| 詳報 | 鈴木裕子/著 天皇家の女たち 古代から現代まで 社会評論社刊

メディア掲載

・週刊読書人 2019/5/24 書評「天皇と天皇制を考える 時宜を得た刊行にして、主権者必読の書(評者 渡邊澄子)」
・週刊金曜日 2019/6/7 書評「「血の継承」が苦しめる天皇家の女性の系譜」(評者 石川逸子)


〈吾平津媛(神武天皇の妃)、額田部王女(推古天皇)から皇太子妃雅子、愛子内親王まで〉

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| 詳報 | 吉留昭弘/著 陳独秀と中国革命史の再検討 社会評論社刊 2019年4月

中国共産党創立者の一人であった陳独秀の再評価を起点に、正統史観では闇に葬られてきた歴史の事実に光を当てて、民衆史としての中国革命史を再検討する。

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| 詳報 | 荒木弘文/著 人材革命 AI時代の資本の原理と人間の原理と 社会評論社刊


「30年後の文明や社会、ビジネスシステムの大変動を考察し、ポスト近代型の人材形成をめぐる諸問題を読み解く未来志向の1冊。」東商新聞 2019/7/20

四六判並製144頁 定価=本体1,200円+税
ISBN978-4-7845-1104-4 2019年4月刊

AI革命の時代は始まっている。30年後の文明(社会)システムの大変動を考察し、ポスト近代型の人材形成をめぐる諸問題を解く未来思考的考察。


目 次


プロローグ──「もの、こと」の見方について

第一章 人材形成ことはじめ──準備事項

  • この問題が目に入らぬか!
  • わかりやすいたとえ話
  • 日常化した人材の貧困──人心の腐敗
  • 進歩史観を疑え──「これからの人材」の視点の持ちかた
  • 進歩史観は「一面的」な見かたである
  • 総論と各論の見かたで進歩史観の間違いを正す
  • 裏の側面=法則とは「資本の原理」だった
  • 中間的まとめ
  • 近未来現象
  • 資本の原理はまず道具に働き、つぎに道具は心に働く。AIの本質とは
  • 脳の仕組みを学ぶ=最新の準備事項

第二章 人材形成の本番──実際的、具体的説明

  • 自分のことは自分でせよ
  • 企画能力が不可欠である
  • 資本の原理には、「自分でせよ」が内在していた
  • 事業形態が変わる時代に備えよ
  • 事業形態変動の一事例を
  • 好きで、面白くて、やめられないものを仕事にせよ

第三章 自分形成のために──脳システムの仕組みを知る

  • 本書の新しい視点── 小学六年生までが勝負だという視点
  • 日本人の品質改良
  • 脳システムの仕組みの概要
  • 八つの知性と自我
  • 視覚器(目)の仕事から
  • 脳の仕事=情報処理の開始から終了まで(脳のソフトウエア機能)
  • 自我形成の手順
  • 自我形成の事例
  • 子どもの自我形成の内容
  • 『粘菌少年』の事例紹介
  • 大人になってからでも間に合うこと

第四章 総まとめ──資本の原理と人間の原理と

  • 資本の原理の総まとめ── 資本の原理は「仮想」である
  • 人間の原理の総まとめ── 人間の原理は「実想」である

エピローグ ──「見かた」と「見えかた」について


著者より読者へ

「これからの人材」の実際的、具体的な説明=「本番」は、第二章である。それは、「これからの人材のモデル」を指摘したものである。モデルを目指して、自分で自分の品質改良をすれば一番よい。そこで、早くモデルを知りたいと急ぐ人は、第二章だけを読み、それで済ましてもよい。急がない人は、全部を読んでほしい。

第一章は、本番を読む前に、下準備があったほうがよいだろうと思って、「ことはじめ」=「準備事項」とした(大事な部分だから、ついつい、くどくどと説明が多過ぎたが、悪しからず)。「これまで」は世界史はこのように変動してきたから、それならば「これから」はあのように変動していくだろうという意味(先見の明)を込めて、一応の「まとめ」をしたのである。「まとめ」は、「これからの人材」を考えるうえで「役に立つ」という意味で、「生きている教養」だといいたいのである。

