこえて
  1─RD問題と私
  2─社会学者として、住民として
  3─住民運動の苦悩
  4─「ぐるぐる」のように

第1章 方法
  1─研究と実践の狭間で
    知識人とは
    社会学には何ができるのか
  2─住民運動の語られ方
    歴史主義
    マルクス主義
    対抗文化論
    実証主義
    四つの語り
  3─環境社会学の貢献と限界
    被害構造論
    生活環境主義
    受益圏・受苦圏論
    方法論の無自覚性
  4─住民運動をドラマとしてみる
    七つの課題
    社会学と社会学者にできること

第2章 舞台・アクター・シナリオ
  1─事件の舞台
    問題の発生
    処分場とその周辺
  2─住民運動の発生と展開
    産廃処理問題合同対策委員会の結成
    硫化水素の発生
    運動団体の活動
    運動の分裂
    焼却炉問題から埋立廃棄物問題へ
    運動団体の再編
    四つの住民勢力と市民団体
    市長・市議会・県知事
  3─各主体の相関と時期ごとの特徴

第3章 被害の諸相と制度上の要因
  1─自然への被害
    ガス被害
    地下水汚染
    ため池と水生生物への影響
  2─人間への被害
    健康被害
    生活被害
    経済的被害
  3─処分場における不法投棄
    免許集中の危険性
    安定品目という虚構
    事後検証の困難性
    基準の不在
    時間との戦い
    知らされなかったリスク

第4章 自治会による住民運動
  1─自治会と市民運動団体
    運動目標と運動スタイル
  2─自治会という地域集団
    町内会から自治会へ
    町内会=自治会の評価
    町内会論争
  3─ボランタリーアソシエーションと官製アソシエーション
    自治会は官製アソシエーションか
    自治会の組織原理・文化原理
  4─自治会が闘うために
    自治会の人的資源と住民運動
    自治会の自己保存力

第5章 マスメディア
  1─社会学、新聞、そして社会運動
  2─住民運動の見取り図
  3─新聞報道の量と質
  4─闘争への機能
  5─アクターとしての新聞

第6章 行政の論理
  1─行政の組織文化
    保身。自らの責任を問われることをおそれる無責任体制
    インクリメンタリズム(小出し主義)
    住民との窓口を狭め、権威を守ろうとする態度
    場面、場面によって対応を変えるというご都合主義
    秩序への強い志向性
    市より県、県よりも国が優先するという位階秩序
    安全と安心を同一視する錯誤
    知事の不法投棄
  2─議会と調査委員会
    議会の機能不全
    調査委員会
    ディス・コミュニケーション

第7章 歴史的位相
  1─公害と環境問題
    都市と農村、アップストリームとダウンストリーム
  2─市場の限界と行政の怠慢
  3─生活者と住民運動
    私生活主義・マイホーム主義
    大衆社会と大衆
    生活者とは
  4─ガバメントとガバナンス
    情報格差の縮小
    変わった栗東市と変わらなかった滋賀県

終章 いやいやながらの民主主義
  1─社会の大切さと人間の尊厳
  2─偏在する言葉
  3─行政不信と住民不信
  4─メディアの問題
  5─住民運動とは

栗東RD問題の歴史
あとがき



早川洋行(はやかわ・ひろゆき)
1960年静岡県生まれ。滋賀大学教育学部教授。
横浜市立大学文理学部卒業。中央大学大学院文学研究科博士課程満期退学。名古屋大学より博士(社会学)取得。
著書に『流言の社会学──形式社会学からの接近』(青弓社、2002年)、『ジンメルの社会学理論──現代的解読の試み』(世界思想社、2003年)、 『第三版 応用社会学のすすめ』(共編、学文社、2003年)、『現代社会学のすすめ』(共編、同、2006年)ほか。


書評

滋賀報知_社説 [お薦めの一冊]
3/31・住民運動のドラマは市民がつくるのだ
  「いやいやながらも民主的な社会を目指して活動する人々、かれらを『地道に努力する者』ではないと、誰が、なにゆえ言えるだろうか。ドラマは生活者がつくる。」ーー著者の思想の根幹でもある。この本を読むと、なぜか今回の県議選と重ね合わせたくなる。はたして「市民革命は成就するのか」と。RD産廃処分場には、いまも豊島クラスの産廃が埋まっている現実に、住民たちは決してめげることがない。お薦めの一冊である。
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●開設 1998年12月31日
 ●最終更新日 2007年 2月28日