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戦争と平和 【歴史認識】

戦争記憶の継承

戦争記憶の継承

語りなおす現場から

松尾精文(編著) / 佐藤泉(編著) / 平田雅博(編著)

価格: 3200円+税
発行日: 2011年3月20日
版型: A5判上製
ページ数: 384頁
ISBNコード: ISBN978-4-7845-1503-5
Cコード: C0030
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詳細内容

沖縄、朝鮮、アウシュヴィッツ……。
語られる戦争体験のまえで生じる「とまどい」。
同じ体験、同じ前提をもたない者たちの間で、なお共同でなされる想起の可能性はあるのか?
青山学院大学総合研究所研究叢書

【目次】

 はしがき………松尾精文・佐藤泉・平田雅博


[序章]戦争記憶を記憶する ●佐藤泉

  1 「戦争記憶」への関心
  2 「歴史」の認識論的転回
  3 相対主義の時代と倫理の問題
  4 「表象(不)可能性」「記憶の場」「継承」
  5 日本社会の記憶の輪郭
  6 記憶の記憶化への参与
  7 「聞き手」の思想
  8 本書の構成


[第1章]沖縄戦「集団自決」をめぐる「記憶」の抗争─一九四五年三月二十五日夜の出来事 ●宮城晴美
 
  はじめに─ 法廷を利用した「記憶」の再構築
  1 座間味島「集団自決」の概要
  2 元戦隊長の「記憶」
  3 A氏の証言
  おわりに─ 歴史修正主義者の意図するもの

[第2章]沖縄県の戦争体験者のいま─戦争体験の捉え方の変化に注目して ●吉川麻衣子
    
  はじめに─ 語り手のペースを大切にすること
  1 沖縄戦の体験者との研究
  2 沖縄戦を体験した二〇人の語り部たち
  3 語り部たちへのインタビューの方法
  4 戦争体験に対する捉え方の変化のきっかけとなった事柄・体験者の想い
  5 語り部の語り
  6 沖縄戦の体験者にとっての戦後の意味
  おわりに─ 戦争体験を語ること・聴くことについての私論

[第3章]戦争記憶の戦後世代への継承─心理学の視点から●北村文昭
    
  はじめに
  1 本章担当者について
  2 継承について
  3 継承の安定性について
  4 メディアの信頼性について
  5 目的的な語りについて─ 目的の変わりのなさ
  6 いま、語りを継承する意義
  7 調査について─ 戦後生まれのひめゆり平和祈念館の人々の思い

[第4章]映画に見る朝鮮戦争の記憶─ 米・韓・日の比較において●宋連玉    

  はじめに
  1 朝鮮戦争とはどのような戦争だったのか…
  2 朝鮮戦争を描いた映画(米、オランダ、北朝鮮、中国、韓国)7
  おわりに─朝鮮戦争の記憶を繋いでいくために

[第5章]加害記憶の伝達と継承を支える方法とは何か?─「博物館」をめぐる「歴史戦争」の場から●君塚仁彦

  はじめに
  1 オットー・ヴァイト視覚障害者工作所博物館─「抵抗の拠点」の博物館化
  2 加害記憶の継承を支える方法とは何か?─歴史の現場、そして「躓きの石」
  3 東北アジアの「歴史戦争」「平和」「和解」を考える─一九九〇年代を見据えて
  4 「戦争博物館」の復活と台頭
  5 沖縄戦の戦争記憶を「伝える」ことを通して─忘却への抵抗としての歴史教育

[第6章]ロンドンの帝国戦争博物館●平田雅博

  はじめに─戦争記憶の風化と次世代への継承
  1 帝国戦争博物館の常設展
  2 博物館による戦争教育
  おわりに─学校と博物館のつながり

[第7章]戦争の記憶と戦争犯罪追及─公衆の追憶と公的追及の狭間について ●新倉修   

  1 ホロコーストの史跡を歩く
  2 追想の形─ワルシャワとクラクフ、ベルリンとラフェンブリュック
  3 大きな物語と戦争体験
  4 戦犯追及と戦争の記憶

[第8章]いま「戦争」を語ること●杉浦勢之

  1 「戦争」を巡る
  2 「危機」を語る言葉
  3 総力戦とその「外」
  4 「戦争」を語る言葉
  5 「死」を語る言葉
  6 一九六九年、もう一つの戦争から

[第9章]学生たちは戦争記憶とどのように向き合ったか●松尾精文

  1 学内公開フォーラム開催の経緯
  2 学内公開フォーラムの概要
  3 一連のフォーラムから、学生たちは何を学び、また何を考えたか
  4 戦争体験、戦争記憶と、どのように向き合うか
  おわりに

[補章]私たちは戦争体験をどのように受けとめ、引き継げばよいのか─学内公開フォーラムの記録から
    
  第1回フォーラム 歴史と記憶─過去を死なせないために(平田雅博)
  第3回フォーラム(1) 「歴史を逆なでする」博物館(君塚仁彦)
  第3回フォーラム(2) ホロコーストを次世代に伝える(中谷剛)
  第3回フォーラム(3) ひめゆり資料館を継承する(仲田晃子)
  第3回フォーラム(4) パネルディスカッション

著者略歴

松尾精文
1945年生まれ。青山学院大学文学部教授。訳書:アンソニー・ギデンズ『近代とはいかなる時代か?』1993年。同『国民国家と暴力』1999年。同『ギデンズとの対話』2001年(いずれも而立書房)など。

佐藤泉
1963年生まれ。青山学院大学文学部教授。著書:『漱石 片付かない〈近代〉』NHK出版、2002年。『戦後批評のメタヒストリー ─近代を記憶する場』岩波書店、2005年。『国語教科書の戦後史』勁草書房、2006年。共著:新城郁夫編『沖縄・問いを立てる3 攪乱する島─ジェンダー的視点』社会評論社、2008年、青山学院大学文学部日本文学科編『異郷の日本語』同、2009年など。

平田雅博
1951年生まれ。青山学院大学文学部教授。著書:『イギリス帝国と世界システム』晃洋書房、2000年。『内なる帝国・内なる他者─在英黒人の歴史』同、2004年。共編書:北川勝彦・平田雅博編『帝国意識の解剖学』世界思想社、1999年。伊藤定良・平田雅博編『近代ヨーロッパを読み解く─帝国・国民国家・地域』ミネルヴァ書房、2008年。平田雅博・小名康之編『世界史のなかの帝国と官僚』山川出版社、2009年など。

書評

[週刊金曜日 2011/10/14]

語り継がなければならない歴史を語る側(特に被害者)は、抑圧に直面する。だからこそ、いかに継承するかということが問題になる。

[出版ニュース 2011/6/15]

沖縄での集団自決をめぐる記憶の問題では、自らの目的を達成するために創作された「記憶」によって悲惨な集団自決が政治的に利用され、沖縄戦の実 相そのもの歪曲されようとしていることを明らかにし、沖縄戦の語り部たちの語りの内容を分析し、「追想・追悼」「体験の開示・共有」を契機に戦争 体験者たちの思いや体験のとらえ方に変化があることを報告している。

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