四六判並製★312頁★2200円+税
ISBN978-4-7845-1465-6
C0030
はじめに─「メディア・フレンジー」とは?…3
第1部 崩壊するジャーナリズム
第1章─光市事件報道の犯罪 安田好弘弁護士らを攻撃するメディア 16
「リンチ」肯定し瓦解する司法…16
「放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会」に申し立て…18
検察・メディア一体の弁護士攻撃だ…22
コメンテーターが垂れ流す無責任発言…23
橋下弁護士を提訴…26
主要新聞も一面的報道に終始…29
雑誌メディアも検察ベッタリの報道…31
メディアの偏向ぶりに市民から疑念の声も…34
無視された元法相の死刑廃止論…37
元少年の鑑定医に誹謗中傷が集中…38
権力と一体化した御用マスコミ…40
第2章─「真犯人が出たから無罪」で終わってよいのか 42
思いのたけを語る富山冤罪被害者
捜査の問題は棚上げで?お気の毒?…42
出所後、?真犯人?が現れ、再審開始…44
出来レースだった捜査という名の暴力…46
冤罪に加担した国選弁護人…49
柳原さん拘束中にも?真犯人?による犯行続く…51
刑務所での過酷な生活…53
なぜ名前と顔を出したか…56
「無実なら自白しない」と思っていた…60
「裁判所が機能していない」…61
冤罪作ったエリート裁判官…62
取り調べの可視化を求める動き…65
長能刑事をかばう企業メディア…68
国家賠償請求で冤罪の責任を問う…70
?真犯人?と面会…71
甲山資料完成記念シンポで訴え…72
富山冤罪事件とメディア…81
第3章─日本新聞協会冊子「実名と報道」の欺瞞 86
反動の時代のジャーナリズム 「読者の視線に立つ」原則に…86
揺らぐ官憲依存の実名主義 自業自得の匿名発表化…91
冊子の筆者、発行人は覆面 警察を監視しているのか…94
警察裏金を調査報道せよ 協会加盟の大新聞の課題…97
第?部 迷走するマスコミ報道と暴力
第4章─自壊するマスメディアの現在 102
宇和島冤罪事件の国賠訴訟 ズサン捜査追認した誤認判決…102
米FOXニュース 国粋主義でネオコン政権支える…104
NNNドキュメント 高松市の不当な生活保護番組非難…107
いじめ自殺報道 政権党・文科省批判はタブーか…109
性奴隷番組の改竄判決 ニュースを捏造する安倍首相とNHK…112
「あるある大事典」捏造 メディア全体の捏造構造が問題…115
松岡農相死亡報道 自殺前の墓参りウソを訂正せよ…117
権力介入阻止するメディア責任制度を 奈良地検鑑定医逮捕…120
第5章─史上最悪の「凶乱」取材 秋田・男児殺害事件マスコミ報道 123
秋田でまたしても過熱取材…123
「マスコミはいい加減にしてほしい」との住民の声…125
捜査に先行した週刊誌の犯人視報道…126
容疑者の報道陣への罵声は不当か…127
読売の「前打ち」から始まった…128
情報番組リポーターの無責任…130
異例の弁護士「自白」会見…131
弁護士は聴取を中断させていた…133
六月七日以前の「殺害自供」報道は虚偽…135
教育委員会のメディア対策…136
自主規制を模索した報道側の対応…138
警察はメディアを利用したか…142
犯罪報道の変革と報道評議会設立を…143
第6章─秋田に再び押しかけたマスコミ 144
長女「殺害」と断定できるのか…144
情報番組・文化人がまきちらす妄言…148
長女事件の新展開でエスカレート…151
テレ朝と日テレが筆者の質問状に回答…153
一年二ヵ月後に公判始まる…155
第7章─北九州の小学校長はマスコミに殺された 「いじめ隠し」虚偽報道 157
保護者らが報道陣に「お前らが殺したんだ!」…157
「いじめ隠し」はなかった…160
読売の?特ダネ?と市教委の断定…161
RKB毎日、TBSが「匿名・会見映像不使用」…163
「ニュース23」でもオンエア…167
NHKニュースが自殺を誘引か…168
八人は仲間だった…170
読売新聞へ抗議に出向いた保護者…171
いじめの有無を論じるナンセンス…173
事実は恐喝のいじめ行為だった…173
第8章─検証・不二家報道 みのもんた氏とTBSは捏造疑惑に応えるべきだ 178
不二家バッシング報道の始まり…178
「朝ズバッ!」に虚偽・捏造の疑い…180
不二家が放送直後から異例の抗議…181
保健所に届けていないというウソ…185
民放連会長が国会で厳正調査を確約…186
BPOの事務局にいるTBS社員…186
「雪印の二の舞」発言は社外コメント…188
不二家叩き報道と不二家のメディア対応…189
不二家の再出発と放送の責任…191
第9章─冤罪事件に加担するマスコミ報道 194
無罪ラッシュとマスコミ犯罪報道…194
鹿児島県議選事件…194
