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図書目録

現代社会論 【アイヌ民族】

近代北海道史をとらえなおす

竹ヶ原幸朗研究集成 第2巻

近代北海道史をとらえなおす

教育史・アイヌ史からの視座

竹ヶ原幸朗

価格: 2800円+税
発行日: 2010年3月25日
版型: 四六判上製
ページ数: 335頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1703-9
Cコード: C0030
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【竹ヶ原幸朗研究集成 全2巻】

近代日本のアイヌ政策を追究し、現代の教科書のアイヌ関係記述を問う─著者・竹ヶ原幸朗の研究は、歴史と現在を往還する。
現代の教科書には20世紀の生活者としてのアイヌ民族の姿が描かれていない、これでは、「過去の、それも抑圧される対象としてのアイヌ民族の姿だけしか知ることができない」。これを打開するためにも、「研究の蓄積」が重要であり、「筆者も含めてアイヌ研究者の責任は重い」─著者の仕事の基底には、常にこの認識があった。近代アイヌ教育史研究の礎を築き、近代北海道史、近代アイヌ史、そして現代の教育を問い続け、自身の研究の課題とし続けた竹ヶ原幸朗。まさにこれからというとき逝った著者の論考を、ここに集成。
若い世代に向けて、自身の問題関心や研究の逸話などを綴った新聞連載「いまどきの子どもたちへ」からも、いくつかの掌編を折り込んだ。著者と様々なゆかりを持った、6名の方から文章を寄せていただき、「付録」とする。
詳細内容

日清戦後から日露戦前期において政府が作成した「北海道用尋常小学読本」─その歴史的な意味を、同時期に「沖縄県用尋常小学読本」が作成されていた事実に注目して考察した「北と南を結ぶ尋常小学読本」、近代におけるアイヌの様々な活動の中でも、「保護」政策の矛盾を厳しく糺そうとし、同時代の様々な社会運動からも着目された、「解平社」の歴史を初めて詳述した「「解平社」の創立と近文アイヌ給与予定地問題」など、「内国植民地」北海道の教育の実相や、自立・解放を目指したアイヌの活動の歴史に関する論考を収録。いま改めて読まれるべき、近代の北海道史・アイヌ史に関する著作を、ここにまとめた。

【目次】

はしがき

I 北と南をむすぶ尋常小学読本

  --近代北海道教育史研究の視角
     コラム いまどきの子どもたちへ1

 『北海道用尋常小学読本』について
   1 近代北海道の教育史的位置と『北海道用尋常小学読本』
   2 『北海道用尋常小学読本』の編纂過程
   3 『北海道用尋常小学読本』の内容
   4 『北海道用尋常小学読本』に対する教育界の反応

 北と南を結ぶ尋常小学読本

   はじめに
   1 『北海道用尋常小学読本』の成立過程
   2 『沖縄県用尋常小学読本』の成立過程
   3 『北海道用尋常小学読本』と『沖縄県用尋常小学読本』の編纂方法
   4 『北海道用尋常小学読本』と『沖縄県用尋常小学読本』の編纂理由とその背景
   おわりに

     コラム いまどきの子どもたちへ2

II 近代札幌の教育史

      コラム いまどきの子どもたちへ3

 「教育都市札幌」の実像

 第一節 教育機会の拡大とその矛盾
   1 初等教育の諸問題
   2 中・高等教育機関の拡充
   3 「錬成」と学徒勤労動員

 第二節 少年少女の進路の諸相
   1 小学校卒業者への「職業指導」体制の整備
   2 「少年職業戦士」の創出
   3 上級学校への進学と「受験準備教育」の実態

 第三節 幼稚園教育の成立と展開
   1 明治期の札幌の幼稚園
   2 大正期の札幌の幼稚園
   3 「幼稚園令」の制定と昭和戦前期の札幌の幼稚園
   4 「盲学校及聾唖学校令」の制定と札幌の障害者教育


 通俗図書館の成立

   1 明治三十年代の公共図書館設立論
   2 北海道教育会附属図書館の成立
   3 区立小学校附属図書館の設立

 札幌市中央図書館所蔵「札幌市教育会附属札幌図書館旧蔵図書」について

     コラムいまどきの子どもたちへ4


III 近代の札幌とアイヌ民族

 明治後期の札幌とアイヌ問題
   1 札幌アイヌ民族の諸相
   2 幻の「北海道旧土人救育会円山学園」設立計画

 昭和戦前期のアイヌ民族と札幌
   1 札幌でのアイヌ民族の活動とアイヌ関係展覧会の開催
   2 「バチェラー学園」の設立

IV アイヌの自立と解放を目指す近代史

 「解平社」の創立と近文アイヌ給与予定地問題

   はじめに
   1 「解平社」の創立時期と中核メンバー
   2 「解平社」メンバーの日本農民党入党と木下源吾
   3 「解平社」の創立と近文アイヌ給与予定地問題
   4 森竹竹市「解平運動」の意味と水平社運動への眼差し
   結びにかえて

 北海道アイヌ協会機関誌『北の光』

   『北の光』解説
   『北の光』解題

     コラム いまどきの子どもたちへ5

竹ヶ原幸朗 著作目録

著者略歴

竹ヶ原幸朗
1948年北海道札幌市生まれ。
道立札幌南高等学校をへて國學院大學文学部史学科を卒業、東京都立大学人文学部教育学教室の研究生として小沢有作のもとで学ぶ。
その後札幌市職員となり、同市教育委員会で札幌市教育文化会館の設立に携わったことを皮切りに、伏古児童館、市立中央図書館等の勤務をへて、市民局で札幌市女性センターの開設などに携わった。
この間、1985年から北海道教育大学札幌分校非常勤講師として「日本教育史」の講義を担当。1991年5月に札幌市を退職し新札幌市史編集委員となる。同年、北海道大学大学院教育学研究科博士後期課程に入学。1997年4月から四国学院大学文学部教授。2008年3月25日死去。

主著
「アイヌ教育史」『教育学研究』第43巻第4号、日本教育学会、1976年
「青少年のアイヌ観」(小沢有作と共著)『人文学報』第144号、東京都立大学人文学会、1980年
「近代日本のアイヌ教育」『北海道の研究6 近・現代編(監)』、清文堂、1983年
「北と南を結ぶ尋常小学読本」『札幌の歴史』第22、24号、札幌市・札幌市教育委員会、1992、93年
「「解平社」の創立と近文アイヌ給与予定地問題」『近代日本と北海道』河出書房新社、1998年
「増補・虚構としての〈あいぬの風俗〉」『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』第14号、2008年

書評

[北海道新聞(「ほっかいどうの本」より抜粋) 2010/5/23]

明治以降、政府が進めてきたアイヌ政策には、日本人への同化を強 制する一方、アイヌ民族であるがゆえに社会から排除するという、二重の差別構造を内在化していたことが指摘されている。この近代日本のアイヌ政策、とくに教育のなかの同化と差別の問題を問い続け、2008年3月、59歳で亡くなった歴史研究者の著作集が刊行された。
(中略)
収められた論考から分かるのは、この分野の研究が長くおざなりにされていたということ。著者によって本格的な研究の第一歩が切り開かれたといっても過言ではない。

中舘寛隆

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