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書評


2005年

秋田県における朝鮮人強制連行』 / [毎日新聞 0あきたワイド] 2005/12/20

朝鮮半島から県内の鉱山などに強制連行された人たちの調査記録をまとめた「秋田県における朝鮮人強制連行」が出版された。96年5月に発足した「秋田県朝鮮人強制連行真相調査団」が10年間にわたって続けた調査と証言の記録で、調査団の代表委員を務め、毎日新聞「とうほく彩発見」も執筆している野添憲治さん編著。

甦れ! 労働組合』 / [週刊金曜日2005年12月9日号] 2005/12/9

JR総連現副委員長である著者が、冒頭では福知山線脱線事故を切り口にして企業社会とそのなかに編みこまれた労働運動が生産現場にどのような状況を生み出しているか、を検証する。

台湾・少年航空兵』 / [西日本新聞] 2005/11/28

旧陸軍少年飛行兵で戦後、台湾の国民党独裁統治時代に政治犯として投獄された台湾人の黄華昌さん(七六)が、自らの大変をつづった「台湾・少年航空兵-大空と白色テロの青春期」を日本語で出版した。戦前の日本統治時代の台湾社会や特攻隊員として訓練を受けた飛行兵時代、「白色テロ」と呼ばれた国民党政権の弾圧など、激動の日台現代史を描いている。

秋田県における朝鮮人強制連行』 / [図書新聞] 2005/11/25

野添さんが事務局長を務める県朝鮮人強制連行真相調査団の41回に上る現地調査報告と、連行された朝鮮人らの証言などを集めた労作となっている。同調査団は8年5月に発足。これまで調査されることのなかった県内の朝鮮人強制連行に光を当てる作業を続け、この10年間で73事業場、1万4295人の所在を明らかにした。

秋田県における朝鮮人強制連行』 / [北羽新報] 2005/11/25

野添さんが事務局長を務める県朝鮮人強制連行真相調査団の41回に上る現地調査報告と、連行された朝鮮人らの証言などを集めた労作となっている。同調査団は8年5月に発足。これまで調査されることのなかった県内の朝鮮人強制連行に光を当てる作業を続け、この10年間で73事業場、1万4295人の所在を明らかにした。

秋田県における朝鮮人強制連行』 / [世界へ 未来へ 9条連ニュースNo.132] 2005/11/25

著者は、県内でおこなわれた朝鮮人強制連行という事実を掘り起こして次世代に伝える責務がある、との思いで調査活動を続けてきました。本書は、その10年間の調査活動の結晶です。多くの鉱山での強制労働の実態、朝鮮人連行者の証言と目撃した日本人の証言など、埋もれていた慟哭の歴史に光をあてている貴重な一冊です。

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甦れ! 労働組合』 / [出版ニュース2005年11月月中旬号] 2005/11/5

著者自身が副委員長を務めるJR総連の国鉄民営化後の経験、とりわけJR西日本の組合分裂工作の激しさと、安全より収益を優先する企業体質のなかでの「安全の追求」の闘いを振り返り、この「安全の追求」という課題が労働運動のなかに正しく位置づけられたとき、労働運動は混迷を脱して、新たな道に踏み出すことができると説く。

エコール・ド・パリの日本人野郎』 / [東京新聞 出版情報] 2005/11/3

社会評論社から「玉川信明セレクション 日本アウトロー列伝」(全五巻)が刊行開始。玉川信明(1930-2005)は大正期のアナキスト群像などを掘り起こした社会評論家。自由の思想を実践した近代日本の異端者を紹介したコレクションで、武林無想庵ら一九二〇年代にパリに集った芸術家を描いた『エコール・ド・パリの日本人野郎』

共謀罪と治安管理社会』 / [週刊金曜日] 2005/10/21

民主主義と自由を破壊する治安法の出現で、市民一人ひとりは監視・管理体制に組み込まれる。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [週刊金曜日  No577] 2005/10/14

世の中は大概、青臭い正論を基盤に動いてはいない。「まともな労組を作って、会社を少しでも良くしたい」との「まともな」熱意は、どこまで通用するのだろうか。会社に属して生きていくしかない企業労働者として、組織のしがらみと向き合いながら、どこまで妥協しないでいられるだろうか。経営者は時に、社内に「異分子」が現われると必要以上に怯え、排除しようとするものだ。どこかに疚しいことがあればなおさらである。「一億総中流時代」が終わり、所得格差が広がる中、経営側、つまり支配者側と渡り合える「弱者の代弁者」の労組が果たす役割は、ますます強まっているはずだが、現状はあまりにも心もとない。その意味でも、松沢氏の闘いぶりは、日本の企業労働者の一つの励みになるはずだ。 [評者 菊地正憲・ジャーナリスト(元・北海道新聞記者)]

