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思想 【人と歴史】

【米国公文書】ゾルゲ事件資料集

【米国公文書】ゾルゲ事件資料集

来栖宗孝 / 篠崎務 / 白井久也 / 渡部富哉

価格: 7800円+税
発行日: 2007年5月29日
版型: A5判
ページ数:
ISBNコード: ISBN978-4-7845-0560-9
Cコード: C0030
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詳細内容

米国下院非米活動調査委員会公聴会における、ゾルゲ事件を摘発した吉村光貞検事とGHQ謀報部門のウィロビー少将の全証言および、検察庁・警察庁から押収した資料を分析したGHQの報告書を収録。(2007・5)

【目次】

まえがき 11
【解題】歴史資料として利用価値の高い吉河検事証言 白井久也 16

ニューヨーク市立図書館で全文をコピー 16/「米ソ冷戦」で吹き荒れる米国の「赤狩り旋風」 17/ウィロビー報告糾弾の声明を発表したスメドレー 20/公聴会での吉河証言を利用しようとするHUAC 21/真珠湾奇襲攻撃作戦計画を知らなかったゾルゲ諜報団 23/ゾルゲの諜報活動に協力した在ハルビン米領事館員 25
米国にとってのスパイ・ゾルゲ事件に関する聴聞 27
??吉河光貞検事およびチャールズ・A・ウィロビー少将の証言
   第八二議会第一会期 一九五一年八月九、二二、二三日開催
米国下院非米活動調査委員会の構成 27
吉河光貞検事の証言 27

検察官の機能と責務 29/ゾルゲ逮捕の端緒 30/尾崎秀実は近衛首相の相談役 31/ゾルゲ逮捕で近衛内閣総辞職 32/独ソ両国と真珠湾攻撃計画 33/日本の攻撃計画を知っていたソ連 36/ゾルゲ、陸軍参謀と強いつながり 37/シンガポール攻撃作戦計画とオット駐日大使 38/スパイ活動と政治的策動 38/オット駐日独大使、ゾルゲとの面会求める 39/押収された多数の証拠品 42/片言のドイツ語と英語で取り調べ 43/三つあるゾルゲの供述調書 45/リュシコフ亡命とノモンハン事件 46/過去の履歴調査を恐れたゾルゲ 47/ゾルゲ、タイプ打って供述書を作成 50/米国に帰りたかった宮城与徳 55/待ち合わせの合い言葉は「求む浮世絵版画」 56/米国の上海領事館がゾルゲに協力 57/ゾルゲの諜報活動の後任者はポール 58/レガッテンハインの役割 59/在ハルビン米国領事館が諜報活動の拠点 61/自由国家同士に必要なスパイ捜査協力 61/逃れられないと覚ったゾルゲ 63/一九五○年の登録済み日共党員は一一万人 64
チャールズ・A・ウィロビー少将の証言 79

兵役四一年、痛恨の思いで陸軍を去る 80/ウィロビー、米陸軍省にゾルゲ関連書類を提出 81/共産系新聞からの攻撃を覚悟 82/ゾルゲ事件テーマの聴聞目的は二つ 84/コミンテルンの国際謀略の一端 85/上海は国際的謀議や諜報の中心地 86/アグネス・スメドレー、聴聞逃れ離米 87/上海市警察ファイルの相当部分を入手 88/評価された吉河光貞検事の証言 90/スメドレーが米陸軍省公表の差し止めを要求 91/吉河検事に自白を全うしたゾルゲ 94/ソ連との中立関係撹乱を避けた日本 94/尾崎秀実はゾルゲに最も近い腹心 96/詳細かつ長大なゾルゲの供述 99/赤軍第四部の命令で中国に派遣されたゾルゲ 101/日本占領に伴う政治恩赦で釈放 102/ゾルゲの無線局を運営したG・シュタイン 104/プラウダーがコミンテルン地下組織を創設 109/正体不明の人物は今も捜査中 109/クラウゼン、上海と東京に無線通信局設置 111/解放を心待ちした囚われのゾルゲ 112/コミンテルンが創った国際赤色支援活動 114/上海に共産主義者の実体を示す鍵 116/警察監視下のフローリッヒ・グループ 119/ヌーラン以外は口つぐむゾルゲ 121/中共党不平分子粛清のためGPU部員を派遣 123/PPTUSは高度に組織された労働運動機構 125/ヌーラン事件とアイスラー事件の共通点 127/米共産党の活動に関する宮城与徳証言 129/素早く身を隠したギュンター・シュタイン 134
チャールズ・A・ウィロビー少将の証言 148

