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図書目録

思想 【哲学・社会学・思想史】

世界資本主義と共同体

世界資本主義と共同体

原子力事故と緑の地域主義

渋谷要

価格: 2000円+税
発行日: 2014年4月20日
版型: 四六判上製
ページ数: 256頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1826-5
Cコード: C0030

詳細内容

3.11「東京電力福島第一原発事故」発生以降、現代世界において、環境破壊の経済システム=グローバリズムを止揚することは、ますます緊急の課題となっている。「脱成長」の思想と、マルクス経済学の価値論と共同体論に学びつつ、グローバリズムを〈緑の地域主義〉で分離する戦略を提示する。

【目次】

 序章●フクシマ三・一一事態と「赤と緑の大合流」
    ── 二〇一一年震災以後の生き方を教えるいだももと廣松渉の反原発論考

   はじめに
   いいだももの「赤と緑の合流」論
   「赤」を本質的に規定する「緑」的分析視角─エントロピー問題
   河宮信郎の環境負荷の分析について
   核力の問題
   スターリン主義の国家生産力主義とは何であったか
   エントロピー(廃物・廃熱)収支を考えない資本主義市場経済
   二一世紀のコミュニズムは「エコロジカル・コミュニズム」だ


 第一章●人間生態系の破壊としての原発事故
    ──『成長の限界』の限界

   「成長の限界」の枠組み
   核エネルギーの分析対象からの排除

  【1】放射能汚染─どのような「汚染」か
   放射能汚染のパラダイム
   放射性物質と人体被ばく
   「予防原則」の適用の不可避性
   内部被ばくリスクの問題
   ICRPの内部被ばく計画指針の挫折─その経緯
   ICRPの内部被ばく無視─ECRRとの相違について
   「レベル7」とは何か
   この「レベル」段階のフクイチの現実に沿った説明
   「レベル7」─フクイチの場合
   事故当初から「レベル7」だった─政府は知ることができた
   放射能放出の拡大
   放射能汚染は一生つづく
   放射能汚染の展開図
   放射性物質の生物的濃縮と社会的拡散
   フクイチの現実

  【2】環境汚染の原因の把握と新たな汚染源の予測
   使用済み核燃料の問題
   「経済外的要因」を排除した計算設計
   「エネルギー問題」ではなく「生態系破壊問題」

  【注解】『成長の限界』を読む
   世界管理の方法としての「ローマ・クラブ」報告
   『成長の限界』の問題意識
   「人口」と「資本」の幾何級数的増大が環境破壊を増大させる─大量消費社会モデル
   安定した「定常的」モデルとは何か
   もう一つの案
   「均衡」を実現するということ
   何が今のシステムに欠けているのか

 第二章●福島原発のアルケオロジー
   ──原発の諸問題と「汚染者負担の原則」をめぐって

   福島原発の歴史的経緯
   日本における戦後原発建設の意味
   収奪と差別に立脚した原発政策
   差別を「設計思想」とした原発建設
   フクイチのメルトダウン事故について
   〈汚染者負担の原則〉(PPP:polluter pays principle)と原発事故
   被害の深化・拡大と汚染者負担原則
   PPPの適用条件─原賠法問題
   階級闘争として闘う必然


 第三章●グローバリゼーションと緑の地域主義
    ──ラトゥーシュ〈脱成長〉論の価値論的解明

   グローバリゼーションと地域経済・環境目的規制の破壊
   グローバリズム批判としての地域主義
   「脱成長」と「価値法則の廃絶」の相補性
   「価値法則の廃絶」─その意義について
   社会的労働実態に対する「市場」の外在性
   ラトゥーシュの労働と貨幣の「脱商品化」構想
   貨幣の「脱商品化」の回路
   世界資本主義の対抗軸としての共同体─緑の地域主義
   ラトゥーシュの一〇の提案
   マルクスの再領有化─エンゲルス近代派革命論との差異

  【注解】降旗さんの近代批判から学ぶ


 第四章●〇八年恐慌と共同体主義の復権
    ──資本主義景気循環と労働者の生産自治

   新自由主義緊縮財政とサブプライム恐慌
   サブプライム・ローン問題とは何か
   経済学者の分析─サブプライム層の動員と過剰生産
   全米規模の住宅ローン販売
   ブッシュの戦争政策のための経済主義的国民統合の破産
   アメリカの成長神話の破産
   過剰資本投下の形成を根幹とした景気循環の必然性
    ──エンゲルス〈恐慌革命論〉ではなく「景気循環論」として
   エンゲルス恐慌論に対する批判
   過剰資本とは資本主義に特有な「過剰」ということ
   労働力商品化の廃絶=「労働者の生産自治」をめざせ


 第五章●「労働力の商品化」をめぐって
  ──いいだももによる梅本・宇野論争の分析から

   はじめに
   六八年叛乱の「形見」としての梅本・宇野対論
   マルクス主義論争の最高水準の意味
   労働力商品化─「循環」と「移行」の二つの論じ方
   「純化」の論理としての景気循環における「労働力商品化」の意味
   純粋資本主義を否定するもの─「純化」の裏には「捨象」がある
   宇野の「純粋資本主義」の意味について
   宇野弘蔵の「資本主義的商品」論
   エンゲルスの商品経済発展史観
   価値法則の捉え方について
   梅本・宇野対談が示す「位置価」と限界
   疎外論的論理立てから物象化論的論理立てへ

 第六章●ロシア農耕共同体と世界資本主義

   はじめに
   ラトゥーシュの問題意識
   ロシア農耕共同体の運命について
   ザスーリッチのマルクス宛の手紙
   マルクスからザスーリッチへの手紙
   マルクスのロシア農耕共同体に関する見解
   共産党宣言ロシア語第二版序文
   ゲルツェンの農民共同体論
   レーニンのロシア農村共同体解消論─その「商品経済史観」的限界
   商品経済史観にもとづく「農民層の両極分解」論
   ロシア農民の階級的両極分解はなぜおきなかったのか
   レーニンの論法について
    ──カウツキー農業理論「農民層の両極分解」論(資本主義発展一元史観)とその破産
   「資本─賃労働」両階級への機械的分解の理論
   左派ナロードニキから見たロシア農耕共同体問題の全体像
   廣松渉の「食糧独裁令」に対する分析
   食糧独裁令に対する左翼エスエルの闘い
   スピリドーノワのボリシェビキ党弾劾演説
   スターリンによる農業集団化


 終章●「価値法則の廃絶(コミュニズム)」とエコロジズム
   ──本書論述のスタンスについて

著者略歴

渋谷要
1955年京都生まれ。社会思想史研究。
季刊『クライシス』(1980年代)、季刊『理論戦線』『理戦』(1990~2000年代)に多数の論文を発表した。環境派マルクス主義者。エントロピー学会会員。哲学は廣松哲学、経済学は宇野経済学に学ぶ。著書に『国家とマルチチュード─廣松哲学と主権の現象学』、『ロシア・マルクス主義と自由』、『アウトノミーのマルクス主義へ』(以上、社会評論社)。『前衛の蹉跌』(実践社)。『ブントの新改憲論』(大崎洋筆名)などがある。共著に『近代の超克』(石塚正英、工藤豊編、理想社)など多数。

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