トップ > 書評
2010年
『ニセドイツ1』 / [ハニカム 2010年3月号] 2010/3/1
すでに各界で話題騒然の本書。そこは当然「オモロもの」としての評価が多数なのですが、かなりこれは、感動的な名著なのではないか。「デザインと人間」「いかに人類の普遍的精神生活に『文化』が不可欠なのか」といったことを、(もちろん、笑ったあとに)深く深く考えこまされてしまう。おそらく世界的にも類例のない、でっかい仕事を成し遂げてしまった一冊ではないか。
『イモとハダシ』 / [琉球新報] 2010/2/28
本書は気鋭の沖縄近現代史研究者である鳥山淳編集の下、5名の研究者が執筆した。1972年の「日本国復帰」をまたぐ形で、変動しながらも継続する軍事的占領体制を、開発経済や新自由主義の進展の文脈から問いただす意欲的書物だ。
『長寿 叢書・いのちの民俗学2』 / [朝日新聞群馬県版] 2010/2/23
そして、まわりの者が長寿と認識することによって「長寿銭」が用意される民俗事例をもとに、「長寿」は単純に年齢で区切ることは出来ないと述べています。読後、最近論議されている75歳から「後期高齢者」とする発想は、人間の尊厳を無視してはいないかと考えさせられ、新たに憤りをおぼえました。
『ニセドイツ1』 / [西日本新聞] 2010/2/21
「みんなが平等」を目指したその国では、どこか懐かしく、微妙に勘違いした製品が続々と作り出されていた。工業製品や建築物、生活用品、出版物などを陳列した驚きのカタログ本。
『ホモ・ファーベル』 / [図書新聞] 2010/2/20
いずれも労働を「人文主義精神の嵐」の再興の一環として位置づけようとする著者の問題意識が底流に流れている。それはベルグソン的な「生の飛躍」とマルクスに象徴される「権利としての労働」との文明論的な「綜合」の試みであったともいえよう。
『ニセドイツ1』 / [中部財界] 2010/2/16
ベルリンの壁崩壊から昨年で二〇年が経過したが、本書は東ドイツ国営企業が作っていた製品を通してかつて存在した共産主義国家を取説書的な語り口で伝える筆致が秀逸。
ダンボールで出来ているという伝説もあった乗用車「トラバント」をはじめ東西両ドイツに存在した「カール・ツァイス」、我儘なタイプライター「エリカ」など代表的な製品が多数紹介されている。
『生涯学習とアソシエーション』 / [読書新聞] 2010/2/5
アソシエーションを生み出す民衆側のヘゲモニーは自発的諸個人が相互に教えあって協同意志を作る過程として論じられ、この点に著者の主張の眼目があるようだ。
『狙われた「集団自決」』 / [歴史地理教育 2010年2月号] 2010/2/1
本書では、時系列で主に大江・岩波裁判の経過や論点などが解説されている。二〇〇五年五月、「自由主義史観研究会」が立ち上げた「沖縄プロジェクト」や、その動きを懸念して開かれた同年一〇月の第一口頭弁論の様子などがていねいに解説されているので、途中からこの問題に関わった人たちにもわかりやすい。
『ニセドイツ1』 / [本の雑誌] 2010/2/1
ソ連と同様、二十年ほど前に消滅してしまったのが、やはりオリンピックのメダル大国だった「東ドイツ」こと、ドイツ民主共和国。ダンボールでできているという伝説もあった乗用車「トラバント」に代表される工業製品や、チープな生活用品の数々を、懐かしい色使いの図版満載で紹介しているのが、ドイツ現代史の研究者である伸井太一さんが、「ドイツ研究と情報エンターテインメントの架橋をひそかに意図」したという『ニセドイツ1・2』(社会評論社一九〇〇円)というカタログ的な二冊です。
[評者 金子のぶお]
『企業の戦争責任』 / [出版ニュース 2010年2月号] 2010/2/1
著者は、これらの全ての事業所を「慰霊と取材の旅」で回ってきたが、本書は北海道から九州に及んだ旅の全記録である。現地では証言や地元に残る資料を探し、遺骨を安置した寺を訪ね、慰霊碑に花を供えてきた。そこでは解放後の中国人たちと交流したという心温まる話もあれば、事実を隠しておきたいといって取材に応じない企業の実態も明らかにされる。
『ニセドイツ1』 / [Old-time] 2010/2/1