第三章は、第二章の「モデル」を実際に実現するには、生まれたての赤ん坊から「手入れ」をしなければならないという、新しい視点を扱った(乳幼児を持つ親ならば、必考である)。また、なぜそのような手順を踏まなければならないかに関して、「脳システム」の話にも若干触れたのである。

第四章は、あらためて「資本の原理=本質」を明確にして、「まとめた」ものである。「資本の原理」(人工の世界)を知るには、「人間の原理」(自然の世界)と照らし合わせて見なければ「十分なもの」にはならない。「これまでの人材」(株式会社人間)は株式会社の経営に当たり、「人間の原理」と照らし合わせた人は、一人もいないのではないだろうか。私は、そう思っている。「これまでの人材」の頭の中は、産業革命以来の「産業資本主義」(株式会社の拡大)方式を「当然のこと、よいこと」として、それが「常識」となってきた(もしかして「悪いこと」ではないかという疑いを持ったことがないだろう)。三〇年後の「ポスト産業資本主義時代」=IT革命時代の隆盛期では、その「よいことという常識」が崩れるのである(株式会社の黄昏)。

(プロローグより抜粋)


著者紹介

荒木弘文 あらき ひろふみ 1939年生まれ。1963年、新潟大学人文学部社会科学学科卒業。1971年、中央大学大学院博士課程法学研究科満期退学。1995年より、中国山東理工大学教授、中国吉林大学北東アジア研究院客員研究員、中国武漢大学国家招聘教授などを歴任。帰国後は、総合思考アドバイザーとして活動している。著書に、『中国三千年の裏技』(社会評論社)『総合科学論入門―自然と人工の統一』(講談社)などがある。

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| 詳報 | 寺島善一/著 評伝 孫基禎 スポーツは国境を越えて心をつなぐ 社会評論社刊

各紙で紹介!

・東京新聞こちら特報部 2020/2/19「「日本」背負わされた朝鮮出身選手 1936年五輪マラソン金 孫基禎さんの苦悩 戦後は日韓友好に尽力 金メダルなお日本のもの 尊厳の回復遠く」で紹介されました。
・東亜 2019年9月号 Book Review on Asia「今月の一冊」評者・嵯峨隆
・図書新聞 2019/8/31 「戦前期の大東亜ではなく、活性化する「アジア」として スポーツによって国という境界を超えたマラソンランナーの生涯」評者・植田隆
・J-CAST BOOKウオッチ 2019/8/11 「日本唯一の男子マラソン金メダリスト」が箱根駅伝に出られなかった理由
・毎日新聞夕刊 2019/5/23「祖国なきランナーの願い 植民地生まれ、日韓交流に尽力 金メダリスト 孫基禎さん評伝」
・ランナーズ 2019年7月号「走る伝道師・山西哲郎先生のランニング書評」欄
・東京新聞 2019/5/11 この人欄
・しんぶん赤旗 2019/5/6 スポーツ面 「日韓指導者心の〝たすき〟 故小出監督と孫基禎さん」
・しんぶん赤旗 2019/4/24 潮流欄
・しんぶん赤旗 2019/4/21読書面 「オリンピック精神体現した生涯」(評者・春日良一)
・東亜日報 2019/4/18「孫基禎先生のスポーツ平和の精神 悪化した韓日関係をほぐすのに絶対必要」 [단독]“손기정 선생의 스포츠 평화 정신, 악화된 한일관계 푸는 데 꼭 필요” http://news.donga.com/3/all/20190418/95105221/1


1936年ナチス政権が開催したベルリンオリンピック。日本代表としてマラソン競技に出場し、金メダルを獲得した孫基禎。その波瀾にみちた生涯とスポーツに託した夢に迫るドキュメンタリー。