大阪裁判所長事件…195
相次ぐ無罪判決…197
検察・検察が異例の指示…198
「人権と報道・連絡会」設立から二二年…201
若手記者へかける期待…203
検察が糾弾した犯罪報道の犯罪…206
裁判員制度導入で最後の好機…207
最高裁関係者が報道のあり方に懸念を表明…210
第10章─右翼テロに甘いメディアと警察 加藤紘一議員宅放火事件をめぐって 214
加藤紘一宅に放火…214
更地になった火災現場…215
三年前から目をつけられていた…218
またも「供述報道」のフライング…219
なぜ団体名、個人名を出さないのか…222
右翼テロを容認した石原都知事…226
第11章─ 加藤紘一議員が語った放火事件の背景 228
九七歳の母が無事だったのが何よりだった…228
わびしさの漂う放火事件だった…229
ピストルの実弾が送られてきたことも…231
大平元総理を狙った短刀がわずかにそれた…232
目標達成後、空虚感が漂う日本社会…234
戦後日本が怠った二つの総括…235
今、日本全体にものを言いづらい雰囲気…237
第2部 偏向の朝鮮敵視報道と排外主義政権
第12章─ 排外主義煽る偏向報道 240
独W杯観戦記 「KJ」共同応援で友好を…240
「人種差別にノーを」とPR…244
安倍政権と報道 首相秘書に元裏外交密使…249
朝鮮から見た「拉致」報道 孤立深める安倍政権とメディア…251
六者会談後の自信あふれる朝鮮を見た…254
朝鮮敵視報道 事実誤認と捏造ともいえる制作手法…259
日朝友好学生訪朝団 訪朝でわかった日本メディアの嘘…269
安倍氏の共犯だった報道界は猛省を…271
東アジアの安定へ米朝が融和…274
ニューヨークで反靖国シンポジウム…278
第13章─安倍反動政権と一体だった朝鮮敵視報道 283
日朝友好を妨害する大学…283
終わりのない理不尽な「北朝鮮」叩き…285
世田谷の在日女性に謝罪を…288
権力は罪人をつくりあげる…291
朝日は四〇年前から偽リベラルだった…296
あとがき…299
浅野健一(あさの・けんいち)
1948年生まれ。1972年から共同通信記者。ジャカルタ支局長だった1992年、インドネシア・スハルト政権から追放される。1994年4月から同志社大学社会学部教授(新聞学)。2002年4月から2003年6月まで、英ウェストミンスター大学客員研究員。
主な著書に『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、新版として新風舎文庫)、『過激派報道の犯罪』(三一新書)、『客観報道―隠されるニュースソース』(筑摩書房、『マスコミ報道の犯罪』と改題して、講談社文庫)、『出国命令―インドネシア取材1200日』(日本評論社、『日本大使館の犯罪』と改題して、講談社文庫)、『日本は世界の敵になる―ODAの犯罪』(三一書房)、『「犯罪報道」の再犯―さらば共同通信社』(第三書館)、『オウム「破防法」とマスメディア』(同)、『メディア・リンチ』(潮出版)、『メディア・ファシズムの時代』(明石書店)、『天皇の記者たち―大新聞のアジア侵略』(スリーエーネットワーク)、『ナヌムの家を訪ねて』(浅野健一ゼミ編、現代人文社)、『松本サリン事件報道の罪と罰』(河野義行氏との共著、講談社文庫、新版として新風舎文庫)、『脳死移植報道の迷走』(創出版)、『メディア規制に対抗できるぞ! 報道評議会』(現代人文社)、『抗う勇気―ノーム・チョムスキー+浅野健一対談』(同)、『「報道加害」の現場を歩く』(社会評論社)、『イラク日本人拘束事件と「自己責任論」報道』(浅野健一ゼミ編、現代人文社)、『対論・日本のマスメディアと私たち』(野田正彰氏との共著、晃洋書房)、『戦争報道の犯罪』(社会評論社)などがある。『年報・死刑廃止 2006』(インパクト出版会)に「テレビ犯罪報道と死刑」を書いている。
書評
[出版ニュース2008年2月]
メディアによるスクラムとは本来は「人民の権益」を守るために取材記者が団結して権力に立ち向かう姿を表現する肯定的な言葉で、日本での市民への集団的取材は「狂乱・凶暴」という意味の「フレンジー」が適しているという。そして、その狂乱報道の例として光市事件におけるメディアの弁護士攻撃、秋田・男児殺害事件における加熱取材、朝鮮敵視報道等をあげ、マスコミの「犯人は誰か」という取材が冤罪を生むのだと厳しく批判している。
[世界へ未来へ 9条連ニュース]
メディアのフレンジー(狂乱)な現状を、「集団的人権侵害取材」と呼び、権力を監視するジャーナリズムをつくりだそうと著者は訴える。メディア発の情報の洪水。その中に生きながら真実を見抜くことが、いかに困難で大切であるかを痛感する。
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