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図書目録

現代社会論 【グローバリゼーション】

トービン税入門

トービン税入門

新自由主義的グローバリゼーションに対抗するための国際戦略

著 ブリュノ・ジュタン / 訳 和仁道郎 / 解説 金子文夫

価格: 2800円+税
発行日: 2006年3月9日
版型: 四六判
ページ数:
ISBNコード: ISBN978-4-7845-0870-9
Cコード:

詳細内容

通貨取引への課税を通じて、通貨投機を抑制し、世界の貧困問題の解決のための財源確保と国際機関の民主化をめざすトービン税構想。「もう一つの世界」を目指すグローバルな社会運動による実践的対案。(2006・3)

【目次】

第1章 通貨投機を抑制する税
  投機のもとになる過剰流動性
   この税の原理
   税はいかにして,誰によって支払われるのか?
   投機──それは自由主義的グローバル化への反対者たちによる発明か?
  投機とはいかなるものか?
   インターネット経由のささやかな通貨投機
   大規模な投機的攻撃と危機
  誰が投機を行なうのか?
  投機はいかにして行なわれるのか?
  それほどの規模の投機的攻撃に対して、通貨取引税はどのような役に立つことになるのか?

第2章 税収、管理および使途
   税収の推計
   税収をどう利用すべきか?
    第一の使途──「グローバル公共財」
    グローバル公共財の資金を賄うのにかかりそうな費用はどれくらいか?
    第二の使途──基礎的社会サービスへの普遍的アクセス
    収入と費用とを比較すると、資金調達がほぼ確保されることが示される
   税を管理するのはいかなる機関であるべきか?
    機関の目的と原則
    適当な機関は既に存在するか?
    新たな国際機関(FSDD)の構造
    予算審議は何を対象とすべきか?
    いかなる原則に基づいて資金を分配すべきか?
    各国開発プログラムをいかにして策定すべきか?
   補論
    脱税および租税回避に関する仮説
    税収の計算例

第3章 通貨取引税は技術的に実行可能である
   為替取引の三つの地点
   会計地において税を徴収するか?
   交渉地において税を徴収するか?
   徴収は支払地においてなされるべきであろう
    国内支払システムの三つの構成要素
    メッセージング・システム
    クリアリングハウス
    RTGS[即時グロス決済]システム
    支払地における徴収の利点
    ……そして、その限界
   CLS銀行プロジェクト
   脱税の可能性はどれくらいあるのか?
    予防措置をとっても、脱税は相変わらず最大級のものであろう 
    タックス・ヘイヴンおよび治外法権的(オフショア)金融センターの問題
    マネーロンダリング対策の教訓
    通貨の交換に代えて証券の交換を行なうことによる通貨取引税の回避
   補論──為替市場における取引のさまざまなタイプ

第4章 いかにして通貨取引税を実現すべきか?
   通貨取引税を支持する運動の前進
   世界のすべての国が合意に達するのを待つ必要はない
    EUは通貨取引税を実行に移すためのすべての条件を併せ持っている
    資本逃避のおそれ
    為替取引の海外移転のおそれ
   「通貨保護圏」の創設
   国際的なダイナミクスを生み出すヨーロッパのイニシアティブ
   世界通貨圏に奉仕する全世界的な通貨取引税は、単一世界通貨よりも優れた利点を有する
結論 金融の奪回はオルタナティブな経済政策を実行に移すための出発点であ

[解説]トービン税とグローバル市民社会運動      金子文夫
   はじめに
   1 ニクソン・ショックからアジア通貨危機まで
    トービン税の提唱
    グローバル化とトービン税の再発見
   2 アジア通貨危機以後
    NGOネットワークの拡大
    トービン税構想の深化
    体制側への浸透
   3 二〇〇四年以後の新局面
    MDGsの実現に向けて
    現実主義と理想主義

著者略歴

ブリュノ・ジュタン
フランス,パリ・ノール(パリ第 13 )大学経済センター経済学教員。
自動車産業の社会的生産モデル,発展途上国の労働市場と労働組織,金融市場の規制などを研究。
ATTAC フランス学術委員会メンバーで,資本規制,通貨取引税,その他国際公共財と開発の金融のためのグローバル課税問題を担当。グローバル課税を支持して欧州議会で証言,世界社会フォーラムに参加。関連論文多数。現在はタイで自動車多国籍企業の分析をしている。