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| 詳報 | 社会学者の見たマルクス─その生涯と学説 フェルディナント・テンニース/著 片桐幸雄/訳 社会評論社刊 2019年3月刊

1887年に『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』を上梓し、新たな歴史発展理論を提唱したドイツ社会学会の重鎮が1921年に刊行したカール・マルクス論。

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| 詳報 | やすいゆたか/著 天照の建てた国☆日本建国12の謎を解く 万世一系の真相 社会評論社刊 2018年3月発売

思わずかじりつきたくなる日本古代史12の謎。

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1970年代にはじまった〈演劇革命〉の時代状況の中で、つかこうへいは登場した。62歳の若さで逝去したこの劇作家の戯曲・舞台・小説は、わたしたちに何を手渡そうとしたのか。14 人の著者がそれぞれの視座から、新しい演劇状況を生み出した稀有な劇作家の世界をひもとく現代演劇史研究の集大成。

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| 詳報 | 田上孝一編著 支配の政治理論

A5判並製270頁 定価=本体2400円+税
ISBN978-4-7845-1566-0 2018年12月刊


編者序文より

本書は2017年2月に同じ社会評論社より刊行した『権利の哲学入門』の続編として企画されたものである。

前著では現代社会を考えるに当たっての鍵概念として権利を選び、新進気鋭の若手研究者を中心とした執筆陣による力作を集めることができた。幸いにも前著は好評をもって迎えられ、執筆に参加した若手研究者にとっても有益な研究業績とすることができた。今回の本ではこの実績を踏まえて、権利と同じように現代社会を考える上で重要な概念になると思われる、支配の問題を取上げる。

前著の序文では、人間にとって必須な存在の内に、人間生活にとって重要であればあるほど、それへのニーズが常に満たされ、その存在自体が意識されないのが望ましいものがあるとして、まさに権利はそのような存在の一つではないかと指摘した。権利が意識されるのは往々にしてそれが損なわれている状況においてであり、権利が満たされている場合に人は権利それ自体を意識しないものだと述べたのである。

今回取上げる支配も、権利同様にこうした関係が成立するのではないかと思われる。多くの人が集い社会を形成する以上は、常に何らかの利害対立が生じざるを得ない。この際、対立が社会自体を解体せしめるまでに先鋭化しないように、利害を調整する必要が生じる。この場合、各個人は何らかの社会規範へと強制されるわけで、このような強制それ自体を支配といってしまえば、人間社会に支配は付き物である。しかし通常はこのような強制一般を支配とは言わない。強制が支配として意識されるのは、本来は適用されるべきではない範囲にまで強制が広がってきた場合である。特に個人生活における自由、とりわけ内面の自由が侵されていると感じたとき、人は強く支配というものを意識するのではないか。支配も権利同様に、過不足なく適用されている場合は、人々はその存在自体を意識しない。権利はその不足が意識され、支配はその過剰が意識されるのである。

実際、支配的な権力を有する為政者は、自らの支配欲を満たす場合は勿論、そのような邪な欲望がなくても、被治者を管理し易くするという官僚主義的なニーズに促されて、支配の領域を常に拡張しようとする傾向を持たざるを得ない。まさにこれこれこそが、現代の日本で起きている現象ではないか。(以下、本書)

田上孝一

《編著者》田上孝一(たがみ こういち)
1967年 東京生まれ
1989年 法政大学文学部哲学科卒業
1991年 立正大学大学院文学研究科哲学専攻修士課程修了
2000年 博士(文学)(立正大学)
現在 立正大学非常勤講師・立正大学人文科学研究所研究員
主要著書 『初期マルクスの疎外論──疎外論超克説批判──』(時潮社、2000年)、『実践の環境倫理学──肉食・タバコ・クルマ社会へのオルタナティヴ──』(時潮社、2006年)、『フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる倫理学』(日本実業出版社、2010年)、『マルクス疎外論の諸相』(時潮社、2013年)、『マルクス疎外論の視座』(本の泉社、2015年)、『環境と動物の倫理』(本の泉社、2017年)、『マルクス哲学入門』(社会評論社、2018年)

