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カルチャー 【文芸批評】

太宰治はミステリアス

太宰治はミステリアス

吉田和明

価格: 2000円+税
発行日: 2008年5月20日
版型: A5判並製
ページ数: 280頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-0953-9
Cコード: C0095
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詳細内容

2008年は没後60 年、2009年は生誕100 年。神話の森の外に太宰治を連れだそう。新しい太宰論の創生だ!

【目次】

はじめに     4
第1章 「水上心中」事件と結婚をめぐる謎     7

  1 三十歳初夏にもたらされた縁談          8
   2 「姥捨」が書かれた本当の理由          13
   3 文学の仮構と実生活の虚構          23
   4 家族の出席しない結婚式          33
   5 井伏鱒二の書いたものは信用がおけない          44
   6 人間失格の宣告          52
   7 「富嶽百景」という虚構(フィクション)          63
     附録          77

第2章 太宰の死顔は微笑んでいたのか     85

  1 「富士」の描写の意味するもの          86
   2 「月見草」はなにを象徴しているのか          93
   3 太宰は「芸術的抵抗者」か          101
   4 太宰の作品は私小説ではない          108
   5 私小説とはなにか          116
   6 郷ひろみと太宰治のアナロジー          127
   7 誰が太宰治を殺したのか          137
   8 山崎富栄と青酸カリ          152
   9 〈微笑する死顔〉の秘密          166

第3章 太宰治の死をめぐるミステリー     183

  1 残されていた二つの瓶の謎          184
   2 太宰の遺体を守る三人          193
   3 二人を結ぶ紐を切ったのは誰か          203
   4 太宰は山崎富栄に殺されたのか          215
   5 三枝康高『太宰治とその生涯』の嘘          231
   6 抱き合い心中した二人          248
   7 山崎富栄の日記に書かれていたこと          262

著者略歴

吉田和明
評論家・コラムニスト
千葉県館山市生まれ。法政大学経済学部卒業。東京工業大学社会理工学研究科博士課程修了。80年代に総合評論誌『テーゼ』を創刊、主宰。大学やカルチャーセンターの講師を務める。現在、日本ジャーナリスト専門学校講師。

[主要著書]
フォー・ビギナーズ『吉本隆明』1985 現代書館
フォー・ビギナーズ『三島由起夫』1985 現代書館
『吉本隆明論』1986 パロル舎
フォー・ビギナーズ『柳田国男』1986 現代書館
フォー・ビギナーズ『太宰治』1987 現代書館
フォー・ビギナーズ『芥川龍之介』1989 現代書館
『続・吉本隆明論』1991 パロル舎
フォー・ビギナーズ『宮沢賢治』1992 現代書館
『あしたのジョー論』1992 風塵社
『太宰治というフィクション』1993 パロル舎
『文学の滅び方』2002 現代書館

書評

[朝日新聞 2009/1/18]

吉田和明著『太宰治はミステリアス』(社会評論社)は人間・太宰をさめた視線で見つめる著者が、“太宰業界”に切り込む挑戦的な一冊。

[西日本新聞 2008/8/31]

本書は、太宰治作品をあらためて深く読み込むだけではなく、周辺で書かれた文章をも丁寧に検証しながら、作り上げられ固定化してしまった伝説というものを、解きほぐしていく。
まず最初に取り上げられるのは、太宰の死についてである。その死は衝撃的な力を持っていた。これを深く嘆いたのは、井伏鱒二だった。この井伏の嘆きが、独り歩きを始めて、太宰は「ふてくされた女に殺された」という固定した見方を作り上げていく。著者はこれを解きほぐしていく。

[東京新聞 2008/8/17]

数々の作品への解釈、心中相手・山崎富栄の日記解析、関係者の証言や意義を通じて、作品と作家の実相をさぐる。

[北海道新聞 2008/8/17]

井伏は、太宰の師であるということになっているが、その書き残したものを見ると、師であるという以上に友情という感情が深く働いている。友情から出た嘆きの言葉を事実と混同したところに伝説が生まれる余地があったのだ。と同時に、太宰自身が、読者の期待に応えてしまう性質を持っていたことも解き明かされていく。
そのようにして読み解かれた太宰論は素直に作品を読む現在の読者の生きた感想にもっとも近いものになっている。

[産経新聞 2008/6/29]

吉田さんの著書は、作家論という物語が作られるプロセス自体を偶像破壊的に語ったものといえるだろう。太宰治の「富嶽百景」は芸術的抵抗だった、太宰は山崎富栄に殺されたのだ、等々、太宰治という「物語」のキーとなる神話の形成過程を、吉田さんは執拗かつ饒舌に解きほぐしていく。

[東京新聞 2008/6/12]

文芸評論家吉田和明さん(五五)は先月、三冊目の太宰論となる『太宰治はミステリアス』(社会評論社)を刊行した。「太宰の死に顔は微笑んでいた」といった「太宰神話」に疑問を投げ掛け、その実相に迫った。
吉田さんは「作家は生誕百年を超えると評価が動かなくなる。これまでの太宰論を脱構築するには最後のチャンスになると思った。この本にはこれまでとは違う太宰がいるはずだ」と語る。

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