●[リテレール 2003/12月号]
パトリック・ミニョン『サッカーの情念』
「このフランスの老社会学者には頭が下がる。スタジアムへ足を運び、サポーターと化し、冷静な分析をする。ナショナリズムが純粋に形成されるというのは大嘘だ。リージョナル(地域主義的)な視点との抗争なくしてはあり得ない。(陣野俊史=批評家)」
●[東京新聞 2003/11月30日]
猪熊博行『風の民』
「本書は、ナバホの工芸や文化にふれた三年間のリポートとも言うべきもの。精霊世界との交信を語る有名なナバホの砂絵、美しい銀細工、信仰や結婚式、言語の問題など、アメリカ文化のはざまで生きるナバホの困難な現状が報告されている。」
●[河北新報 2003/11月24日]
石渡博明『昌益研究かけある記』
「『思想』が独り歩きしがちだったが、研究者の努力で次第に生身の昌益、歴史的実在としての昌益が少しずつわれわれの前に姿を現しつつある。著者は神奈川県出身、東京都在住。安藤昌益の会事務局長を務め、月一回、昌益の原典を読む会を続けている。」
●[北鹿新聞 2003/11月18日]
石渡博明『昌益研究かけある記』
「必ずしも体系的ではなく、編年的でもないが、逆にそのときどきの論争の焦点、昌益研究者の関心を集めたり、話題となっていた出来事などが浮き彫りとなり、それが個々の章節にある種の臨場感を与えている。学術書ではなく、昌益に関する随筆集の趣。」
●[読売ウィークリー 2003/11月16日号]
梅本浩志『島崎こま子の「夜明け前」』
「ハイライトは『愛断ち』――つまり別れである。二人の仲は二重に裂かれる。島崎家の決定として、さらに当の藤村の手によって、裂かれた。愛を断たれたこま子は以後、驚くべき変身を遂げる。京都大学の、今でいう過激派サークルに関係し、革命者としての道を歩む。国家権力から容赦のない弾圧を受ける。しかし、こま子はひるまない。なぜ、それほど『ラジカル』なのか。作者は、そこに藤村との激しい愛と別れを見る。藤村は『夜明け前』の執筆を決意し、こま子との関係を整理。愛を断たれたこま子だからこそ、後に自身の『夜明け前』を行動で書き下ろしたのだとする作者の筆致は、冴え渡る。」
●[デーリー東北 2003/11月14日]
石渡博明『昌益研究かけある記』
「なぞに満ちた昌益像を解明するために、ひたむきに資料発掘に打ち込む姿勢とそこから生じる発見の喜びが、この『かけある記』から伝わってくる。示唆に富んだ本書の提言は今後の昌益研究に大いなる道しるべとなろう。(三浦忠司=八戸市史編纂室室長)」
●[東奥日報 2003/11月10日]
石渡博明『昌益研究かけある記』
「石渡さんは、私の古書店のお客でもあり、井上ひさしさんなども入っておられる安藤昌益の会を発足した時から、私も参加させていただきました。……石渡さんは埋もれている昌益の史料をその執念で何度か探し当てました。そのことの経緯がこの本にはドタバタ喜劇のように描かれております。中には、ガセネタもあり、贋物もあり、そのたびに振りまわされている苦労がミステリーのようにわくわくさせながら読ませます。(木村宏=古書店経営・青森市)」
●[東京新聞 2003/11月9日]
鵜飼清『酔虎伝説』
「長らく出版編集の仕事に携わってきた著者が、自らの半生に『沖縄』と『阪神タイガース』を織り込んだ風変わりな自分史の物語。……なによりも酒を愛した彼らとの交友録から、信念を曲げずに生きた『酔虎』の群像が浮き彫りにされる。」
●[共同配信 2003/11月]
猪熊博行『風の民』
「著者は三十年以上前にアメリカで偶然の機会からナバホ・インディアンの織物に魅せられた。次第にその背景にある独特の宇宙観や自然と調和した『美の中を歩む』という価値観に対する関心が深まった。……記述はナバホの歴史、文化、生活様式そのものに関する部分と、著者の学んだ様子とに分かれるが、むしろ後者の方―アメリカにおける少数者が自己の価値観を守るためにどのようなカリキュラムに基づいて教育を行っているのかということ、そのものに興味を引かれた。(春名徹・作家)」
●[共同配信 2003/10月]
梅本浩志『島崎こま子の「夜明け前」』
「島崎藤村とめいのこま子。二人の道ならぬ愛は周囲から許されることなく、別々の人生を歩んだ。……本書は、二人の軌跡をパラレルに追う。特に資料に乏しい別離後のこま子の足跡を慎重に再現しつつ、明治維新に『天皇制ユートピア』の実現という夢をかけた藤村の父親の姿に重ねていく。」
●[読売新聞 2003/10月19日]
梅本浩志『島崎こま子の「夜明け前」』
「島崎藤村は姪こま子との不倫関係を長編『新生』で告白したが、その後のこま子の実像を探り、彼女の人生を浮き彫りにする。……こま子の藤村文学に占める意味を詳細に検証、藤村研究に話題を投じる労作だ。」