ベルリンの壁崩壊から2009年で20年が経過したが、同書は東ドイツ国営企業が作っていた製品が、いかにニセモノ臭いかという切り口でカタログチックに紹介。東ドイツ自体をそのまま論じるよりも、製品の背後事情を解説することによって、東ドイツ共産主義体制の矛盾や愚かさなどをユーモラスに浮き彫りにするのが狙いという。
『ゾルゲ、上海ニ潜入ス』 / [図書新聞] 2010/1/30
本書は、中国で初めて公刊された本格的なゾルゲ事件の研究書である。中国語の『諜報の巨星ゾルゲ』(上海・学林出版社、二〇〇二年)、新版『リヒアルト・ゾルゲ―ある秘密諜報員の功績と悲劇』(上海・辞書出版社、二〇〇五年)の日本語版である。著者楊国光は、長く中国新聞社駐日特派員・東京支局長をつとめ、日本語・日本事情にも明るいため、中国での反響やその後の世界での研究状況を踏まえて自ら日本語訳を作り、新たな書き下ろしを加えて決定版に仕上げた。これまで日本及び欧米中心に進められてきたリヒアルト・ゾルゲ、尾崎秀実らの反戦・諜報活動についての学術研究に、新たな重要な資料と視覚をもたらした。
[評者 加藤哲朗]
『釜山港物語』 / [統一日報] 2010/1/20
以来、日本との縁は切れ、1966年、釜山に日本総領事館が開設されると同時に現地職員の第一号として採用された。今、秉大さんは波瀾万丈の領事館職員としての勤務を終え、身寄りのない日本人妻のために力を尽くす。
『いんちきおもちゃ大図鑑』 / [AERA] 2010/1/18
いんちき商品とニセモノ商法とは明白に違う。いんちき商品は人を欺くために作られるのではない。元のキャラクターでどこまで遊べるか試しているのである。マルセル・デュシャンがモナリザに髭を描いたように。ここには騙して儲けようという邪な“精巧なコピー”は一つもない。こんなの作れるかおまえらっ、という豪胆な亜細亜のヘンテコ魂が清々しく渦巻く。
[評者 湯浅学]
『ゾルゲ、上海ニ潜入ス』 / [信濃毎日新聞] 2010/1/17
中国のゾルゲ研究家による本書は、驚くべき史実を掘り起こし、希代のスパイの知られざる半身にスポットを当てた。後に中国首相となる周恩来との秘密接触。国民党との攻防。東アジア現代史を動かした国際情報戦の内幕を明かす。
[評者 加藤哲朗]
『兵庫の大震災と在日韓国・朝鮮人』 / [東洋経済日報] 2010/1/15
95年1月17日、兵庫で被災した在日韓国・朝鮮人の「震災体験」記録。倒壊した家屋から日本人夫婦を助け出した民族学校関係者などの救援活動から、同胞の被x害者、復興活動中に「在日外国人」として味わった苦悩などが語られる。
『企業の戦争責任』 / [毎日新聞] 2010/1/12
野添さんが訪ねた強制連行の現場は、北海道58▽東北9▽関東・中部・近畿39▽中国・四国・九州29。多くは語り継がれることもなく、廃墟と化していた。加えて、鉱山・炭鉱や工場を経営していた各社の社史の中でその事実が記録されているのはほんのわずかにとどまっている。
『アイヌときどき日本人増補改訂版』 / [信濃毎日新聞] 2010/1/10
北海道に大量の移住者が押し寄せた明治以来、日本政府はアイヌ民族に過酷な同化政策を強いてきた。差別的な「北海道旧土人保護法」は1997年まで存続した。そのなかでアイヌ民族は、固有の文化の伝承と学びに取り組み、奪われた権利の回復を目指してきた。写真家の著者は20年近く、首都圏で今を生きるアイヌの人々を追い続ける。
『企業の戦争責任』 / [東北新報] 2010/1/5
本は、関係者への聞き取りや残された資料を基に、連行にかかわった企業の実態や戦争の責任を問う内容となっている。
各地で出会った多くの人が、強制連行の記憶から目をそらそうとする中、数は少ないながら慰霊碑の存在や歴史を掘り起こす人たちがいたことで、勇気づけられたという。
『ニセドイツ1』 / [朝日新聞] 2010/1/4
もしもこの本の題名を読まずに、中身をたまたま覗(のぞ)いたとしたら、奇妙な商品カタログと思ってしまうかもしれない。第一巻は自動車やテレビなどの工業製品、第二巻は日常生活品の写真がずらりと並ぶ。無骨(ぶこつ)なデザインでありながら、どこか愛嬌(あいきょう)をたたえたものが多い。高度成長期の日本の製品とも似た気配がある。