日本、南方進出で米英との衝突が不可避に 154/日本の真珠湾攻撃に一切触れない日独文書 156/最初の日米衝突はフィリピンと考えた米国 158/内閣での相談役の立場を利用した尾崎秀実 161/長距離無線局設置偽装で設立した通信器具店 173/スメドレーの遺灰は朱徳将軍の手に 183/ゾルゲと関係を持つユージン・デニス 207/コミンテルンのアパラタス(機構)と上海の出先 211/東独高官になったゲアハルト・アイスラー 214/共産
主義者が支配する米国作家同盟 215/信頼性が最高度の上海市警察 217/極東軍司令部の責任範囲は日本とその周辺の島々 219/国際的策謀で次々と倒れる国家 221/コミンテルン・グループについて語るゾルゲ 224/ゾルゲと交流があったギュンター・シュタイン 226/望まれるFBIの積極的な支援 255/日本の捜査当局、クラウゼンの無電を傍受 258

【証言の分析】吉河光貞検事報告と事件関係者の証言 渡部富哉 280

はじめに 280/GHQによるゾルゲ事件調査の開始 280/ソ連大使館の手引きで国外脱出したクラウゼン夫妻 281/CICの防諜教材に使われるゾルゲ事件 282/全文三万二○○○語の『ウィロビー報告』発表の余波 284/ゾルゲ事件関係者の証言と資料の収集 285/『ゾルゲ?ソビエトの大スパイ』の刊行 287/日本の新聞各社『ウィロビー報告』を大々的に報道 288/スメドレー糾弾の証人になった川合貞吉の苦渋の弁明 289/川合貞吉、「スメドレーはゾルゲ諜報団の重要メンバー」と供述 290/背景としてのマッカーシー旋風??世界史の中の冷戦 292/「赤狩り」の網にかかったアメリカ人の総数は二二○万人 293/尾崎秀実が参加した太平洋問題調査会の国際会議 295/東大新人会の活動家だった吉河光貞の華麗な転身 297/司法省に買われた学生時代の左翼活動の経歴 298/ゾルゲ情報の何が歴史をリアルに動かしたか? 300/尾崎の諜報能力は共産主義イデオロギーと合致 301/死刑確定囚尾崎に対する小林健治予審判事の回想 302
【証言の分析】ウィロビー証言の意義とその限界 来栖宗孝 305

はじめに 305/ウィロビー少将は極め付きの反共主義者 305/朝鮮戦争と原子爆弾、マッカーサーとトルーマン 306/『ウィロビー証言』はどう構成されているか 307/上海市警察の調査資料に依拠 309/スメドレーが米国国防省に強硬な抗議 310/左翼系組織・団体とその関係人士 312/ワシントン・上海・東京 314/国民党敗北の陰謀説は非常な偏見 316/上海時代はゾルゲの諜報工作の練習・習熟機関 317/結語??ウィロビー証言の不可解な部分 318

序 文322
「ゾルゲ事件」報告書出典322
一 探知、逮捕、裁判323
二 リヒアルト・ゾルゲ327
三 ブランコ・ド・ブケリチ345
四 宮城与徳350
五 尾崎秀実とその政治的見解357
六 マクス・クラウゼンとアンナ・クラウゼン385
七 脇役を務めた人たち400
八 ゾルゲが使った暗号411
九 ゾルゲの狙い415
一○ 教訓と結論433
【解題】米国の国益擁護と対ソ戦略の形成に利用された「報告書」 来栖宗孝 491

空襲で多数焼失したゾルゲ事件関係資料 491/本報告書の内容上の検証 493
リヒアルト・ゾルゲ及び尾崎秀実に対する死刑執行命令書 514
あとがき 515
索 引巻末

著者略歴

来栖宗孝
1920年,中国吉林省延吉市に生まれる。43年,東京帝国大学経済学部卒業。法務省仙台矯正管区長,東海大学文明研究所・同法学部教授などを務める。
著書に『刑事制政策の諸問題~矯正施設論』(東京プリント出版)。共著に『検証・内ゲバ』『検証・党組織論』(以上,社会批評社)。その他,刑事政策関係共著・論文および日本左運動関係論文や新刊書紹介など多数。

篠崎務
1934年,東京に生まれる。58年,早稲田大学第1商学部卒業。江商に入社,9年間貿易実務に携わる。その後,凸版印刷国際部長,トッパンムーアシステム常務などを歴任。米国,オーストラリアなど英語圏に19年間住む。
訳書にパトリック・ハミルトン著『二つの脳を持つ男』(小学館)。現在,『ジョージ・オウエル評論集』を英訳中。このほか米大リーグ関連書4冊を英訳。

