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図書目録

カルチャー 【文芸批評】

〈時間〉の痕跡 (下)

〈時間〉の痕跡 (下)

プルースト『失われた時を求めて』

青木幸美

価格: 4700円+税
発行日: 2016年11月25日
版型: A5判上製
ページ数: 562頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1915-6
Cコード: C0030

詳細内容

近代と現代を架橋するプルーストの〈時間〉との闘いのありようを解明する初の研究書完結!!


 下巻は,『失われた時を求めて』第三篇『ゲルマントのほう』から第七篇『見出された時』にいたる時間形成と意味形成を分析する。クロノロジー(年代記)は1919年の「ゲルマント大公夫人邸でのマチネ」と1926年のシャルリュス氏の死をもって完結することになる。本書がおこなった「時間のかたち」および「ミモロジック(言葉の夢想)」と「解釈の可能性」の分析は,おそらくは本邦初の試みであると思われる。じっさい第三篇から第七篇にいたる5篇をとおした詳しいテクスト分析そのものが,これまでほとんどなされていない。それゆえ,この下巻で提示した方法はこれまでに前例のない独自の挑戦である。

 本巻は,時間の痕跡をたどる具体的な分析によって,とくに,マルセル・プルーストの「イロニーの精神」とそのあらわれである『失われた時を求めて』における「遊びの美学」を追究する。これまでの通説では,主人公の「私」と語り手の「私」との距離は物語が進むにつれて縮まってゆき、最終的に融合して円環をかたちづくると言われてきた。けれども本書の解釈では,語り手の「私」は主人公の「私」を〈時間〉のなかに置きざりにしてしまうのである。そこにプルーストの時間との最後の闘いが賭けられているように思われる。

 この意味において,本書はまさに,シュピッツァー,クルツィウス,ヤウス,リクール,アウエルバッハ,エリアーデ,ジュネット,ヒューストン,ブランショ,レヴィナス,ベケット,デコンブ,デュクロ,プーレ,ジャンケレヴィッチ,バルト,クリステヴァ,ランシエール,ローティや,多くのプルースト研究家たちによる,強靭な洞察と読解をふまえながらも,そこから誰も試みなかった〈時間〉のフロンティアを求めて,さらにあらたな一歩を踏み出す企てである。

【目次】

主要目次
第6章 パリのゲルマントのほう
第7章 バルベックⅡ
第8章 アルベルチーヌの物語
第9章 シャルリュス氏の物語:1916年パリにもどって5日目の夜
第10章 ゲルマント大公夫人邸のマチネの日、語り手の現在への移行期
終章 
参照文献
人名索引
あとがき

著者略歴

青木幸美
1986年大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。フランス文学研究。

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