●NRとは?
NRは1969年に小出版社9社によって結成。以来30年間、独立不羈と自由奔放を旗印にジャーナリズムの最前線を駆け抜ける。社会問題から思想、科学、サブカルチャーまで、大資本のコマーシャリズムとは一線を画し、パワフルながらもチョッと小粋な出版活動を続ける姿はまさに元祖インディーズ!
加盟出版社(亜紀書房・インパクト出版会・雲母書房・三元社・社会評論社・新幹社・新泉社・柘植書房新社・同時代社・七つ森書館・風媒社)
お問い合わせは
NR出版会事務局 http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs
〒113-0033東京都文京区本郷2-3-10 お茶の水ビル303号 TEL03-5689-3886/FAX03-5689-3887
●1969→1999
1969年8月、当時、社歴5年以下、社員10名以下の小出版社が集まって「NRの会」は誕生した。1968年からはじまった全世界的な学生反乱と60年文化が開花するなかで誕生したNRは、反骨・反体制・反権力の色彩が強い出版団体であり、NRとは、ノンセクト・ラジカルの頭文字をとったものと、伝えられている。
1970年2月、<現代思想選書>セットが組まれ、書店で好評を得た。70年代には、宇井純『公害原論』(亜紀書房)、荒畑寒村『谷中村滅亡史』(新泉社)、永山則夫『無知の涙』(合同出版)など、大きな反響をよぶ本が続々と会員社から刊行された。ウーマン・リヴが結集した『女・エロス』(社会評論社)の定期刊行がはじまったのも70年代である。
大手出版社に先駆けて、こうした公害問題、エコロジー、フェミニズム、人権問題など、新たな社会思想の分野における問題提起をなす出版物が刊行された。
一方、取次との取引条件など、とくに再版制度廃止の動きに対し、78年にはNRを中心として小出版社80社を結集し、“出版流通対策協議会”(略称・流対協)を発足させた。今日も、流対協は100社におよぶ加盟社のもとに、その活動はさらに活発化している。
80年代に入り、技術と人間(82年)、第三書館(83年)が加入した。月刊誌『技術と人間』は、現代科学技術、とくに核文明への鋭い批判を展開した。1983年9月、三省堂本店と協力して「われら地球派・1983年エコロジスト宣言」フェアを実施し、これを機に主要書店への環境問題コーナー設置を働きかけた。戸村一作『小説・三里塚』(亜紀書房)、安藤登志子『北富士の女たち』(社会評論社)、山口武秀『権力と戦う住民たち』(柘植書房)など、70年〜80年代の全国の住民運動の記録も数多く刊行された。
「暴走族シリーズ」でベストセラーを生み出した第三書館は、『マリファナ・ナウ』(81年刊行)などで、サブ・カルチャーの分野に新たな領域を切り開き、若い読者の支持を得た。
金蒼生『わたしの猪飼野』(風媒社)、吉岡増雄『在日朝鮮人と社会保障』(社会評論社)、山本リエ『金嬉老とオモニ』(創樹社)など、在日外国人の人権や民族文化をめぐる出版分野も活発になされた。現在、新幹社がこの分野で積極的な出版活動を行っている。
そのほか、80年代のベストセラーには、『中島みゆき-ミラクルアイランド』(創樹社)、松本均『交番のウラは闇』(第三書館)などの警察批判本、『悪魔の詩』(新泉社)がある。『悪魔の詩』をめぐっては、イスラム教徒の抗議デモが行われ、後には訳者が刺殺されるという衝撃的な事件が発生した。
こうした各社の出版活動と平行して、NRは、広告・販売促進・用紙の仕入れなどの共同化をはかり、コスト削減を目的に1976年、NR出版協同組合として法人化した。出版経営のあらゆる業務、印刷、倉庫、金融など、協業化によって加盟社の経営改善に役立てた。しかし、90年代に入り、長期大不況とともに会員社が経営危機に見舞われ、また制作過程の多様化などのため、1996年、協同組合を解消し、販促活動を主軸とする出版団体として再出発した。
この間、加盟社はかなり入れ替わった。現在の会員社は、亜紀書房、インパクト出版会、雲母書房、三元社、社会評論社、第三書館、同時代社、風媒社、新幹社、新泉社、柘植書房新社の11社である。代表幹事は松田健二(社会評論社)が務めている。事務所は本郷に設置し、板垣事務局員が勤務している。
現在、出版業界も大きく変容しているが、福祉、教育、医療、人権などをめぐる社会問題をはじめ、アジアを軸とする国際情勢、文化、歴史、思想をめぐる主張など、NR各社は、多様な分野で出版活動を行っている。基本的に、大資本のコマーシャリズムと一線を画したパワフルな出版活動を持続している。
NR創立以来、「マルクス死後100年」「環境問題」「全共闘」「管理社会」「原発事故」「天皇制」「家族」など、時代の要請するさまざまなテーマで、ブックフェアを実施してきた。本年の読書週間に合わせて開催されるブックフェア「これが元祖インディーズだ!」は、NR30年の軌跡をあますところなく映し出すものであり、各社の持続する出版の原点を示すものとなるであろう。