樺太・シベリアに生きる』 / [東京新聞] 2005/10/9

樺太やシベリアに残され、現在もそこで生きる日本人たちにとって日本の戦後六十年とは何であったのかが問いかけられる。編著者は彼らの帰国支援運動を支えてきた日本サハリン同胞交流協会事務局長。自らも樺太生まれで小学生のとき小樽に転居、高校卒業まで生活した。

台湾・少年航空兵』 / [サンデー毎日 サンデーらいぶらりぃ まだある「戦後60年」の本 ] 2005/10/9

語られなかった一人のアジア人の「戦後60年」、その背後には数多の黄さんがいることだろう。著者は日本語で本書を書き上げた。

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フジサンケイ帝国の内乱』 / [日本ジャーナリスト会議、機関紙「ジャーナリスト」10月号] 2005/10/5

ジャーナリスト運動の源のひとつは労働者としての闘いだ。著者の松沢弘さんも御 用組合に叛旗を翻し、反リストラ産経労を結成。そのため産経グループで不当配転- 解雇という攻撃を受け裁判闘争を闘っている。この本は12年に及ぶ闘いの記録である とともに、特異なメディア企業、フジサンケイグループを知悉する著者のジャーナリ ズム論となっている。著者の斬新なメディア論によれば、日本社会には暗黙の位階制 がありメディア業界も例外ではない。官界では財務省、経産省が上位というようなこ の序列感覚で、新聞社では朝日が最上位、読売はずっと下、産経はさらに下だ。自衛 隊派兵などに対する朝日の及び腰は民衆意識の深層変化の反映ではないか。権力機構 が唯一相手にするのは、現体制の優れたイデオロギー装置である朝日新聞。民衆に とって朝日への関与と監視こそ最重要だと著者は説く。

脳死論議ふたたび』 / [Kokutai] 2005/10/5

日本の移植事情の推移をたどりながら、弁護士や小児科医、報道関係者など、さまざまな分野の人々が臓器移植法改正に当たり、どうあるべきかを強く問いかけます。「脳死は人の死か」という壮大なテーマを改めて考えてみませんか。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [パイプラインNo.467] 2005/9/30

反リストラ産経労委員長の松沢弘さんは、すごい人だと思う。数年前にビデオ映画の主役を務めたかと思うと、今度は単行本を出版した。題して、『フジサンケイ帝国の内乱』。副題は、「企業ジャーナリズム現場からの蜂起」となっていて、これだけでもセンセーショナル^だ。単行本といっても、約300ページの大作。 第1部4章の「企業ジャーナリズムの批判原理」を読むと、昨今のメディアのテイタラクぶりの根底に横たわる世界と要因がはっきりと掴み取れる。経験で得た 知識と批判精神で、メディア業界に切り込んでいく文章には、説得力があり迫力もある。松沢さんの批判精神は、まさに「カッティング・エッジ」と言ったら褒 めすぎだろうか。 [評者 辻新一]

フジサンケイ帝国の内乱』 / [サンデー毎日9月18日号] 2005/9/18

本書は日本工業新聞記者の著者が、フジサンケイグループという巨大メディアの内側から見た買収問題の本質を解説。同時にグループ内の抗争や、ともすればあらゆるメディアが陥る危険性をはらむ企業ジャーナリズムへの批判など、著者自身の体験をもとに21世紀のメディアのあり方を問う。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [週刊文春9月15日号] 2005/9/15

世間を賑わせたライブドア対フジテレビの戦いの過程で、フジサンケイグループの闘争の歴史が明らかになった。同グループの元記者が実態をレポートする。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [せいそう労働者第891号] 2005/9/10

本書は、こうした解雇撤回闘争の克明な記録とともに、その背景としてのフジサンケイグループの暗黒支配の実態や内部の権力争いを明らかにしてくれる。さらに現在の日本のマスメディアの腰抜けぶりを、まっとうなジャーナリストとして鋭く批判する。おおいに共感した。松沢さんとは、争議支援の「けんり総行動」などで知り合っていたが、本書を読んで改めて、厳しい闘いの中で発する人間としての温かさを感じた。多くの仲間にぜひ読んで欲しい。 [評者 押田五郎(東京全労協議長、東京清掃労組組織部長)]

