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カルチャー 【アート・コミック・アニメ】

宇宙戦艦ヤマトと70年代ニッポン

宇宙戦艦ヤマトと70年代ニッポン

アライ=ヒロユキ

価格: 2300円+税
発行日: 2010年11月25日
版型: 四六判並製
ページ数: 367頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1901-9
Cコード: C0030
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詳細内容

1977年、宇宙戦艦ヤマトは一気に社会現象になった。

アニメ・サブカルチャー文化/資本の成立を刻印したその作品世界を詳細に分析し、この時代の社会・文化思潮と重ねて論じる。宇宙戦艦ヤマト=70年代文化批評

【目次】

◯序章◯ 時代の危機に、ヤマト復活
  一九七七年、ヤマトは時代を動かした
  新作を生み出せないアニメ産業のかげり
  地球を救うため、なぜ戦艦大和が甦るのか
  七〇年代のスローライフ宣言が意味するもの

◯第1章◯ サブカルチャーの誕生
  ヤマトシリーズ全編に流れるもの
  パート1にこそ、ヤマトのすべてが
  ブラウン管の中の未知の体験
  誰も見たことのない光景が、第一話で展開された
  苛烈な戦闘は人間ドラマを際だたせるために
  「世界」の創出がサブカルチャーの始まり
  アングラ映画からサブカルへ受け継がれたもの
  リアリティの再構築が、アニメ進化の法則
  「日陰者」の意地がサブカルを成長させた
  ヤマトのリベンジは海外進出から始まった
  角川映画と劇場版ヤマト。映画界新参者の戦い

◯第2章◯ ヤマトの作者は誰?
  ケース1 西崎義展:時代への警鐘をくろがねの軍艦に託して
  ケース1.2 西崎義展:もののはずみから、ヤマトに名称変更
  ケース2 松本零士:戦争ではなく宇宙の大航海物語を
  ケース2.2 松本零士:松本ファンタジーに悲劇は似合わない
  ケース3 藤川桂介:主人公に時代への批判を込めて
  ケース4 舛田利雄:古代進のルーツは石原裕次郎?
  ケース5 宮川泰:歌謡ポップス最良の伝統をヤマトに込める
  ケース6 ゼロから作り上げたヤマトの色
  ケース7 動き、デザイン、効果音。すべて新しかった
  ケース8 軍艦マーチ事件。作品をめぐる解釈のズレ

◯第3章◯ 大切なコトはみなヤマトから学んだ
  老人の思想1 信念の男、沖田十三
  老人の思想2 自由人、佐渡酒造
  ヤマトは学園ドラマでもあった
  森雪:料理下手はヒロインの証
  洗練されたファシズム社会の魅力、ガミラス
  熱狂的ファンを生んだデスラー総統の気品と狂気
  ガミラス凡人伝:中間管理職の悲哀
  「古代君が死んじゃう!」で、声優が確立した
  目の前の現実より、魅力的なリアルがある

◯第4章◯ ヤマトは軍国主義か?
  波動砲は殺すために使わない
  困難突破に、使うのは英知
  メカの魅力は、威力ではなくリアリティ
  決して「負けない」強さに心を熱くした
  日本の外の視点を持とうとしない、大和フィクション
  空想科学小説のヒーロー、戦艦大和
  フィクションと史実のはざまで、藤川桂介がめざしたもの
  架空戦記と大和元乗組員の意識のズレ
  七色星団の決戦:敵味方を超えた、人としての共感
  ビーメラ星は植民地主義を告発する

◯第5章◯ 西暦2199年、過去への旅
  宇宙描写の多彩さでは、ナンバーワン
  ヤマトのルーツは西遊記だった
  ガミラス:科学信仰は宇宙帝国主義へつながる
  イスカンダル:C・S・ルイスと自然法の愛の思想
  イスカンダルかガミラスか。両者の間で揺れるヤマト
  未来への希望に裏づけられた物語、スター・トレック
  過去に「新たなる希望」を求めた物語、スター・ウォーズ
  科学者・真田志郎は、科学を憎んだ
  相原義一が還るべき故郷は、岩手か?

