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現代社会論 【科学技術】

エンハンスメント論争

エンハンスメント論争

身体・精神の増強と先端科学技術

粟屋剛 / 加藤尚武 / 金森修 / 島薗進 / 霜田求 / 土屋敦 / 松田純 / 上田昌文(編) / 渡部麻衣子(編)

価格: 2700円+税
発行日: 2008年7月28日
版型: A5判
ページ数:
ISBNコード: ISBN978-4-7845-0615-6
Cコード: C0040
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詳細内容

生命科学、先端技術の発展は、人間の身体や精神に対する技術介入の可能性を急速に拡大させた。それはどこまで許されるのか? 最新の現状をめぐる多様な議論を集大成。(2008・7)

【目次】

はじめに 渡部麻衣子9

第Ⅰ部 ベター・ヒューマン――人間増強の政治学――

前 文マーク・ウォルポート(Mark Walport) 14

第1章 もっと強く、もっと長く、もっと賢く、もっと早く 15
ポール・ミラー(Paul Miller)
ジェームズ・ウィルスドン(James Wilsdon)
よりよい定義 16/世界で最も危険なアイデア? 19
よりよい民主主義 23/よりよい政策 25

第2章 人間性を改善してはいけないのか 30
アーサー・カプラン(Arthur Caplan)
「である」・「すべき」・「できる」? 31/完全を求めること? 32
改良と虚栄 33/公平と公正(equity and fairness) 34
満足が保証されている? 35/流動する被造物 37

第3章 指数関数的発展の世界へようこそ 40
ニック・ボストロム(Nick Bostrom)
人工知能の展望 40/ナノテクノロジーの見込み 44
収斂と特異点 46

第4章 永遠に生きたい男 50
ポール・ミラー(Paul Miller)
ジェームズ・ウィルスドン(James Wilsdon)
不名誉な預言者? 51/誰が永遠に生きたいか 53
長い生への秘訣 55/一般の人々との対話 57

第5章 種族としての超人主義者 58
グレッグ・クラークス(Greg Klerkx)
現代のメチニコフたち 59/楽観主義の第二の波 61
人間以上のもの 63

第6章 脳を得る 66
スティーヴン・ローズ(Steven Rose)
脳と心を治療する 68/社会問題の医療化 70
治療と増強の境界線について 71/心を読む、考えを管理する 72
ではわたしたちはどうするべきか 74

第7章 教室の中のスマート・ドラッグ 76
ダニエル・ターナー(Danielle Turner)
バーバラ・サハキアン(Barbara Sahakian)
処方薬の使用と乱用 77/なにをもって「エンハンスメント」とするか 78/リストとベネフィット―どちらに重きを置くか 79
教室での薬 80

第8章 デザインでよりよく? 84
サラ・フランクリン(Sarah Franklin)
願望とデザイン 87/PGDの未来を統治する 90

第9章 さらなる命を 94
ジョン・ターネイ(Jon Turney)
不死の歴史 95/意図しない死の原因をなくす 97
どれだけで十分なのか 99

第10章 つぎはぎの国 103
デッカ・エトケンヘッド(Decca Aitkenhead)
メディアのせい? 104/害のない楽しみ? 107
フェミニズムはどうか 112

第11章 完全犯罪 115
レイチェル・ハースト(Rachel Hurst)
完全さとは何か 116/なぜわれわれは完全さを求めるのか 117
代替案はあるのか 119/障害者の貢献 121

第12章 未増強の下層階級 123
グレゴール・ウォルブリング(Gregor Wolbring)
健康(Health)と健全さ(well-being)のモデルと要因 123
超人主義モデル 124/エンハンスメントの結末 126

第13章 頭がよければ幸せ? 131
レイ・パーサウド(Raj Persaud)
頭のよさと自殺 131/聡明であることの重荷 133
感情的知性のエンハンスメント 134/性、対立、幸福 135

訳 注 140

あとがき 上田昌文 145

第Ⅱ部 エンハンスメントと生命倫理

第1章 エンハンスメント論争をめぐる見取り図 土屋 敦 150
――歴史的源泉と現在的争点を中心に――
1.エンハンスメントの定義 150/2.「エンハンスメント論」の過去と現在 152/3.概念区分 156/4.エンハンスメント論の展開と議論の構図 158/5.結語にかえて:「エンハンスメント(能力増強)」とは何か? 168

第2章 エンハンスメントの倫理問題 加藤尚武 177
はじめに 177/1.定義と基本的な問題点 177/2.医療社会の変容 179/3.医療の正当性概念 181/おわりに 182

第3章 エンハンスメントと<人間の弱さ>の価値 松田 純 183
1.幹細胞研究と再生医工学がもたらすもの 183/2.エンハンスメントの種類と倫理的問題 183/3.エンハンスメントによって医療は健康サービス業へと変質する 184/4.エンハンスメントは「人間のありよう(conditio humana)」に合致するか? 185/5.人間の<弱さ>がもたらす価値 191/6.二方向からの挑発 193

第4章 ホモ・ジェネティクスへの文化的随行 金森 修 200
1.医療的なテクノクラシーと「バイオ・ラッダイト」の狭間で 200/2.人間の自己構築性の過激化 202/3.人間の自己設計に関する文化的統治 209

第5章 人間は翼を持ち始めるのか? 粟屋 剛 218
――近未来的人間改造に関する覚書――
はじめに 218/1.伝統的および現代的人間改造 218/2.近未来的ないし未来的人間改造 220/3.人間改造の背景――欲望・テクノロジー・文明―― 238/おわりに 240

