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図書目録

現代社会論 【アイヌ民族】

教育のなかのアイヌ民族

竹ヶ原幸朗研究集成 第1巻

教育のなかのアイヌ民族

近代日本アイヌ教育史

竹ヶ原幸朗

価格: 2800円+税
発行日: 2010年3月25日
版型: 四六判上製
ページ数: 283頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1702-2
Cコード: C0030
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【竹ヶ原幸朗研究集成 全2巻】

近代日本のアイヌ政策を追究し、現代の教科書のアイヌ関係記述を問う─著者・竹ヶ原幸朗の研究は、歴史と現在を往還する。
現代の教科書には20世紀の生活者としてのアイヌ民族の姿が描かれていない、これでは、「過去の、それも抑圧される対象としてのアイヌ民族の姿だけしか知ることができない」。これを打開するためにも、「研究の蓄積」が重要であり、「筆者も含めてアイヌ研究者の責任は重い」─著者の仕事の基底には、常にこの認識があった。近代アイヌ教育史研究の礎を築き、近代北海道史、近代アイヌ史、そして現代の教育を問い続け、自身の研究の課題とし続けた竹ヶ原幸朗。まさにこれからというとき逝った著者の論考を、ここに集成。
若い世代に向けて、自身の問題関心や研究の逸話などを綴った新聞連載「いまどきの子どもたちへ」からも、いくつかの掌編を折り込んだ。著者と様々なゆかりを持った、6名の方から文章を寄せていただき、「付録」とする。
詳細内容

近代日本のアイヌ政策を、教育にあらわれた「差別」と「同化」の問題を問い返す視点から明らかにした「近代日本のアイヌ教育」「近代日本のアイヌ「同化」政策」、明治期の国定教科書のアイヌ記述を分析し、現代にも通じる問題点を詳述した「虚構としての〈あいぬの風俗〉」などを収録。アイヌ民族に対する教育政策の歴史、和人教員による教育実践の諸相、教科書が描き出すアイヌ像の問題─近代日本のアイヌ教育の歴史をとおして、近現代日本の教育の問題を考え続けた著者の研究は、幅広い問題関心と丁寧な調査とがあいまって、現在においてより鮮烈な問いかけとなっている。

【目次】

はしがき

I 近代アイヌ教育の歴史像

     コラム いまどきの子どもたちへ1

 近代日本のアイヌ教育 同化教育の思想と実践

   はじめに --アイヌ教育研究の現状
   1 アイヌ同化教育への関心の成立
   2 アイヌ同化教育の思想 --岩谷英太郎のアイヌ教育思想
   3 アイヌ同化教育の確立
   4 アイヌ同化教育の実践 --吉田巌のアイヌ教育実践
   5 アイヌ同化教育の「終焉」
   おわりに --柳宗悦のアイヌ同化教育批判

 近代日本のアイヌ「同化」政策

   1 「アイヌ民族」の規定
   2 アイヌ民族の伝統的社会の子育ての習俗
   3 開拓使の教育政策とアイヌ民族
   4 遠藤正明のアイヌ教授実践 --札幌県のアイヌ教育政策
   5 北海道旧土人保護法の制定とアイヌ小学校の特設
   6 アイヌ民族の自覚と自立へのメッセージ
   7 柳宗悦のアイヌ論

近現代アイヌ教育の歴史像のために

II 近代アイヌ教育史の諸相

     コラム いまどきの子どもたちへ2

 アイヌ教育(史)研究の視点

 遠藤正明のアイヌ教授実践と開発主義教授法

 札幌県のアイヌ教育をめぐって

   はじめに
   1 三県時代のアイヌ教育の動向
   2 遠藤正明の閲歴
   3 遠藤正明の佐瑠太学校平取分校への派遣
   4 開発主義教授法に基づくアイヌ教授実践
   5 遠藤正明のアイヌ観
   おわりに

 上川第五尋常小学校関係史料

III 教育のなかの〈アイヌ民族〉

  --教育実践への視座

     コラム いまどきの子どもたちへ3

 小学校用社会科教科書に描かれた〈アイヌ民族〉

   はじめに
   1 敗戦後の小学校用社会科教科書の〈アイヌ民族〉記述の推移
   2 「新社会科教科書」の〈アイヌ民族〉記述の全容
   3 「新社会科教科書」の〈アイヌ民族〉記述の分析
   おわりに

     コラム いまどきの子どもたちへ4

 虚構としての〈あいぬの風俗〉

   はじめに
   1 〈あいぬの風俗〉の成立
   2 虚構のアイヌ像の創出と〈あいぬの風俗〉教材化の意図
   3 〈あいぬの風俗〉への視線
   4 アイヌ小学校教員の〈あいぬの風俗〉批判
   5 〈あいぬの風俗〉の終焉 --結びにかえて

 地理教科書のなかのアイヌ像

 日本人のアイヌ認識の形成

   はじめに
   1 地理教科書における〈アイヌ〉教材の初出
   2 近代史のなかの〈アイヌ〉教材
   3 地理教科書のなかのアイヌ像
   おわりに

 小学生のアイヌ観

 宇野浩二の児童文学とアイヌ ─被抑圧民衆・民族への関心

解題 小川正人

著者略歴

竹ヶ原幸朗
1948年北海道札幌市生まれ。
道立札幌南高等学校をへて國學院大學文学部史学科を卒業、東京都立大学人文学部教育学教室の研究生として小沢有作のもとで学ぶ。
その後札幌市職員となり、同市教育委員会で札幌市教育文化会館の設立に携わったことを皮切りに、伏古児童館、市立中央図書館等の勤務をへて、市民局で札幌市女性センターの開設などに携わった。
この間、1985年から北海道教育大学札幌分校非常勤講師として「日本教育史」の講義を担当。1991年5月に札幌市を退職し新札幌市史編集委員となる。同年、北海道大学大学院教育学研究科博士後期課程に入学。1997年4月から四国学院大学文学部教授。2008年3月25日死去。

主著
「アイヌ教育史」『教育学研究』第43巻第4号、日本教育学会、1976年
「青少年のアイヌ観」(小沢有作と共著)『人文学報』第144号、東京都立大学人文学会、1980年
「近代日本のアイヌ教育」『北海道の研究6 近・現代編(監)』、清文堂、1983年
「北と南を結ぶ尋常小学読本」『札幌の歴史』第22、24号、札幌市・札幌市教育委員会、1992、93年
「「解平社」の創立と近文アイヌ給与予定地問題」『近代日本と北海道』河出書房新社、1998年
「増補・虚構としての〈あいぬの風俗〉」『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』第14号、2008年

書評

[北海道新聞(「ほっかいどうの本」より抜粋) 2010/5/23]

明治以降、政府が進めてきたアイヌ政策には、日本人への同化を強 制する一方、アイヌ民族であるがゆえに社会から排除するという、二重の差別構造を内在化していたことが指摘されている。この近代日本のアイヌ政策、とくに教育のなかの同化と差別の問題を問い続け、2008年3月、59歳で亡くなった歴史研究者の著作集が刊行された。
(中略)
収められた論考から分かるのは、この分野の研究が長くおざなりにされていたということ。著者によって本格的な研究の第一歩が切り開かれたといっても過言ではない。

中舘寛隆

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