和仁道郎
和仁道郎(わに・みちろう)
1962 年生まれ。横浜市立大学国際総合科学部教員。
東京大学大学院経済学研究科博士課程単位修得退学。
国際金融論・ヨーロッパ経済論などを研究。
主要論文「戦間期フランスにおける景気循環」(東京大学『経済学論集』, 1993 年),「欧州経済の構造と変遷」(『現代世界経済システム』東洋経済新報社, 1995 年),「 EU における経済的収斂と直接投資」(『横浜市立大学論叢』, 1998 年)。

金子文夫
1948 年生まれ。横浜市立大学国際総合科学部教員。
東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。
多国籍企業, ODA , FTA ,東アジア共同体などを研究。
横浜アクションリサーチセンター,トービン税研究会,オルタモンド会員。
主著『近代日本における対満州投資の研究』(近藤出版社, 1991 年),『顔のない国際機関 IMF ・世界銀行』(共著,学陽書房, 1995 年),『復興期の日本経済』(共著,東京大学出版会, 2002 年),『徹底検証ニッポンの ODA 』(共著,コモンズ,近刊)。

書評

[世界経済評論2006年7月号 2006/7/6]

これらの処方箋の核心に、1一九七二年にジェームズ・トービンが提唱したあらゆる為替取引に課税を行うトービン税があり、後にこれを発展させた通貨取引税がある。この税を起点として、通貨投機を抑制する方策が考案され、多国籍企業の脱税、租税回避を防ぐ必要性が明確になり、他のグローバル課税(たとえば、国際炭素税や武器取引税など)への展開が芽生え、これらの実施、税収管理の必要性から生じる国際機関の民主化の議論につながるという具合に、トービン税は「もうひとつの世界」をめざすグローバルガヴァナンスの探求に、重要な切り口を与えている。
このようにあらゆる処方箋の原点としてトービン税とその後の発展構想があり、海外ではこれらに関する多くの著書、論文が出版されている。他方日本では、トービン税構想の重要性にもかかわらず、これまで著書としてまるまるトービン税課税を論じたものはなかった。それゆえ、冒頭で「待望の本が出版された」と記したのである。

[赤旗2006年6月18日 2006/6/18]

一九七二年に通貨の国際取引に課税することで、マネーの暴走に歯止めをかけようという呼びかけをした近代経済学者がいた。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンである。そのため通貨取引税というアイデアは「トービン税」と呼ばれるようになった。本書は、市民団体と学者が共同で作成してきた最新の構想案を要領よく解説したもの。著者はフランス出身のエコノミストで、トービン税の実現をめざす市民団体「アタック」のメンバーである。著者は言う。通貨取引に0.1%という低率の税金を課したばあい、課税を忌避して取引額が三分の一に縮小したとしても、一千億ドルという巨額の税収を得ることができる。この税収を活用するならば、「貧困者の半減」といった、国連の掲げる「ミレニアム開発目標」の達成が可能となる。

[出版ニュース2006年6月中旬号 2006/6/1]

本書は、トービン税の起源から、その中身、実現可能な指針まで、トービン税を学び、活用するためのテキスト的役割も備えた実践論である。〈金融の奪回はオルタナティブな経済政策を実行に移すための出発点である〉というように、著者は政治的実現可能性を前提として、今日の国際的通貨投機、通貨取引の構造に一石を投じる対抗戦略と社会運動の方法論を定時している。日本では関心は薄いが本書によって深化したトービン税構想の全体像を理解することができる。

その他

読者感想

●2006年3月28日、匿名希望
昨今の「マネーゲーム」「虚業」の暴走に、暗い気持を抱いておりました。グローバライゼーションなるものが、結局のところ無軌道なお金の流れを将来するものであって、そしてそれはどう見ても人類の幸せにつながりそうもみちにみらしいではないか。こういうやるかたない思いをかかえつつ、ふと手に入れたこの本は、大げさに申せば、一条の光明のようでありました。豊かさをまわすべきところにまわし、すべての人がより幸福になる方向へ動くこと。実現性云々よりもまず、方向を指し示してくれているという意味で、このトービン税という提案に感銘を受けました。翻訳もたいへん明晰で経済の知識がほとんどない私にもよく理解できました。(日本語になっていない訳書が多いなか、この翻訳は実現に巧みです。仏文翻訳は非常に難しいはずですが、、、、)

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