第6章 生命の設計と新優生学 霜田 求 250
はじめに 250/1.生命の設計 251/2.遺伝子操作と新優生学 255/3.生命の設計と社会の設計――新優生学の構想 258/おわりに――新優生学的思考に抗する倫理の構築に向けて 261

第7章 生命の価値と宗教文化 島薗 進 266
――生命科学技術と生命倫理をめぐる文化交渉の必要性――
1.生命科学の発展と人類社会の未来 266/2.人の胚の研究利用をめぐって 270/3.「新しい優生学」への抵抗 275/4.生命の価値をめぐる国際協議と宗教文化 282
( )内の数字は原注、★の数字は訳注を示す。

<第Ⅱ部初出一覧>
  第1章 土屋 敦 本書への書き下ろし
  第2章 加藤尚武「エンハンスメントの倫理問題」『日本医師会雑誌』134(1)(2005年4月)34-37頁
  第3章 松田 純「エンハンスメント(増強的介入)と<人間の弱さ>の価値」島薗進・永見勇(監修)『スピリチュアリティといのちの未来危機の時代における科学と宗教』人文書院,2007年1月p.114‐130
  第4章 Osamu Kanamori 〓Cultural Attendance on Homo Geneticus" Journal of International Biotechnology Law, vol.2, no.1, 2005, pp.34‐40(訳出)
  第5章 粟屋 剛「人間は翼を持ち始めるのか?―近未来的人間改造に関する覚書」(西日本生命倫理研究会編『生命倫理の再生に向けて』149~193頁、青弓社、平成16年4月)
  第6章 霜田 求「生命の設計と新優生学」『医学哲学医学倫理』(21)(2003)31‐45頁
  第7章 島薗 進「生命の価値と宗教文化:生命科学技術と生命倫理をめぐる文化交渉の必要性」『死生学研究(2005年春号)』東京大学21世紀COE「死生学の構築」機関紙

著者略歴

粟屋剛
九州大学理学部及び法学部卒業。西南学院大学大学院法学研究科博士課程、徳山大学教授等を経て、現在、岡山大学大学院医歯(薬)学総合研究科教授。博士(医学、岡山大学)。専門は生命倫理及び医事法。
1992年以降、インド、フィリピンにおける臓器売買、中国における死刑囚からの臓器移植、アメリカにおける人体商品化などについての実態調査を行う。中国の死刑囚移植については、1998年、アメリカ連邦議会(下院)にて証言及び意見陳述を行う。

加藤尚武
東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻・博士課程退学。京都大学大学院文学研究科教授などを経て、現在、鳥取環境大学客員教授。
著書に、『ヘーゲルの法哲学』(青土社)など多数の哲学研究書とともに、本書のテーマとの関連では『価値観と科学/技術』(岩波書店)、『資源クライシス』(丸善)などがある。

金森修
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、現在、東京大学大学院教育学研究科教授、博士(哲学・パリ第一大学)
専門:科学思想史・フランス科学認識論
著書:『バシュラール』(講談社)、『サイエンス・ウォーズ』(東京大学出版会)、『科学的思考の考古学』(人文書院)、『遺伝子改造』(勁草書房)他

島薗進
東京大学大学院で宗教学を学ぶ。近代日本宗教史、比較宗教運動論を研究。現在、東京大学文学部教授(宗教学専攻)。
著書に『ポストモダンの新宗教』(東京堂出版)、『<癒す知>の系譜』(吉川弘文館)、『いのちの始まりの生命倫理』(春秋社)など多数あり。

霜田求
大阪大学大学院文学研究科(哲学哲学史・倫理学専攻)博士後期課程単位取得退学。文学博士(大阪大学)。現在、大阪大学大学院医学系研究科(医の倫理学分野)准教授
共編著に『コミュニケーション理論の射程』(ナカニシヤ出版)、『生命倫理と医療倫理 改訂2版』(金芳堂)、共著に『医療と生命』(ナカニシヤ出版)などがある。

土屋敦
東京大学大学院人文社会系研究科社会学専門分野博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院人文社会系研究科G‐COE「死生学の展開と組織化」特任研究員。専門:生命倫理、医療社会学、科学技術社会学
主要論文:「北東アジアの優生法―日本・韓国・台湾・中国の立法過程比較分析から」『コロキウム』(創刊号)2006年5月 「遺伝子技術に対する社会的受容意識の形成要因――「知識欠如モデル(Deficit Model)」の検証を中心に)」『ソシオロゴス』vol.32(2008年)他。

松田純
東北大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、静岡大学人文学部教授。専門:生命環境倫理学、人間学
著書に、『遺伝子技術の進展と人間の未来――ドイツ生命環境倫理学に学ぶ』(知泉書館)、監訳 ドイツ連邦議会答申『人間の尊厳と遺伝情報――現代医療の法と倫理』(知泉書館)、小椋宗一郎との共訳、生命環境倫理ドイツ情報センター編『エンハンスメント――バイオテクノロジーによる人間改造と倫理』、(知泉書館)

上田昌文

渡部麻衣子

書評

[ナーシング・トゥデイ Nursing Today 2008/11/8]

医療、薬、電子工学などを駆使したエンハンスメントは生命倫理の重要命題だ。海外の文献の翻訳と、日本人研究者の論文を集め、技術の概容と論点の所在がつかめる構成。

[公明新聞 2008/10/20]

第II部(「エンハンスメントと生命倫理」)ではこの問題について日本の代表的論者による関連論文がまとまった形で掲載されており、現段階での日本の主だった論点が集約されている。

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