白井久也
1933年,東京に生まれる。58年,早稲田大学第1商学部卒業後,朝日新聞社に入社。広島支局を振り出しに,大阪・東京本社経済部,同外報部を経て,75年から79年まで,モスクワ支局長。帰国後,編集委員(共産圏担当)。93年,定年退職。94年から99年まで,東海大学平和戦略国際研究所教授。現在は日露歴史研究センター代表,杉野服飾大学客員教授。
著書に『危機の中の財界』『新しいシベリア』(以上,サイマル出版会),『現代ソビエト考』(朝日イブニングニュース社),『モスクワ食べ物風土記』『未完のゾルゲ事件』(以上,恒文社),『ドキュメント シベリア抑留?斎藤六郎の軌跡』(岩波書店),『明治国家と日清戦争』(社会評論社)など。また,共著に『シベリア開発と北洋漁業』(北海道新聞社)『松前重義?わが昭和史』(朝日新聞社)『体制転換のロシア』(新評論)『日本の大難題』(平凡社)など。
編著書に『ゾルゲはなぜ死刑にされたのか』(小林峻一と共編)『国際スパイ・ゾルゲの世界戦争と革命』(以上,社会評論社)

渡部富哉
1930年,東京に生まれる。1946年,郵政省東京貯金局に勤務。50年,日本共産党に入党。レッドパージで職場を追われ,共産党の非公然活動に入る。55年,六全協による同党の路線転換に伴い,工員となって労働組合運動に身を投じ,60年安保闘争を闘う。61年,石川島播磨田無工場に研磨工として勤務。同時に「田無反戦」を組織し,ベトナム反戦や成田空港反対闘争,数度にわたる造船合理化と闘う。
85年,『徳田球一全集』(全6巻)の編集事務局長となり,五月書房により刊行。伊藤律の遺言執行者として,文藝春秋社から『伊藤律回想録』を出版。93年,『偽りの烙印』(五月書房)を刊行し,定説化されていた伊藤律のスパイ説を覆した。以後,ゾルゲ事件研究に携わっている。

書評

[図書新聞 2007/7/21]

ゾルゲ事件といっても、二一世紀の若い読者には「スパイ」くらいしか連想できないかもしれない。本書の編者白井久也氏、解説者渡部富哉・来栖宗孝氏らは、一九九七年に日露歴史研究センターを結成し、日米戦争開戦前夜、一九四一年に検挙されたリヒアルト・ゾルゲと尾崎秀実を中心とした「国際スパイ事件」の真相解明と歴史的意義の研究を進めてきた。東京、モスクワ、ドイツ、モンゴルで国際シンポジウムを開催してゾルゲ事件研究者の国際ネットワークを構築し、世界各地の貴重な新資料と研究論文を発掘してきた。本書は、その会誌である『ゾルゲ事件関係外国語文献翻訳集』の成果の一部である。

朝日新聞 2007/6/28]

太平洋戦争の開戦を前に日本とドイツの機密情報をソ連に流したゾルゲ事件について、戦後に米国側が行った調査記録2点が発見され、『ゾルゲ事件資料集』(社会評論社)として出版された。暗号の仕組みなどが初めて明らかになり、米国人協力者の存在も浮かび上がった。
事件に関心を持つ研究者で組織する日露歴史研究センター(白井久也代表)が米国の図書館などで入手し、翻訳を進めてきた。一つは連合国軍総司令部(GHQ)がまとめた「ゾルゲ事件報告書」。日本の警察や検察が保管していた資料を押収して分析、47年に米国の国務省に送ったもの。もう一点は51年に米国下院の非米活動調査委員会が行った聴聞の記録で、ドイツ人新聞記者リヒアルト・ゾルゲを取り調べた日本人検事らの証言が残っていた。米ソ冷戦の本格化を背景に、共産主義スパイ団への対応策を考えるため、ゾルゲたちがどのように情報を入手したかを解明するのが狙いだったようだ。
(中略)
「スパイ・ゾルゲ」を手がけた映画監督の篠田正浩さんは「映画を作るために可能な限りの資料に目を通したが、分からずに心残りだったことが、この本でいくつも明らかになった。米国側の協力者の存在はその一つで、どこかにいるだろうと思っていたが、ハルビンだったとは……本当に驚いた。表面を見ていただけでは分からない歴史のアンダーグラウンドの部分が浮かび上がる」と語った。

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