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東アジア・交錯するナショナリズム』 / [沖縄タイムズ2006] 2005/9/6

このようなナショナリズムの再燃に対して冷静な人々でも、その現象が外交関係や経済活動へ与える影響、「東アジア共同体」の形成には関心を寄せている。各国のナショナリズムに目を向け、その「復活」現象の性格や特徴を歴史的に解明する上で、進行中の実態を多角的に考察するアプローチが欠如している中、本書はそれを埋めようとする意欲的な一冊である。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [人民新報] 2005/9/5

松沢さんは、総行動などの場でつねに、「争議に勝って、一記者に戻り、労働者に敵対ばかりしている産経新聞を変えたい」とその思いを述べている。産経新聞はますますその極右路線をすさまじいものにしているが、改憲、アメリカの戦争政策の支持、反アジア・排外主義の産経新聞がどうなるかは、そこで働く労働者のみならず社会的に大きく影響する。巨大マスコミ資本との粘り強く闘いに共感を持つ労働者だけでなく、日本政治の考える多くの人にも一読を薦めたい。

日本の植民地図書館』 / [図書新聞] 2005/9/3

ところでこの「外地」であるが、その来歴や統治形態など千差万別であり、ひと括りにするには無理がある。そこで経営された図書館も、その設置目的や利用対象などさまざまで、一概に述べることは難しい。その難事業に挑み、戦前期日本が近隣アジア諸国で経営した植民地図書館の活動を概説したのが本書である。」

フジサンケイ帝国の内乱』 / [よこすか便りNO.48 通算109] 2005/8/15

元フジサンケイグループ論説委員の松沢さんは、会社のリストラ合理化に反対する新 しい労組を立ち上げ、その委員長を引き受けたことで、懲戒解雇に処せられました。 それから12年、長い長い戦いを続けていますが、その一部始終を記したのが本書で す。ただただ敬意を表し、応援せずにはいられません。それにしても、フジサンケイ は株主の意見一つ聞く耳を持たず、暴力で封じるとは。大企業とはそういうものです か? [評者 松本弘子(よこすか便り発行人)]

フジサンケイ帝国の内乱』 / [思想運動] 2005/8/5

1960年代後半から70年にかけての学生運動を経験し、失意に陥り、就職後、一旦は「でもしか記者」「企業内ジャーナリスト」に甘んじたという筆者は、労組結成、反解雇闘争の中で言わば再び覚醒し、特に労働運動の重要性を痛感する。そのリアリティーに基づき世相を見つめた“マス・メディアの実体は、「情報、言説」という商品を扱って利益拡大を目指す企業に過ぎない”“日本が本格的な戦争に取り組むとしたら、それは、戦争の悲惨を知る世代が残る自民党ではなく、松下政経塾出身者の居並ぶ民主党によってではないか”“「民営化」という曖昧な言葉の本来の意味は「私有化、私企業化」であり、その使命は利益の極大化-銭儲けでしかない”などの言及は示唆に富み、教えられるものが多い。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [労働情報8月15日・9月1日合併号] 2005/8/5

本書は具体的で面白い。ホリエモンとフジテレビの争いはもとより、悪名高き「産経残酷物語」や日枝久一派による鹿内一族の追放劇、フジテレビの前近代的な暴力的株主総会。そしてマスコミの本性にまつわるできごとの数々を縦横無尽に切り刻み、まな板の上にのせる。同業者の恥部は報道しないというマスコミ界の暗黙の合意が行き渡っているからなのか、腰の引けたマスコミの力のない文体に慣らされた目には、著者の容赦なく本質を抉り出す筆致はまことに新鮮に映ることだろう。まっとうなジャーナリズムとはこうでなくっちゃ、と思わずうなずく一冊。そしてマスコミ界だけでなくあらゆる現場で呻吟する労働者への連帯の一冊だ。 [評者 村上茂樹(ジャーナリスト)]

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フジサンケイ帝国の内乱』 / [週刊東洋経済] 2005/7/30