目次と執筆者紹介


序文


第Ⅰ部  政治支配の思想史


第1章 プラトンの支配論 ──魂への配慮としての政治

隠岐-須賀麻衣

はじめに
1. 何のための「政治」か
2. 魂への配慮
3. 支配の理論
3–1. 哲学と政治的権力の統合:『国家』の場合
3–2. 法による支配:『法律』の場合
3–3. 二つの支配の交差
おわりに
隠岐-須賀麻衣(おき- すが まい)1985年生まれ テュービンゲン大学客員研究員 政治思想史専攻 博士(政治学)
• 主要業績 「プラトン『ポリテイア』における詩と物語」(日本政治学会編『年報 政治学』2014年I 号、木鐸社、2014年)、『古代ギリシャ語語彙集』
(共訳、大阪公立大学共同出版会、2016 年)、"An Invitation from Plato: A Philosophical Journey to Knowledge"(Paths of Knowledge : Interconnection(s) between Knowledge and Journey in the Graeco-Roman World, Edition Topoi近刊)

第2章 マキァヴェッリの支配論 ──その近代性に関する若干の指摘

村田玲

はじめに
1. 僭主政治の教説
2. 教会権力の問題
3. 喜劇の誕生
おわりに
村田 玲(むらた あきら)1978年生まれ 金沢大学客員研究員 政治哲学史専攻 博士(政治学)
• 主要業績 『喜劇の誕生─マキァヴェッリの文芸諸作品と政治哲学』(風行社、2016年)、"Machiavelli’s La Umana Commedia: key thoughts on understanding his major political works", A Journal of Political Philosophy, No.24, Summer, 2018、レオ・シュトラウス『哲学者マキァヴェッリについて』(共訳、勁草書房、2011年)

第3章 スピノザの支配論  ──個人・社会・国家の安定化機能としての宗教

服部美樹

はじめに
1. 最高権力形成──自然的結合と社会契約論
2. 宗教の意義と機能──服従の教えと喜びの感情の増大
3. 国家の基礎にして庶民の社会倫理としての啓示宗教
4. 各政体と教会制度
おわりに
服部美樹(はっとり みき) 政治思想専攻
• 主要業績 「17世紀ネーデルラント共和国と啓蒙──ネーデルラント・カルテジアンとスピノザ」(佐藤正志編『啓蒙と政治』、早稲田大学出版部、2009年、所収)、「スピノザにおける神政国家と民主政の関係──法の可能性と民主政の不可能性」(飯島昇藏・中金聡・太田義器編『「政治哲学」のために』、行路社、2014 年、所収)、「スピノザにおけるコナトゥスと自然権(一)」(2002年5月20日「早稲田政治公報研究」第69号)

第4章 アダム・スミスの支配論  ──支配を必要としない社会のしくみを描く

玉手慎太郎

はじめに
1. 本章の課題
2.『国富論』について
2-1. 分業
2-2. 分業と市場
2-3. 分業と自然調和
2-4. 政府と支配
3.『道徳感情論』について
3-1. 同感
3-2. 同感と自然調和
おわりに
玉手慎太郎(たまて しんたろう) 1986年生まれ 東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野特任研究員 経済学専攻 博士(経済学)
• 主要業績:『権利の哲学入門』(共著、社会評論社、2017年) 、"External Norms and Systematically Observed Norms"(Japanese Economic Review, Volume 66, Issue2, 2015)、「健康の自己責任論に対する2つの反論とその前提」(『医学哲学・医学倫理』36号、2018年)

