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思想 【哲学・社会学・思想史】
市民が参画して現存の組織を創りかえ、教育における市場原理主義に対抗する市民的ヘゲモニー創出・拡大のプラン。その中心に生涯学習が位置ずけられる。本書はその新しい挑戦であり、新たな教育学の構想である。
【目次】
生涯学習論の磁場――現代市民社会と教育学の構想*目次
まえがき……………7
序 章 現代市民社会と教育学――生涯学習体系論への軌跡……………11
はじめに 11
一 初期マルクスの疎外論、その回復の思想 22
二 マルクスにおける疎外克服、その問題点 26
三 疎外の回復、グラムシのヘゲモニー 29
四 市民社会とヘゲモニーの問題 31
五 国家の教育政策、対抗ヘゲモニーの形成 32
おわりに 34
エピローグ――戦後教育の断層 37
第一章 疎外論とフォイエルバッハ――柴田隆行氏との紙上インタビュー……………47
一 疎外論へのアプローチ 48
二 木畑壽信氏の批判に答えて 53
三 フォイエルバッハをめぐって 61
第二章 疎外論の再審――初期マルクスと後期マルクスの統一の視点から……………69
はじめに 69
一 疎外の思想 78
二 疎外論と物象化論 85
三 疎外論の展開 96
四 疎外論における初期・後期マルクスの統合
――「受苦的」「情熱的」人間の再審を視軸にして―― 103
おわりに 106
第三章 社会主義の崩壊、その再生への道――自分史のなかのマルクスとグラムシ……………111
はじめに 111
[Ⅰ] マルクスの「プロレタリアート」観――社会主義崩壊の要因 114
一 社会主義の崩壊 114
二 「具体的普遍」の内実と展開 115
三 法律上の「先取り」 118
四 唯物史観と歴史目的論 124
[Ⅱ] グラムシ知識人論・再考――新しい社会形成への道 128
一 グラムシの人間観 129
二 知識人論 138
三 知の伝達の構造 143
おわりに 147
第四章 現代日本における市民的ヘゲモニーの生成……………155
一 資本主義の変貌と現代市民社会 155
二 現代日本の主体形成 167
三 市民社会の主体形成とNPO 175
四 自治体と生涯学習プラン
――東京都小金井市「生涯学習の推進について」―― 184
小論の総括にかえて 193
第五章 大学の個性化と総合化――公正な競争とコンソーシアム構想――……………199
一 大学の市場化の背景と現状――マス化と卓越性の関連 199
二 大学コンソーシアムの構想と現実――山梨県の実情を踏まえて 206
三 教育における新自由主義――はじまりとしての臨教審 215
四 長野大学の再生を求めて――有機的な知のゲマインデのために 226
あとがき……………237
黒沢惟昭
1938年長野市に生まれる。一橋大学社会学部、東京大学大学院で社会思想、教育学を学ぶ。神奈川大学、東京学芸大学、長野大学教授を歴任。中国・東北師範大学名誉教授、川崎市生涯学習振興財団理事、日本社会教育学会常任理事を務める。社会学博士(一橋大学、2010年)取得。
主要著書:『国家・市民社会と教育の位相――疎外・物象化・ヘゲモニーを磁場にして』(御茶の水書房、2000年)、『疎外と教育の思想と哲学』(理想社、2001年)、『教育改革の言説と子どもの未来――教育学と教育運動の間』(明石書店、2002年)、『増補・市民社会と生涯学習――自分史のなかに「教育」を読む』(明石書店、2002年)、『現代に生きるグラムシ――市民的ヘゲモニーの思想と現実』(大月書店、2007年)、『アントニオ・グラムシの思想的境位――生産者社会の夢・市民社会の現実』(社会評論社、2008年)、『生涯学習とアソシエーション――三池、そしてグラムシから学ぶ』(社会評論社、2009年)ほか。
[出版ニュース 2011/4/1]
マルクスの「疎外論」と、グラムシの「ヘゲモニー」、「市民社会論」をベースにして生涯学習の原理を定礎しなければならないと主張する著者は、生涯学習によって地域住民は市民に転成し、市民社会が形成されると書く。