トップ > 図書目録 > 現代社会論 【グローバリゼーション】 > 書籍詳細 : トヨタ・イン・フィリピン

図書目録

現代社会論 【グローバリゼーション】

トヨタ・イン・フィリピン

トヨタ・イン・フィリピン

グローバル時代の国際連帯

金子文夫 / 遠野はるひ

価格: 2800円+税
発行日: 2008年6月23日
版型: 四六判
ページ数:
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1468-7
Cコード: C0030
購入する
詳細内容

世界の労働界では有名なフィリピントヨタ社の労働争議。労働権を侵害した世界最大級の自動車メーカーが、現地政府を脅し意のままにするという絵に描いたような構図が、争議を政治的なものにした。(2008・6)

【目次】

はじめに………11

第1章 フィリピントヨタ社 17

1・1●フィリピントヨタ社の設立………19
 最初の進出 自動車国産化計画 撤退と再進出 トヨタの海外事業
1・2●フィリピントヨタの労働者たち………29
 第一期生たち 開業当時の工場 労働者たちの出身校
1・3●一九九二年のビクータン工場………40
 九二年入社組 日本での研修 最初の労働組合 複雑な労働法
1・4●カラバルソンの開発………58
 債務危機と援助計画 カラバルソン計画 カラカ発電所建設 バタンガス港開発 
 道路・高速道路建設 工業団地の造成 サンタロサ工場の新設


第2章 若者たちは闘う 77

2・1●フィリピントヨタ労組の前史………79
 新たな組合づくり 傷害未遂事件 早期退職の実施
2・2●新組合の結成………87
 組合の登録 組合承認選挙 組合は承認された 運命の公聴会
2・3●ストライキに突入………102
 三月一六日、大量解雇 ストライキは楽しい 労使の天王山
2・4●弾圧がはじまる………114
 トヨタ撤退の脅し 長官がスト現場に ピケが急襲される スト中止へ


第3章 飛び散る火種 131

3・1●争議は日本へ………133
 火種はメールで 若者たちと会う エド委員長訪日
3・2●連帯は広がる………147
 暴力を振るわれる 日本からの激励団 不当な裁定と告訴 トヨタ本社に赤旗が
3・3●困難に挑戦しよう………168
 社内では労使協調路線 解雇者への仕打ち マルチプロジェクト プロジェクト現場を訪問 
 強制送還の脅し 解雇者は語る 日本大使館は誰の味方か
3・4●希望が見えた………188
 会社派組合の結成 プロジェクトの失敗 困窮の日々 画期的な最高裁決定 日比同時行動日

第4章 どちらの道を選ぶのか 205

4・1●多国籍企業の規制………208
 ILOとOECDに提訴 多国籍企業規制の背景 多国籍企業と対峙するIMF
 IMFとのつながり 反グローバリゼーション運動の中で ムンバイ世界社会フォーラム
4・2●二〇〇〇年代のトヨタ………235
 トヨタのASEAN展開 ASEANの自動車産業 フィリピントヨタ社の動向 
 トヨタ生産システムの輸出 非正規雇用の導入 労使協調型組合の育成
4・3●アロヨ政権と日本………256
 アロヨ政権とは 日比経済連携協定の推進 フィリピン政府と日系企業

第5章 闘いは国境を越える 271

5・1●さらに強い絆で………273
 会社は交渉拒否 みんな元気だ ゼンゾウセンへの加盟 逮捕者が出る ヨーロッパからの連絡
5・2●新たな危機………288
 会社派組合、承認選挙へ ILO総会でロビー活動 フランスで支援要請
5・3●承認選挙の実施………305
 選挙キャンペーン IMFの登場 交渉は時間かせぎ 二〇〇六年二月一六日
5・4●グローバルキャンペーン………318
 IMF本部の仲介 オスロ会議へ 日本政府は、労働組合は グローバルキャンペーン第一波 
 二一人逮捕される 九月一二日は世界共同行動日

   終章………343
 闘いは続く 「下からのグローバル化」を

   主要参考文献・ウェブサイト………355
    フィリピントヨタ闘争略年表………360
    あとがき………362

著者略歴

金子文夫
金子文夫(かねこ・ふみお)
1948年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。横浜市立大学教員。「横浜アクションリサーチセンター」で、日系多国籍企業、日本のODA、 FTA、東アジア共同体、国際連帯税などについて研究する。「フィリピントヨタ労組を支援する会」事務局、「オルタモンド」運営委員。主著『近代日本における対満州投資の研究』(近藤出版社)。

遠野はるひ
1951年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。「アジアの女たちの会」などで、多国籍企業の労働問題、買春観光・基地買春・移住労働者などの調査・支援活動をする。現在は「横浜アクションリサーチセンター」代表、「ピープルズプラン研究所」運営委員。「フィリピントヨタ労組を支援する会」、「オルタモンド」事務局で多国籍企業の規制にとりくむ。

書評

[労働情報 2008/8/15]

本書は、フィリピントヨタ社における労働争議を綴った闘いの記録である。この争議がフィリピン国内における労働者と、資本や政府とのあいだの対峙を越えて、日比の労働者・市民との連帯、そして世界各地の労働者が連帯の取り組みを行うというグローバルに展開していったプロセスが克明に記されている。

[インパクション165 2008/6/8]

フィリピントヨタ争議は、まだ規模としては小さいかもしれない。だが、それは企業のグローバルな支配秩序とはまったく別の労働者の世界があることを示している。ゼネストはすでにはじまっている。古くて新しい、ゼネストという希望の理念を思い起こさせてくれる好書として、わたしはぜひ本書の一読をお薦めしたい。

[社会新報 2008/6/8]

争議が始まってすぐ政治的な色合いが強まった。トヨタなど現地に進出している日本企業が、フィリピン政府に争議を解決しなければ撤退すると圧力をかけたからだ。
自分たちの思いどおりにしたい多国籍企業と、その意を受けた形でしか対応しない現地政府。しかし労働基本権は認められねばならない。組合側の主張に沿ったILO(国際労働機関)勧告が出され、国際労働団体であるIMF(国際金属労働組合連盟)も動き出した。

▲ページTOPへ