第5章 J.S. ミルの支配論  ──政府の強制的介入を通じた幸福の最大化

小沢佳史

はじめに
1. ミルの功利主義と危害原理
2. 帝国内の属国の人々に対する支配
2-1. 非文明的属国
2-2. 文明的属国
3. 自国の人々に対する支配 (1) ──歳出面
3-1. 未成年者への教育
3-2. 軍隊による治安の維持
4. 自国の人々に対する支配 (2)──歳入面(見せびらかしの消費と飲酒への政府介入)
おわりに
小沢佳史(おざわ よしふみ)1985 年生まれ 九州産業大学経済学部経済学科講師 経済学史・社会思想史専攻 博士(経済学)
• 主要業績 『権利の哲学入門』(共著、社会評論社、2017 年)、「停止状態に関するJ.S.ミルの展望──アソシエーション論の変遷と理想的な停止状態の実現過程──」(経済理論学会編『季刊・経済理論』第49 巻第4 号、桜井書店、2013 年)、「J.S. ミルの保護貿易政策論──一時的な保護関税をめぐって──」(マルサス学会編『マルサス学会年報』第23 号、雄松堂書店、2014年)

第6章 マルクスの支配論 ──生産力の制御とゲノッセンシャフト

田上孝一

はじめに
1. 常識イデオロギーによる支配
2. 支配の本質
3. 被支配者による支配構造の再生産
4. 支配の原因としての分業
5. 愛を原理とするゲノッセンシャフト
おわりに

第7章 ニーチェの支配論  ──「力への意志」における支配概念の考察

飯田明日美

はじめに
1. 奴隷道徳の発生史
1-1. 二千年前の善悪の基準
1-2. キリスト教道徳という「奴隷道徳(die Sklaven-Moral)」の発生
2. 奴隷道徳批判
2-1. ニヒリズムという病(奴隷道徳の育成した人間)
2-2. 弱者の自己欺瞞
3.「力への意志」と支配
3-1.「力への意志」とは即ち支配を求めること
3-2.「支配」の具体像
おわりに
飯田明日美(いいだ あすみ)お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士後期課程 比較社会 文化学専攻 
• 主要業績 「『根源的一者』再考 ──芸術的遊戯としての『根源=一』へ──」(日本ショーペンハウアー協会『ショーペンハウアー研究』別巻3号、2016 年)

第8章 ベルクソンの支配論 ──社会的抵抗の目的と動機

斉藤尚

はじめに
1.『試論』における自由な行為
2. 自由な行為の政治的・経済的意義
2-1. 内的自由の維持としての自由な行為
2-2. 社会抵抗としての自由な行為
①政治的な抵抗の可能性
②経済的な抵抗の可能性
③新たな疑問点
3. ベルクソンと実践
4. 社会的抵抗の道徳性
おわりに
斉藤 尚(さいとう なお)東北学院大学経済学部共生社会経済学科准教授 公共哲学専攻 博士(政治学)
• 主要業績 『社会的合意と時間:「アローの定理」の哲学的含意』(木鐸社、2017年)、“The Transformation of Kenneth Arrow’s Attitude toward War”( 共著,War in the History of Economic Thought: Economists and the question of war (Routledge Studies in the History of Economics), Routledge, 2018)

第9章 フランクフルト学派の支配論 ──〈支配の理性〉と〈支配批判の理性〉

楠秀樹

はじめに
1.「フランクフルト学派」とは何か?
2.〈 支配の理性〉
2-1.『第三帝国前夜のドイツの労働者とホワイトカラー─その社会心理学的研究─』(1929) ──プロレタリアートの統合と知識人の孤独
2-2.『権威と家族』(1936)──小なる権威から大なる権威へ
2-3.『権威主義的パーソナリティ』(1950) と『啓蒙の弁証法』(1947) ── 悲観的支配論
3.〈支配批判の理性〉
3-1.『公共性の構造転換』(1962) ──第一世代から第二世代において継続する悲観的支配論
3-2.『イデオロギーとしての技術と科学』(1968) ──システム支配に対する生活世界の視点
おわりに
楠 秀樹(くすのき ひでき) 1970 年生まれ 東洋大学・東京理科大学非常勤講師 社会学理論・社会学史・社会思想史専攻 博士( 社会学)
• 主要業績 『ホルクハイマーの社会研究と初期ドイツ社会学』(社会評論社、2008年)、『<社会のセキュリティ> を生きる─「安全」「安心」と「幸福」との関係』(共編著、学文社、2017年)、『ケアの始まる場所─哲学・倫理学・社会学・教育学からの11章』(共著、ナカニシヤ出版、2015年)