「評者(斎藤貴男)が日本工業新聞(現紙名=フジサンケイ ビジネスアイ)に在籍していたころ、一回り上の先輩に、有名な特ダネ記者がいた。松沢弘、通称・デカ松さん(同姓で優しいチョロ松さんとの対比で)。新入りの若造にはちょっぴり怖い存在だった。あれから二十余年。デカ松さんはご用組合しかなかった産経グループにまともな労組を立ち上げて不当配転を強いられ、依頼、無能なくせに下にだけは強い経営陣と戦い続けてきた。『フジサンケイ帝国の内乱』(社会評論社)は、その戦いの記録である。グループの支配者はこの間に幾度も替わった。社員たちはその度に「王様は死んだ、新しい王様バンザイ!」の態度を取ったという。〈ここには、価値を生み出す主体としての労働者意識は、その欠片もない〉と嘆じるデカ松さんの思いはいかばかりか。」 [評者 斎藤貴男(ジャーナリスト)]

日本の植民地図書館』 / [北海道新聞] 2005/7/24

戦前、日本が侵略・占領したアジア各地に作られた図書館に、初めて焦点を当てた日本近代図書館史。内国植民地として北海道、樺太の図書館にも触れている。

日本の植民地図書館』 / [日本経済新聞] 2005/7/17

前略~そこから見えてくるのは支配層のための道具、もしくは大衆を強化するための装置としての図書館だ。それは日本が近代化の中で、図書館を社会的にどう位置付けてきたかの投影でもあった。学校教育が第一で、図書館はそれを補助し、思想を善導する機関としての役割を負っていた。だから日本国内では到底実現できない、理想の姿を旧植民地に求めた図書館人もいた。翻って、そうした歴史を歩んだ日本の図書館は大戦を経て転換を遂げたのか。著者は否定的である。改めて、図書館とは何かを考えさせる。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [連合通信特信版] 2005/7/5

元産経新聞社記者の松沢氏が自らの経験を基にフジサンケイグループの非民主的な姿を描きつつ、企業にとって労働者や消費者とは何なのかを問う一冊。企業の社会的責任(CSR)が注目されているなか、時宜をえた出版です。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [がんばれ闘争団ともにGO! News No.54] 2005/7/5

本書は痛快だ。ホリエモンとフジテレビによるニッポン放送の株争奪戦、悪名高き産経残酷物語やフジテレビの暴力的な株主総会の告発。そして企業ジャーナリズムの本質、マスコミの実態、フジサンケイグループの内実にまつわる事象を縦横無尽に切り刻む。ぜひご一読をおすすめしたい。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [著者の学生時代の友からのメール書評] 2005/6/5

御著,読ませていただきました。凄まじい闘いの様は想像を越えていましたが,争 議報告にとどまらぬ,シャープなメディア分析論・記者幻想論etcに感心しながら読 み進めました。消えることのない文学への志も,しかと受け止めました。私も好きな ・最後に引かれた黒田三郎の詩を読み終えた時には,柄にもなく厳粛な気持ちになっ てました。記者を配偶者に持つ知人に紹介したら,早速購入したようです。

昨年、(多分最後の勤務地となるかもしれない)関西に単身赴任しましたが、その 前の秋だったか、東京の神田神保町で、大学時代の共通の友人・木島君に遭遇し,貴 君の争議について詳しく様子を聞くなど長話をしました。関西に見える機会があった ら,ご一報ください。なんなら一夜の宿も提供します。

最高裁勝利を念じています。がんばってください。

湘南高校時代に貴君が作詞した浦和高校との提携歌を時々口ずさみます。作曲者は 小学校からの先輩で、東京・竹橋近辺に勤務しているはずです。                            

Aより。 注=A氏は、著者が早稲田大学時代、学生運動の中で出会った友人で、第一次早大闘 争や、ベトナム反戦運動の先頭に立って行動した。

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フジサンケイ帝国の内乱』 / [社会評論(小川町企画編集、スペース伽耶発行、星雲社発売)2005 Autumn No.143] 2005/6/5

経営再建の掛け声の下、会社の意を戴し組合員を抑えつける一方の超御用組合を何とか「普通の組合」にしようと奔走した著者が、組織内での努力の限界を感じ、新しく企業内組合の枠を乗り越え、マスコミ界初の横断的合同労組「労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会」(反リストラ産経労)を立ち上げてから十一年、著者自身への不当解雇処分を撤回させることを柱とする労働者の権利擁護の闘いが克明に報告されている。これにより、フジテレビを頂点とする「フジサンケイグループ」の労働者のみに犠牲を強いる前近代的、人権無視の経営実態が改めて白日に晒されたと言えよう。

