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図書目録

現代社会論 【政治・経済】

「安全第一」の社会史

「安全第一」の社会史

比較文化論的アプローチ

金子毅

価格: 2700円+税
発行日: 2011年7月23日
版型: A5判並製
ページ数: 232頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1806-7
Cコード: C0030

詳細内容

なぜ日本人に「安全」という考え方が根付かなかったのか。「safety-first」 の淵源をたどり、近代日本の「安全第一」概念の構築過程を歴史文化論的観点から紐解く。

【目次】

「安全第一」の社会史─比較文化論的アプローチ*目次
まえがき─東日本大震災によせて 7
序 章 なぜいま「安全第一」なのか? 13
(1)頻発する事故は社会の「共有財産」なのか? 13
(2)「安全神話」は「安心神話」だったのか? 19
第1章 「安全」をめぐる諸研究と本書の視座 27
(1)メタ学問としての「安全学」成立まで 27
(2)文化的ハイブリッドとしての「安全第一」へ─「生活知」のレベルから 32
第2章 言説形成より見た日本的「安全第一」─戦前・戦中期 41
2─1 民間主導の時代 41
(1)民間活動としての「安全」(1912-1921年) 41
1)地域に閉じた「安全」─足尾鉱山における「安全」 41
2)民間における組織活動の開始─工場における「安全」 43
(2)安全活動への警察の介入─工場警察、交通警察の登場 53
2─2 国家による間接的関与の時代 57
(1)内田嘉吉と「日本安全協会」の活動(1921-1925年) 57
1)内務省社会局の設立と「日本安全協会」 57
2)「安全」理念の啓蒙・─善悪二元論 58
3)「安全」理念の啓蒙・─祟り伝承を通じた災因解釈 61
4)「安全」理念の啓蒙・─英雄伝承に倣って 62
5)「安全」理念の啓蒙・─大乗仏教・小乗仏教とのアナロジーから 66
6)労働者たちの反感と無自覚 67
(2)蒲生俊文と「産業福利協会」の活動(1925-1936年) 68
1)「産業福利協会」の沿革と活動 68
2)工学対法学、そして「漸進主義」への落着─アメリカとの比較から 71
3)「安全」をめぐる諸概念の登場と「安全週間」の実施 73
4)労働者たちの現実認識 75
2─3 国家による直接的支配体制への移行 77
(1)産業報国への動員─協調会の活動と「協調会産業福利部」(1932-1940年) 77
1)協調会から協調会産業福利部へ 77
2)厚生省の設立と安全活動 79
3)物語られる「安全第一」─機械への愛着心の醸成 82
(2)総力戦体制の確立(1940-) 85
1)総力戦体制への移行─大日本産業報国会への統合 85
2)産業戦士像の構築 88
(3)小活─「安全」理念の受容をめぐるハイブリッド 92
1)アメリカ流洋才とのハイブリッド 93
2)ドイツ流洋才とのハイブリッド 93
第3章 言説形成より見た日本的「安全第一」
    ─高度経済成長期 101
3─1 労働災害の急増と「安全」意識の再燃─マニュアル化される労災イメージ 101
(1)「安全」再降臨の時代背景 101
1)高度経済成長の光と影 101
2)労災実態のレトリックを超えて 104
(2)災因認識をめぐるターニングポイント 105
1)従来からの労災認識 105
2)「safety」としての再出発だったのか?─G. H. Q 特別「安全顧問」ウォルターの問いかけ 108
3)マニュアル化される「安全第一」 112
3─2 創出される労災イメージ─労働省の指定工場化 115
(1)労働者の技能を磨り潰す「安全」の語り─「身代わり」言説と「産業安全映画」 115
1)「保護具=身代わり」という語り 117
2)「産業安全映画」を貫く「フール・プルーフ」 123
(2)潜在危険の発見とその形象化 128
1)顕在危険から潜在危険へ 128
2)潜在危険をめぐるヒヤリハット運動 130
3)形象化された潜在危険─「災害小僧」の登場 132
4)形象化された「安全第一」─「緑十字」を掲げる「安全小僧」 136
第4章 社員教育システムを通じた「安全第一」の実践 139
4─1 安全教育という名の「監視」 139
(1)「監視」としての安全教育 139
(2)監視の象徴としての作業着 141
(3)監視される「笑顔」─感情管理をめぐって 145
4─2 「安全」テキストによる教育実践─原著と翻訳の比較から 148
(1)社会科テキストにみる安全教育 148
1)マニュアルからテキストへ 148
2)社会科教育の礎・灘吉国五郎 149
3)テキストの構成から何が読み取れるか 153
4)「愛社心」による「安全第一」実践の喚起 156
(2)「安全」テキストの指導原理─ハインリッヒ理論 159
1)ウォルターからハインリッヒへ 159
2)原著にみる「ハインリッヒ理論」の概要 162
3)邦訳版「ハインリッヒ理論」のコンテクスト 168
4─3 ねじ曲げられたハインリッヒ理論─灘吉資料に見るテキスト化の軌跡 173
(1)「ハインリッヒ理論」の日本的受容と教育実践 173
1)U. S スティール会社の「安全第一」逸話と物語化 173
2)「安全はもうかる」/「損失は補償する」 176
(2)労働者たちの静かな叛乱 182
1)灘吉資料にみる「ハインリッヒ理論」流用の現状 182
2)演出された「安全」の虚構性 186
3)ハビチュアル・レスポンスとしての「安全」実践 189
4─4 生き抜くための「戦術」─生活知による「安全」の読み替え 191
(1)「タコをやる」という抜け目なさ 191
(2)「安全」をめぐる生活知が「不安全」を招く 195
(3)「安全」のための「不安全」という逆説 197
終 章 要約と展望 201
(1)日本近現代史における「安全第一」研究の意義 201
(2)比較文化論の射程としての「安全第一」 205
参考資料 215
参考文献目録 221
あとがき 227

著者略歴

金子毅
1962年埼玉県生まれ。国学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期修了退学。
博士(人間環境学)九州大学。大韓民国・世明大学教授。
専攻は文化人類学、経営史、安全文化論。
著書に『八幡製鉄所 職工たちの社会誌』(草風館)、『会社のなかの宗教』(共著、東方書店)、『現代民俗誌の地平 第一巻(越境)』(共著、朝倉書店)、「『安全第一』理念をめぐる日本文化論的研究─『safety-first』と『安全第一』のあいだ」(乙種博士学位論文、九州大学大学院人間環境学府)「日本の近代化過程における『安全神話』のポリティクス」(『文化人類学』第69巻第4号)などがある。

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