|刊行情報| 千円札の伊藤博文と安重根 (日韓記者・市民セミナーブックレット9)

外国人に対する入国管理と日本社会——、スリランカ人女性・ウィッシュマさんの名古屋入管死亡事件を機に、その制度の闇が明かされた。そこに現れた差別と排外主義の歴史をたどると、日本による韓国併合に行き着くという。安重根(アン・ジュングン)による伊藤博文銃撃事件を、今どのように捉えるか…。子どもたちに、近現代の歴史を教える学校教育と教科書検定の現在を併せて検証する。

第Ⅰ講 外国人は「害国人」ですか —日本の「入管体制」を検証する
田中宏(一橋大学名誉教授)

第Ⅱ講 日韓関係の危機をどう乗り越えるか -日韓協約の不存在から考える
戸塚悦朗(弁護士)

第Ⅲ講 歴史事実に介入する政府と「つくる会」
鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21 事務局長)


第Ⅰ講 外国人は「害国人」ですか —日本の「入管体制」を検証する
田中宏(一橋大学名誉教授)
一九一〇年の韓国併合条約の第一条「韓国皇帝陛下は、韓国全部に関する一切の統治権を完全かつ永久に日本国皇帝陛下に譲与する」という文言について、「韓国併合が有効であれば、永久に独立できなくなる。条約のつくられ方に問題がある」と述べた上で、日本の朝鮮植民地支配について「何を反省し、その克服のために何にどう取り組むべきか、どういう社会を創っていくべきか、日本はそのことが問われているのではないか」と問いかけます。

第Ⅱ講 日韓関係の危機をどう乗り越えるか -日韓協約の不存在から考える
戸塚悦朗(弁護士)
 一九〇五年の「日韓保護条約」について、①国家代表個人の強制による条約は絶対無効、②条約の原本がない、③条約を批准していない―との理由から「無効、存在しない」と主張します。さらに「『保護条約』で統監になった寺内正毅が署名したその後の『併合条約』は、前段の『保護条約』が法的に無効である以上、統監も無効、不存在である」と結論づけています。

第Ⅲ講 歴史事実に介入する政府と「つくる会」
鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21 事務局長)
「日本維新の会や『つくる会』は『河野談話』を否定しなければ慰安婦の記述が残ることに危機感を持っている。維新の会の議員は日本政府が歴史教育で『従軍慰安婦』や『強制連行』などの言葉を一掃することが、中国、韓国に対して歴史戦で有利に働くと考えている。教科書の記述を政治の道具と考えている」と批判しています。

 

2022年10月14日刊(予約注文)
千円札の伊藤博文と安重根 日韓記者・市民セミナー ブックレット9
裵哲恩/編 田中宏、戸塚悦朗、鈴木敏夫著
定価=本体900円+税 ISBN978-4-7845-1159-4 A5判ブックレット104ページ

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投稿者: 社会評論社 サイト

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