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思想 【人と歴史】
1944年11月7日、東京拘置所で二人の男が「赤色スパイ」として絞首刑にされた。「ゾルゲ事件」の主犯、リヒアルト・ゾルゲと尾崎秀実である。
かれらは、1930年代の「危機の時代」、自らの理想に生命を賭した。
戦争と革命の時代の国際情報戦。ゾルゲ諜報団の全容はいかに解明されたか。ジャーナリストによるその迫真のドキュメント。
【目次】
ゾルゲ事件の謎を解く──国際諜報団の内幕*目次
旧版のまえがき 11
第一章 伊藤律の遺稿 15
伊藤津は「ユダ」か? 15
名誉回復への動き 21
伊藤律の死 28
ゾルゲ事件とは? 31
事件発覚の謎 35
伊藤律と事件の関わり 41
転向の手記が決め手 47
渡部富哉の真相究明 54
伊藤律端緒説をめぐるトラブル 63
第二章 諜報員の終着駅 67
東京拘置所の跡地 67
ゾルゲのスパイ活動 73
名著『新帝国主義論』 80
コミンテルンから赤軍へ 84
社会科学者ゾルゲ 88
第三章 宮城与徳、生と死 105
宮城与徳の立場 105
追いつめられて自殺未遂 111
宮城与徳の生い立ち 113
画家・宮城の平和思想 119
ロサンゼルスの北林トモ 126
ロングビーチ事件 130
オカノ(野坂)の暗躍 135
「ロイ」は野坂参三だった!? 138
野坂スパイ説の根拠 143
特高の「要注意人物」とは? 152
宮城の最期 156
第四章 検証・ゾルゲ情報 159
ニューマンが入手した特ダネ 159
ゾルゲに課せられた任務 166
諜報団員の任務分担 172
スターリンの大きな過ち 177
ゾルゲの涙 183
ゾルゲ二重スパイ説 186
北進か、南進か? 192
御前会議の決定 198
「帝国陸軍作戦要綱」203
「ソ連共産党、万歳!」 207
第五章 暗黒裁判、その実態 213
処刑の日の朝 213
ゾルゲ事件の見直し 220
法律家の視点 224
事件調書に書かれなかった事実 230
尾崎秀美が受けた苛烈な拷問 234
ゾルゲ事件裁判の謎 240
諜報活動か、平和運動か? 252
尾崎裁判の不当判決 256
第六章 「赤狩り」の犠牲者 265
米国に吹き荒れた「赤狩り」旋風 265
最初の犠牲者 268
ゲーリー・クーパー、召喚さる 270
スメドレーは「ソ連のスパイ」か? 276
上海のゾルゲとスメドレー 280
尾崎とスメドレーの宿命的出会い 285
尾崎、上海を去る 289
スメドレー、英国へ亡命 296
マッカーシズムの本質 301
第七章 名誉回復への道 307
事件の洗い直し 307
反戦・平和のための諜報活動 312
尾崎秀美の時代分析 315
尾崎の基本的態度 318
殉教者たちへのレクイエム 321
画家・宮城与徳の再評価 327
それぞれの名誉回復 336
ユーゴ人ブーケリッチの立場 340
日本人メンバーの名誉回復 342
残された伊藤律の問題 345
第八章 尾崎秀実の対ゾルゲ諜報協力 359
奈良公園で三年振りの再会 360
ゾルゲの諜報活動の任務 362
巧妙な「合法的な偽装工作」 366
尾崎秀実への諜報協力要請 368
政権中枢に太い諜報パイプ 373
「朝飯会」での諜報活動 376
ナチス・ドイツの対ソ侵攻 378
日本は「北進」せず「南進」する 380
尾崎秀実の取材ノウハウ九原則 382
御前会議が決定した「帝国国策要綱」 384
「東亜協同体」樹立の道 387
尾崎の見果てぬ「日本革命」の夢 389
民族主義思想と共産主義イデオロギー 393
鬼神も哭けと心が疼く尾崎の死 395
第九章 歴史的見直し進むゾルゲ事件研究 399
ゾルゲ事件研究が世界で最も盛んな日本 400
ペレストロイカでゾルゲ資料が解禁 405
歴史的検証が必要なゾルゲ情報 407
ゾルゲを取り調べた吉河光貞検事の証言 412
警察調書や裁判記録にない「謎」と「真実」 416
日露歴史研究センターが国際交流を提起 418
伊藤律スパイ説の完全な崩壊 423
中国が国際シンポジウムに初参加 426
国家保安省アカデミーが受け入れ機関 430
ゾルゲ事件と中共諜報団事件 436
満鉄調査部がまとめた「支那抗戦力調査」 442
第六回国際シンポジウムは上海で開催計画 444
旧版のあとがき 447
「ゾルゲ事件」関係年表 451
参考文献 459
あとがき 467
白井久也
1933年,東京に生まれる。58年,早稲田大学第1商学部卒業後,朝日新聞社に入社。広島支局を振り出しに,大阪・東京本社経済部,同外報部を経て,75年から79年まで,モスクワ支局長。帰国後,編集委員(共産圏担当)。93年,定年退職。94年から99年まで,東海大学平和戦略国際研究所教授。現在は日露歴史研究センター代表,杉野服飾大学客員教授。
著書に『危機の中の財界』『新しいシベリア』(以上,サイマル出版会),『現代ソビエト考』(朝日イブニングニュース社),『モスクワ食べ物風土記』『未完のゾルゲ事件』(以上,恒文社),『ドキュメント シベリア抑留?斎藤六郎の軌跡』(岩波書店),『明治国家と日清戦争』(社会評論社)など。また,共著に『シベリア開発と北洋漁業』(北海道新聞社)『松前重義?わが昭和史』(朝日新聞社)『体制転換のロシア』(新評論)『日本の大難題』(平凡社)など。
編著書に『ゾルゲはなぜ死刑にされたのか』(小林峻一と共編)『国際スパイ・ゾルゲの世界戦争と革命』(以上,社会評論社)
[図書新聞 2009/12/12]
白井は、ゾルゲ事件が新しく書き直される時代が来たと述べる。日露歴史研究センターは独自に文献資料を発掘し、旧ソ連やモンゴルでシンポジウムを開催する など、活発な国際研究活動を行っている。ゾルゲ事件は反帝国主義や民族解放をめざす国際共産主義運動の一環だったという位置づけもなされている。白井の『ゾルゲ事件の謎を解く』は、ゾルゲ事件を新たに位置づけ直す土台となる一書 である。







