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カルチャー 【文芸批評】

異郷の日本語

異郷の日本語

金石範 / 崔真碩 / 佐藤泉 / 片山宏行 / 李静和

価格: 2000円+税
発行日: 2009年4月20日
版型: 四六判上製
ページ数: 208頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-0951-5
Cコード: C0030
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詳細内容

安定した〈日本文学〉の環境、その基底材たる〈日本語〉を深く当惑させる目論み。かつて「文学」は、どこか特定の国家の名を冠して呼ばれ、理解されてきた。
「日本文学」という枠の外側に身を置いて、そこからあらためて「日本語」を考えることはできないだろうか。
作家・金石範を囲み、〈日本語文学〉〈ことばの呪縛〉〈植民地〉〈翻訳と身体〉などをめぐって交わされた対話の記録。

【目次】

[第1部]文学的想像力と普遍性……金石範
  文学的想像力の空間
  植民地支配の余波
  日本文学の「優位性」という感覚
  フィクションという現実
  「日本語文学」の意味
  「翻訳」が示しているもの
  無意識の世界も含めて書く

[第2部]シンポジウム・もうひとつの日本語
 「ことばの呪縛」と闘う──翻訳、芝居、そして文学 ……崔真碩
  翻訳の現場から
   1 李箱「翼」の翻訳をめぐって
   2 意訳との闘い、あるいは「翻訳の政治」
  芝居の現場から
  文学の現場から
   1 「ことばの呪縛」と闘う
   2 風化することへの焦り
  再び、翻訳の現場へ
  むすび

 いかんともしがたい植民地の経験──森崎和江の日本語 ……佐藤泉
  鋳型
  植民地の日本語
  歴史の犠牲者、歴史の行為者
  植民二世と在日二世

 菊池寛の朝鮮……片山宏行
  朝鮮行
  文芸銃後運動講演会
  「事変と武士道」
  朝鮮芸術賞
  半島文学
  馬海松という解

 討論……李静和(司会)・佐藤泉・金石範・片山宏行・崔真碩

[解説]非場所の日本語──朝鮮・台湾・金石範の済州……佐藤泉
  『客人(ソンニム)』──朝鮮戦争の記憶
  『幌馬車の歌』──台湾50年代左翼粛清の記憶
  金石範の日本語──四・三事件の記憶

著者略歴

金石範
1925年大阪生まれ。戦中、済州島で暮らす。
関西大学専門部経済学科、京都大学文学部美学科卒。
1957年、『文芸首都』に「看守朴書房」「鴉の死」を発表。
著書『金石範作品集』(1・2)平凡社、2005年、『火山島』(全七巻)文藝春秋社、1983年 - 97年、『在日の思想』筑摩書房、1981年(新編、講談社文芸文庫、2001年)、共著『なぜ書きつづけてきたか なぜ沈黙してきたか』平凡社、2001年、ほか。

崔真碩
1973年ソウル生まれ。翻訳者・役者・文学者。青山学院大学非常勤講師。テント芝居「野戦之月海筆子」の役者。
編訳書に『李箱作品集成』作品社、2006年、主な出演作に『ヤポニア歌仔戯 阿Q転生』(2008年11月東京、12月広島)、主なエッセイに「影の東アジア」(『現代思想』2007年2月号)、ほか。

佐藤泉
1963年足利生まれ。青山学院大学文学部教授。
早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。
著書『漱石 片付かない〈近代〉』(NHK出版、2002年)、『戦後批評のメタヒストリー─近代を記憶する場』(岩波書店、2005年)、『国語教科書の戦後史』(勁草書房、2006年)

片山宏行
1955年、北海道生まれ。青山学院大学文学部教授。
『菊池寛の航跡』(1997年、和泉書院)、『菊池寛のうしろ影』(2000年、未知谷)、『真珠夫人〈注解・考説〉』(編著、2003年、翰林書房)、『円タク・地下鉄〈コレクション・モダン都市07〉』(編著、2005年、ゆまに書房)。

李静和
韓国済州島生まれ。1988年来日。成蹊大学法学部教授。
著書『つぶやきの政治思想─求められるまなざし・かなしみへの、そして秘められたものへの』(青土社、1998年)、『求めの政治学─言葉・這い舞う島』(岩波書店、2004年)。

書評

[週刊金曜日 2009/6/12]

優れた出版活動を続ける社会評論社からは、昨年から『沖縄・問いをたてる』全六巻という、「安定した日本」にくさびを打ち込む論集が出たばかりだ。ここにも私たちの怠惰な「戦後」と「戦時」の認識をきびしく批判する「問い」の数々がある。私たちの今を「ポストコロニア」や「ディアスポラ」と名指そうとするときの、切実で厄介で居心地の悪い、「いかんともしがたい」問いの前に立ち尽くすこと。「日本語の異郷」はそこからしか拓けない。

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