第Ⅱ部  政治支配と現代


第10章 リベラリズムと支配  ──ロールズのリベラリズムと非支配としての自由

宮本雅也

はじめに
1. 積極的自由と消極的自由の二分法
2. 多元主義とロールズの正当化を重視するリベラリズム
3. 正当化を重視するリベラリズムと非支配としての自由
おわりに
宮本雅也(みやもと まさや) 1989年生まれ 早稲田大学教育・総合科学学術院助手 早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程 現代政治哲学専攻
• 主要業績 『ロールズを読む』(共著、ナカニシヤ出版、2018 年)、「分配的正義における功績概念の位置づけ─ロールズにおける功績の限定戦略の擁護」(『政治思想研究』第15 号、風行社、2015 年)

第11章 コミュニタリアニズムと支配  ──公・私・共の三領域とその緊張関係の擁護

奥田恒

はじめに
1. 応答するコミュニタリアニズムとその背景
1-1. アカデミック・コミュニタリアニズム
1-2. 応答するコミュニタリアニズム
2. 二つの支配への抵抗
2-1. 個人主義批判
2-2. 保守主義との異同
2-3. 自律と秩序のバランス
3. コミュニタリアニズムと政府・町内会関係
3-1. 町内会の基本的特徴
3-2. 緊張関係の維持と「伝統による支配」
おわりに
奥田 恒(おくだ ひさし)1985 年生まれ 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程 神戸学院大学非常勤講師 政治学・公共政策学専攻
• 主要業績 「『ゲームの継続』のための公共政策」(『立命館言語文化研究』28巻1号、2016年)、「『心理的な事実』にもとづく世界の貧困削減」(『人間・環境学』第25巻、2016年)、「ナッジ政策による公共問題解決のアプローチ」(『政策情報学会誌』第11巻第1号、2017年)

第12章 功利主義と支配  ──リバタリアン・パターナリズムの擁護論から

木山幸輔

はじめに
1. 功利主義とは何か
2. リバタリアン・パターナリズムとは何か
3. 功利主義とリバタリアン・パターナリズム
3-1 リバタリアン・パターナリズムを擁護する功利主義?
3-2. J・S・ミルとリバタリアン・パターナリズム 
3-3. P・シンガーとリバタリアン・パターナリズム
4. リバタリアン・パターナリズムの功利主義的擁護論への批判:功利主義と支配
4-1. リバタリアン・パターナリズムとそれを用いる援助構想への支配に関連する異論
(a) 統治の目標における支配:目指される福利についての共約不可能性?
(b) 統治者と被治者の関係における支配:統治者の能力と被治者の無能?
(c) 統治行為の支配化:独創性の妨げとなる心的態度?
4-2. 支配に関して再照射される功利主義とそのありうる応答
おわりに
木山幸輔(きやま こうすけ) 1989 年生まれ 日本学術振興会特別研究員PD 政治理論・開発学専攻
• 主要業績 『ロールズを読む』( 共著、ナカニシヤ出版、2018 年)、「J・ラズの人権構想の検討: 人権の哲学の対立において」『法哲学年報』2016 号( 有斐閣、2017年)、「人権の哲学の対立において自然本性的構想を擁護する:チャールズ・ベイツによる批判への応答」『法と哲学』4号( 信山社、2018年)