[評者 苅部直]
『ニセドイツ1』 / [日刊サイゾー] 2010/1/4
東ドイツというと、浦沢直樹『MONSTER』(小学館)や、第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画『善き人のためのソナタ』など、陰々鬱々としたマッドな共産主義国家、といったイメージが強いが、実際のところどうだったのだろう?この『ニセドイツ1 ≒東ドイツ製工業品』『ニセドイツ2 ≒東ドイツ製生活用品』は、ベルリン在住のドイツ文化研究者でありフリーライターの伸井太一(のびい・たいち)氏が、旧・東ドイツのヘンテコな工業製品・生活用品についてまとめた本だ。商品から文化、政治的背景まで詳細に記され、いたるところダジャレが満載、ユーモアたっぷりの内容だ。
[評者 平野遼]
『日録・大杉栄伝』 / [週刊朝日] 2010/1/1
弟・勇は震災と、兄と帰路を共にしなかったことで、二度、生き延びた。16年後、息子をもうける。その子供は長じてTBSに入社、1999年、退職。それから10年後、2009年秋、齢七十にして『日録・大杉栄伝』を出版した。そう、同書の編著者・大杉豊である。虐殺された宗一とは別の、もう一人の大杉栄その人の甥っ子だった!
『ドラマ解読』 / [社会評論] 2010/1/1
井上のドラマ批評の魅力は、この短い一編に凝縮されていると思う。家父長制の当時を現代の鏡に映し出し、男に都合良く描かれた女と男をフェミニストの視線でメスを入れ、ドラマを解読していく。
[評者 長島伸也]
『企業の戦争責任』 / [救援 2010年1月号] 2010/1/1
人生の締めくくりに、四国遍路や百寺巡礼、鈍行列車全線乗車などする話題はつきない。そういう中で野添さんはたった一人で、中国人に対する日本人の戦争責任を双肩に担い日本全土を巡礼した。その経費は最低で一千万円以上。66歳から73歳にかけての、絶望の旅であった。
『トロツキー暗殺と米ソ情報戦』 / [図書新聞] 2010/1/1
不要になった工作員は、本部の諜報機関からつねに捨て去られる運命にあることは、「世紀の国際スパイ」といわれたソ連軍事諜報員、リヒアルト・ゾルゲの例が、示している。トロツキー暗殺犯ラモン・メルカデルも、そうではなかったのか?
真実を覆い隠す「歴史の闇」は、想像以上に深いことを、痛感させる著作である。
[評者 日露歴史研究センター代表・白井久也]
『いんちきおもちゃ大図鑑』 / [ナックルズEX 2010年1月号] 2010/1/1
ニセモノ王国・東アジアの笑えるバカおもちゃが盛りだくさん!! めまいのようなカルチャーショック!
『いんちきおもちゃ大図鑑』 / [ゲームラボ 2010年1月号] 2010/1/1
ロボット化したトー○スなど、元ネタに似せる努力を放棄した謎のキャラクターたちは、まさにカオス。そこには「パチモノ」のひと言では片づけられないサムシングがある!?
『いんちきおもちゃ大図鑑』 / [Will 2010年1月号] 2010/1/1
中国、韓国、台湾を中心に売られているパチもん玩具の数々。精巧なコピー商品や海賊版は許せないが、似せる気すらない『いんちき』なら笑って許してしまいそう。合体する「機関車トーマス」や、自転車に乗った「ウルトラマン」など爆笑必至。だが、玩具からは『日本への意識』と『文化、技術の途上過程』が読み取れる。貴重な”生”の文化的資料だ。
『いんちきおもちゃ大図鑑』 / [Lightning 2010年1月号] 2010/1/1
本のカバーを見れば一目瞭然。ニセモノおもちゃの究極の大全集。中国・香港・台湾・韓国ではアヤシイ玩具、コピー商品が横行している。でもそれをただただニセモノとして一言で片付けるのは……と考え、文化的差異や感受性の違い、民族性のギャップ、経済格差、技術格差の多方面から、おもちゃを通して考える。浅いようで深い?本だ。
『いんちきおもちゃ大図鑑』 / [BUBUKA 2010年1月号] 2010/1/1
我が国の常識をはるかに超えるアジア各国の玩具事情を、衝撃エピソードを交えて紹介。マニアもそうでない人も、仰天爆笑間違いなし!!