(中略)

そして七一年から三十四年聞、ジャーナリストとして働いた体験を踏まえ、権力に媚びへつらうマスコミの現状を憂え、「なおも、ためらいを見せる形で、翼賛体制への屈服を、あと半歩のところで踏みとどまっている、イデオロギー装置・朝日に対して、意見を集中すべきだろう。さらに言うなら、メディア批判に代わって、個々の民衆意識の深層に直接働きかけ、権力そのものを代えるような行動こそが必要なのだ。私のささやかな抵抗も、そうした行動と方位を同じくしたい、と念じている」と自分たちの闘いを位置づけている。

(中略)

不安定労働と賃下げによって不況からの脱出をはかろうとする独占資本に対し、労働者側の反撃は余りに立ち遅れているが、本書が闘いへの励ましとして多くの人に読まれるよう期待したい。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [大岡みなみ(池添徳明=元新聞記者)ホームページ] 2005/6/5

労働組合結成を理由にフジサンケイグループから 解雇された松沢弘さんの本書は、そうした松沢さん自身の奮闘ぶりを報告しているだけでない。前半部分では、フジサンケイグループの「右翼路線」の実情や非 民主的な企業体質を、ライブドア・ホリエモンの動きと絡めて分かりやすく解説しながら批判。さらに、企業ジャーナリズムの限界とメディアのあり方にまで、 論評の筆を振るっているのが特徴だ。経済記者としての取材活動を背景にした指摘は説得力があり、本書はまさに松沢さんならではの一冊だろう。記者の武器は 取材ノートとペン(キーボード)である。これこそ「闘う記者」の真骨頂ではないかと思った。

フジサンケイ帝国の内乱』 / [作家・大西赤人がホームページで松沢弘著「フジサンケイ帝国の内乱」に言及] 2005/6/5

本当に大事な事は「民営化」の意味するところな のだが、先頃読んだ本(松沢弘・著『フジサンケイ帝国の内乱』社会評論社・刊)には、「民営化」について啓蒙される記述があった。国鉄の分割・民営化を自 らの最大の功績と自賛する中曽根康弘首相が、後年、“国鉄改革は、国労を崩壊させること、引いては総評を崩壊させることを明確に意識していた”と公言して いる旨《むね》が記された後、こう続く。

「この政治課題を支えた経済思想が、『民営化』だ。ILO文書などで、国鉄の分割・民営化は『division and privatization of JNR』と英訳されている。この『privatization』
は、 英英辞典などでは『transfer from State to private ownership=国家から私的所有に移すこと』と説明されている。フランス語では『privatisation』で『私企業化』と訳される。そのもと となるラテン語の『privatum』は、ズバリ『私有物、個人財産』の意味だ。つまり、『privatization』とは、日本語で正確には『私有 化、私企業化』と訳されるべきものにほかならない。ところが、日本では『民営化』、つまりは、『政府などの公的機関に属さない民衆の側の経営』との曖昧な 表現に転化され、あたかも、それが経済的・社会的な進化であるとのイメージさえ振りまかれている」。

共謀罪と治安管理社会』 / [インパクション148] 2005/4/5

審議入りを前後にして、新聞各紙や週刊誌でも次々と反対の見解や問題点が明らかにされ、二冊の単行本(『共謀罪と治安管理社会』足立昌勝監修・社会評論社、『「治安国家」拒否宣言-「共謀罪」がやってくる』斎藤貴男/沢田竜夫編・晶文社)も刊行された。
[評者]安藤裕子(破防法・組対法に反対する共同行動)

ある日本兵の二つの戦場』 / [歴史学研究 第813号] 2005/1/4

「その[戦闘の]究極の結末は、人間の殺戮である。国家や集団の生き残りにかんするイデオロギーの問題や政治問題がどうであっても、敵と接触した一人の兵隊を動かす動機は、自分を殺そうとする者たちを殺さなければならないということである。戦闘行為の根底にあるのはこの単純な精神にうらづけられた衝動にほかならない」。戦場で戦闘する兵士にとっては連合国軍も日本軍も関係なく、ただ人間を殺すという一点に全神経を集中させる。そういう状況を作り出してはならない。そのためにはどう考えどう行動すればよいのか、近藤一の語りを中心に構成された本書は、このことを我々に問いかけている。 [評者 松村高夫]