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思想 【社会主義・共産主義】

アントニオ・グラムシの思想的境位

アントニオ・グラムシの思想的境位

生産者社会の夢・市民社会の現実

黒沢惟昭

価格: 2800円+税
発行日: 2008年9月9日
版型: A5判上製
ページ数: 256頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-0881-5
Cコード: C0030
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詳細内容

危機の時代に甦る、グラムシの思想!
戦争と殺戮、食糧と資源、貧困と格差、医療危機、社会保障の破綻など、人間の生存をめぐる末期的状況をもたらした市場原理主義。21世紀の世界は新たな危機の時代を歩みはじめた。
前世紀の危機の時代に生きたA・グラムシの思想と実践を再審し、今日の〈もうひとつの世界〉へ向けて、新しい抵抗ヘゲモニーの創造を模索する論集。

【目次】

アントニオ・グラムシの思想的境位──生産者社会の夢・市民社会の現実*目次

はじめに    7

凡  例    10

序 章 グラムシ思想への前哨──疎外、物象化、市民社会、ヘゲモニー 11
一 疎外について 11
二 物象化について──教育事象との関連── 18
三 市民社会について 26

第1章 「プロレタリアート」概念の再審──いま「ベルリンの壁の崩壊」を読む 39
  はじめに 39
一 ベルリンの壁の崩壊 43
二 唯物史観と歴史目的論 44
三 プロレタリアート概念の形成 47
四 プロレタリアートの内実 50
五 「具体的普遍」の内実と展開 54
六 法律上の権利の「先取り」の意味 56
  おわりに──総括にかえて 61
  付論 プロレタリアートと「哲学」(非=哲学)の結合 64

第2章 全ての人間は知識人である──グラムシ教育思想の根本問題 69
一 問題の所在と考察の視点 69
二 グラムシ教育論の要目 71
三 グラムシの教育思想──マナコルダ『グラムシにおける教育原理』の紹介にかえて── 74
四 「新しいタイプの人間の形成」 79

第3章 国家の市民社会への再吸収──組織された生産者社会の旋回 89
一 工場評議会運動の生成・展開──生産者社会の夢と挫折── 89
二 組織された生産者社会 94
三 ヘゲモニー概念の刷新と展開 101
四 「実践の哲学」における「反映」の意味 105
五 国家の市民社会への再吸収 118
六 政党─未来社会の構想 128
  小 括 133

第4章 ムッソリーニとグラムシ──ローマ・一九二四年~一九二六年 137
一 グラムシの帰国とムッソリーニ 137
二 ファシズムと都市 143
三 ムッソリーニとファシズムの教義 155
四 グラムシとムッソリーニ 160
五 二つのレクイエム 171

第5章 三池闘争の終焉と現代日本──生産者社会の夢・市民社会の現実 179
一 三池労組解散 179
二 三池炭鉱、苛酷な労務政策 184
三 去るも地獄、残るも地獄 187
補論・三池闘争の簡単な歴史 189
四 三池の足跡を辿る 192
補論・三池闘争と三池の学習活動について 193
五 三池の労働者との出会い 201
六 社会科学としての教育をめざして──恩師の質問、その後の研究遍歴── 203
七 「すべての人間は知識人である」──三池の学習を考える基礎理論── 205
八 眠れる豚 怒れる獅子 208
九 八人のさむらい 211
一〇 向坂教室の成立 214
一一 実践学習の組合組織化──三池学習会の特色── 215
一二 二〇年ぶりに三井三池労組を訪れて 218
一三 主婦の役割、子どもの問題 220
一四 現代の窮乏化と三池の遺産 222
一五 三池闘争の終焉と市民的ヘゲモニーの形成──総括と展望── 224
  おわりに 233

終 章 グラムシと教育研究──本書の総括にかえて 239
一 初期マルクスにおける疎外とその回復の思想 241
二 マルクスにおける疎外超克の問題点 242
三 グラムシにおける疎外回復の方法──ヘゲモニーへの関心── 243
四 市民社会におけるヘゲモニーの問題 245
  おわりに 247

あとがき    248

事項・人名索引    254

著者略歴

黒沢惟昭
1938年長野市に生まれる。1965年一橋大学社会学部卒業。1970年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。神奈川大学外国語学部教授、東京学芸大学教育学部教授、山梨学院大学大学院社会科学研究科教授などを経て、現在、長野大学教授。
著書:『グラムシと現代日本の教育』(社会評論社、1991年)、『国家・市民社会と教育の位相──疎外・物象化・ヘゲモニーを磁場にして』(御茶の水書房、2000年)、『疎外と教育の思想と哲学』(理想社、2001年)、『教育改革の言説と子どもの未来──教育学と教育運動の間』(明石書店、2002年)、『増補・市民社会と生涯学習──自分史のなかに「教育」を読む』(明石書店、2002年)、『人間の疎外と市民社会のヘゲモニー・生涯学習原理論の研究』(大月書店、2005年)、『現代に生きるグラムシ──市民的ヘゲモニーの思想と現実』(大月書店、2007年)ほか。
共編著:『グラムシと現代世界──20世紀を照らす思想の磁場』(社会評論社、1993年)、『苦悩する先進国の生涯学習』(社会評論社、2000年)ほか。
訳書:ジョージ・J・アンドレオポーロス、リチャード・P・クロード編著『世界の人権教育──理論と実践』(明石書店、1999年、監訳)、ノルベルト・ボッビオ著『グラムシ思想の再検討──市民社会・政治文化・弁証法』(御茶の水書房、2000年、共訳)、ピーター・ジャービス著『国家・市民社会と成人教育──生涯学習の政治学に向けて』(明石書店、2001年、共訳)ほか。

書評

[週間読書人 2009/1/16]

本書の著者・黒沢惟昭氏は早くからアントニオ・グラムシに注目して研究をしてきた教育学者として知られている。本書は黒沢氏の長年にわたるグラムシ研究の集大成である。著者が教育学者だからといって、本書は、教育にのみ視野を限定してグラムシの思想を検討したものではない。本書は、グラムシの思想の核心に教育の問題が位置づけられていることを鋭く抉り出し、しかもそれが現代の教育を考えるに当たっても非常に重要であることを明らかにするものである。この点において本書は、グラムシに関心を抱いている人びとのみならず、広く教育に関心を持つ人びとにも興味深いものである。

青柳宏幸

[出版ニュース2008.11下 2008/11/8]

イタリアの社会主義思想家で労働運動活動家であったアントニオ・グラムシ(1891~1937)の没後70年を機に、あらためて危機の時代を生きたグラムシ再評価の機運が高まっている。本書は、今日における新しい抵抗ヘゲモニーの創造と「もう一つの世界」に向けたオルタナティブを模索するためにグラムシの思想的・地平を検証、洞察する。

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