◯第6章◯ 孤独を脱した古代進が選んだ道
  「人類滅亡」の時代に求められたヒーローとは
  間違いだらけの古代進の選択
  温和な平和主義者が好戦的に。古代進のトラウマ
  孤独への耽溺が求める、宇宙と機械への合一
  宮沢賢治がマゼラン雲に込めたものとは
  吉本隆明が透視する、ヤマトとガンダムを貫く宇宙教
  オウム真理教が、ヤマトに託した夢
  捕虜を殺そうとして、古代進は他者に気づく
  戦争と競争社会の愚かさを初めて知る
  リーダーシップを否定するリーダーシップ
  対等に学び合う関係こそ、底力を引き出す


◯第7章◯ アニメビジネスの誕生
  おたくを生んだ、消費文化の新ステージ
  ファンの囲い込みという、ビジネスモデル
  メディアミックスは、作品イメージ拡大のために
  アニメ音楽という新市場の火付け役もヤマト
  交響曲で狙った、脱子どものハイカルチャー路線
  アニメプラモに、スケールモデルという発想を
  『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』はどう受け止められたのか
  続編で重視されたのは、エンタテインメントの盛り上がり
  時代は新展開へ。アニメ映画とアニメ雑誌の出現
  仮想敵はヤマト! ガンダムの挑戦
  クールジャパンの先駆け、ヤマトの愛され方

◯第8章◯ 続編検証:変節と不変のヤマト魂
  『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』~大スケールの悲劇で失われた闊達さ
  『宇宙戦艦ヤマト2』~勝利の爽快感とは無縁の戦い
  『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』~デスラーがシリーズ影の主役に
  『ヤマトよ永遠に』~昼メロ仕立てで強引な盛り上がり
  『宇宙戦艦ヤマトⅢ』~平和をめぐるデスラーと古代進の確執
  『宇宙戦艦ヤマト 完結編』~青春ミュージカルで大河ロマンに幕引き
  自己犠牲で戦いの矛盾を昇華
  自己犠牲は宗教的法悦へと誘う
  ヤマトは負けることにドラマがある
  ヤマトが敵に勝てない構造的理由
  女神が誘う絶対平和の思想
  デスラーはなぜ変わったのか
  迷いだらけの古代進の戦い
  公共哲学から解き明かす、古代進の迷い
  間違いだらけのヤマト批判~佐藤健志&千田洋幸
  ヤマト復活までの長い長い道のり
  『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』~「衝撃」に揺れるファン心理
  オカルト思想・アセンションと『復活篇』の関係?

◯第9章◯ 日本人乗組員だけが語れる物語
  時代の閉塞が求めた日本再発見
  角川映画とヤマトが交叉する地点
  アニメはどう日本に取り組んだか~宮崎駿&高畑勲、富野由悠季
  在日とサンデル。共同体の再考うながすふたつの問題提起
  ムラの再評価が意味するもの~守田志郎
  万博=進歩に突きつけられたNO~アングラ芸術は裸体を武器に
  戦後の忘却を揺さぶる、野性の肉体~唐十郎
  ヤマトが人間=身体性を強調する意味
  アングラ芸術とヤマトの共通点とは?
  戦艦大和と宇宙戦艦ヤマトの断絶
  崇高さを裏切り、過去を読み替えること
  『パート1』最終回にあらわされたふたつの縮図
  森雪の再生に託された、可能性という希望


  参考文献一覧
  あとがき

著者略歴

アライ=ヒロユキ
1965年生まれ。美術・文化社会批評。
美術、社会思想、サブカルチャーなどをフィールドに、評論誌、雑誌、新聞、展覧会図録などに執筆。
共著に『エヴァンゲリオン深層解読ノート』(1997年、大和書房)。
寄稿例として、「萌えアートを斬る!」、フセイン・チャラヤン展、鷹野隆大展展評(『週刊金曜日』)、金氏徹平+高山登展、朝鮮陶磁展展評(『しんぶん赤旗』)、照屋勇賢展(『琉球新報』)、池田龍雄展(『山梨日日新聞』)、「これでいいのか?今の画廊経営!」(『LR Returns』)、「なぜ『少女』『革命』なのか?『少女革命ウテナ』論」「『カムイ伝』の『転向』」(『ポップ・カルチャー・クリティーク』)、ほか。
NPO法人アート農園理事。文化地域起こし・千葉ウエストビレッジ・プロジェクト(2009、2010年)主宰/キュレーター。
http://homepage3.nifty.com/isegoria/

書評

[赤旗 2011/1/16]

それは、単に作品の内容を時代背景とリンクさせて論じるだけでなく、個人技ではないアニメの世界を構成する、プロデューサーの思考をも含めた論考 を通して、〈ヤマト〉は戦争や死を美化するものではなく、生きることを肯定する作品であることを論証していく。

岩渕剛

[読売新聞 2011/1/17]

1977年、劇場用映画として公開され、社会現象となったのはご存じのとおりだが、当時熱狂した子どもたちはいまは社会の中核を担う存在。その作品世界と当時の時代背景を詳細に分析し、現代の社会、文化と照らし合わせて考える。

[週刊金曜日 2010/12/3]

1977年に一気に社会現象になり、12月に実写版も公開された『ヤマト』。その作品世界を詳細に分析、時代の社会・文化思潮と重ね論じる。

小長光哲郎

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