●[東京新聞 2003/6月8日]
島川雅史『[増補]アメリカの戦争と日米安保体制』
「アメリカでは政府秘密文書の公開が進み、『小笠原・沖縄返還時の秘密協定』『日本への核持ち込み』『極東方面軍・太平洋方面軍の核戦争計画』などが明らかになった。アメリカはこれまで、在日米軍を使って何をどのように行ってきたのか。秘密文書の分析から、戦争の目的と戦略、日米安保体制の実態を解明している。」
●[週刊金曜日 2003/5月23日]
白井久也編著『国際スパイ・ゾルゲの世界戦争と革命』
「……日本敗戦の前年、一九四四年一一月七日に刑死した国際スパイ、リヒアルト・ゾルゲは魅力的な男だった。
その四九年の生涯は日本を代表する映画監督・篠田正浩さん(七三歳)をひきつけ、六月に封切りする新作『スパイ・ゾルゲ』を一〇年がかりで作らせている。
この本で篠田さんはその製作意図を語っているが、『物凄い女たらし』であり、大酒飲みでオートバイの酔っぱらい運転で大怪我をしたゾルゲは、およそ“忍者”らしからぬ男だった。
……『ゾルゲを通して昭和時代をとらえ直す』仕事に篠田さんは一〇年をかけた。『朝日新聞』モスクワ支局長として旧ソ連時代に在任した編集者の白井久也さんらにとっても、ゾルゲは日本を映す外界の鏡だった。(坂本龍彦/ジャーナリスト)」
●[東京新聞 2003/4月6日]
人権と報道連絡会・編『検証・「拉致帰国者」マスコミ報道』
「本書は、これまでの『拉致』報道を徹底的に検証した本である。『家族会』あるいは『救う会』とマス・メディアとの『奇妙な共存現象』、その『メディアが自主性を喪失していく経緯』において、一体何が隠されたのか、何が消されたのか、何が侵害されたのか。一連の報道を丁寧に見直す作業の中から、六人の論者はひとつひとつ明確にしていく。(吉田俊実/メディアの危機を訴える市民ネットワーク)」
●[週刊読書人 2003/4月4日]
白井久也編著『国際スパイ・ゾルゲの世界戦争と革命』
「今回……第二回シンポジウム記録で旧ソ連資料を網羅した本書が加わり、長く流布してきた伊藤律供述端緒説やゾルゲ=独ソ二重スパイ説はもとより、もっぱら日本の特高資料に頼ってきた事件の解明を抜本的に刷新する条件が整った。……当時のアジアにおける戦争と平和をめぐる情報戦の全容が見えてくる。(加藤哲郎/一橋大学院教授)」
●[日本経済新聞 2003/3月31日]
菅孝行『〔増補〕戦後演劇』
「小劇場ブームや劇団四季、九〇年代の担い手の鐘下辰男や平田オリザらを取り上げ、公共支援の重要性が叫ばれるようになった時代の変化にも言及する。」
●[東京新聞 2003/3月23日]
武藤一羊『帝国の支配/民衆の連合』
「9.11テロ以後の世界を米国=将軍家による“グローバル幕藩体制”とみる本書によれば、イラク攻撃は“藩とりつぶし・天領化”で、しかも、はや“幕末”を迎えているという。幕臣=日本国の運命やいかに? 評論集ながら、話題のA・ネグリ/M・ハートの大著、『〈帝国〉』より論旨明快である。」
●[産経新聞 2003/3月4日]
高橋靖夫・奥山忠信『金の魅力 金の魔力』
「二十年間、長期下落傾向にあった金価格が上昇を続けている。この現象を筆者らは『米国の世界戦略によるものだ』と絵解きしてみせる。金価格の長期下落は、為替の固定相場から変動相場への移行と軌を一にしたパワーゲームだった。……この本は金投資の実用的な手引き書ではない。だが、読み進むうち、次第に自分も金に投資してみたくなる。」
●[東京新聞 2003/1月26日]
白井久也編著『国際スパイ・ゾルゲの世界戦争と革命』
「ソ連のスパイとして日本で諜報活動を行い、一九四一年に逮捕、処刑されたゾルゲについての、日露の研究者による論集。情報収集だけではなく一種の政治活動を展開していたことや、学者的な知識と態度を持っていたことなど、多面的に論じられている。」
●[読売新聞 2003/2月12日]
谷島陽子『人生いつでもやり直せる』
「公的機関で30年間にわたって人生相談をしてきたカウンセラーは、過去に扱った事例を紹介しながら問題解決のヒントを論じる。そこには明確なメッセージがある。忍従は美徳ではないし、離婚は罪悪ではない。さまざまな支援団体も活用して自分の人生を取り戻してほしい――。巻末には全国の主な相談機関のリストも収録している。」
●[東京新聞 2003/1月26日]
高橋靖夫・奥山忠信『金の魅力 金の魔力』
「一九七一年のニクソン・ショックによって、金は完全に貨幣の座を降り、商品となった。……その金が9・11の『同時テロ』以後、世界的にブーム現象をまきおこし、特に日本ではペイオフ解禁の安全地帯としてこの金ブームは拡がりつづけている。……アメリカの金戦略の徹底的暴露を敢行した本書は、単なるハウツー物の域を遥かに超えるといえよう。(降旗節雄)」