第13章 グローバリゼーションと支配 ──植民地主義の悪性を題材として

福原正人

はじめに
1. 植民地主義それ自体の悪
2. 実際の同意
3. 適格な受容可能性
4. グローバルな支配関係
おわりに
福原正人(ふくはら まさと) 1984年生まれ 高崎経済大学経済学部他非常勤講師 政治哲学専攻
• 主要業績 「領有権の正当化理論──国家は何をもって領土支配を確立するのか」『法と哲学』第三号(信山社、2017年)、「人の移動と国境管理ーー参入、離脱、受容可能性」松元雅和、井上彰編『人口問題の正義論』(世界思想社、2018年)、「民主主義の境界画定──正当性と正統性」『年報政治』2018 年度第II号(掲載予定)

第14章 バイオテクノロジーと支配 ──フーコーの司牧権力の観点から

三羽恵梨子

はじめに
1. バイオテクノロジーと医療をめぐる支配関係
2. インフォームド・コンセントの考え方の発展
3. フーコーの司牧権力論
4. インフォームド・コンセントはいかにして専門家支配への抵抗でありえたか
5. ヘルスプロモーション
おわりに
三羽恵梨子(みわ えりこ)1986年生まれ 東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野博士後期課程 上尾中央看護専門学校非常勤講師
• 主要業績 「出力型Brain-Computer Interface に関する倫理的論点とその考察」(『生命倫理』29号、日本生命倫理学会、2018年)

第15章 支配の経済学  ──自由な経済学における二重の支配

笠井高人

はじめに
1. 自由な経済学
2. 経済学による支配
3. 支配された経済学
おわりに
笠井高人(かさい たかと)1986年生まれ 鹿児島大学教育学部特任講師 経済学史専攻 博士(経済学)
• 主要業績 「カール・ポランニーの功利主義批判とベンサムへの評価:二重の運動と社会主義」(『経済学論叢』第68巻第3号,同志社大学経済学部,2016年)、"The Cause of War and Role of People by Karl Polanyi: A Change in Realm of International Relations after The Great Transformation"( Journal of Economic and Social Thought, Volume 4, Issue 1, 2017)、「カール・ポランニーの『複合社会』と公共の射程」(『社会科学研究年報』第47号,龍谷大学社会科学研究所,2017年)

第16章 支配の社会学 ──ウェーバーの支配論

宮崎智絵

はじめに
1. ウェーバーにおける支配の概念
2. 支配の三類型
2-1 合法的支配(legale Herrschaft)
2-2 伝統的支配(traditionale Herrschaft)
2-3 カリスマ的支配(charismatische Herrschaft)
3. 支配の正当性
4. ウェーバー支配論の意義
おわりに
宮崎智絵(みやざき ちえ)立正大学・日本大学・二松学舎大学非常勤講師 社会学専攻
• 主要業績 「カースト社会の< 不浄>・< ケガレ> と浄化儀礼」( 沼義昭博士古稀記念論文集編集委員会編『宗教と社会生活の諸相』隆文社、1998年、所収)、「カースト制における権力と教育の作用」(『二松学舎大学国際政経論集』第17号、二松学舎大学、2011年)、「差別と平等から見るカースト制の形成と構造」(『二松学舎大学論集』第57号、二松学舎大学、2014年)

第17章 支配の神学 ──無支配を目指す未来学

福嶋揚

はじめに
1. 神学とは何か
2. 聖書における「支配」
3.「主」「全能」「力」
4. 社会倫理的に見た「支配」
4-1. 国家と資本への対抗運動としてのバルト神学
4-2. 柄谷行人の交換様式論
4-3. 交換様式論とキリスト教
おわりに─未来学としての神学
福嶋 揚(ふくしま よう)1968年生まれ 青山学院大学・東京神学大学・日本聖書神学校兼任講師 神学・倫理学専攻 神学博士
• 主要業績 Aus dem Tode das Leben. Eine Untersuchung zu Karl Barths Todes- und Lebensverständnis (Theologischer Verlag Zürich 2009)、『カール・バルト 破局のなかの希望』(ぷねうま舎、2015年)、『カール・バルト 未来学としての神学』(日本基督教団出版局、2018年)

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