|刊行情報| 石田戢(いしだ・おさむ)著 千葉市動物公園 リスタート園長ガイドブック 社会評論社刊

園長みずから読者を公園入口から出迎え、園内の動物たちを順々にカラーで紹介する趣向で、園長ならではの観察眼で動物の特性や展示の舞台裏を解説するガイドブック!!



著者まえがき


千葉市動物公園はその名のとおり千葉市の設立と管理による動物公園である。熊谷俊人市政が発足してから、千葉市の中期計画は3年毎に「実施計画」として作成されている。平成26(2014)年に私が赴任するのと同時にリスタート構想が発表され、翌年第2次実施計画が策定される年であった。つまりリスタート構想をフォローする形で具体的な事業計画が進められることになったわけである。

着任して3年で第2次実施計画に基づいてライオン展示施設とふれあい動物の里のオープンにこぎつけ、第3次実施計画でチーター、シマウマ、ハイエナなど残りのアフリカ平原の完成を目指している。またウェルカム動物の配置、なんでも動物館の計画、遊び場計画などいくつかのプロジェクトが同時進行している。

動物園は水族館や博物館と比べてみると分かるが、部分的な改築が可能な施設である。反面、一気に施設を変えることができない。動物園を一時的にも閉鎖することはできないからだ。開園して30年たっているから、あちこちとガタがきている。これまであまり改造してこなかったから、リスタートといってもすぐに全部を変えることはできない。ゆっくりと時間をかけた仕事にならざるをえないのだ。

また博物館のように生きた動物の短期展示を催すことが難しい。少なくとも大型動物ならしっかりとした施設を作らないと許可はおりないし、動物の福祉が叫ばれる今日、動物に余計な負担をかけるわけにもいかない。

このように動物は展示対象としては面倒な存在であるが、なんといっても生き物の迫力は何にも抗しがたい。やりにくいということは誰もができることではない、希少価値があるということでもあるのだ。

動物公園では、20ものプロジェクトを同時進行させて、未来の新しい動物公園形成のために準備を進めている。それだけ解決しなければならない課題が多いのだが、その分だけ新しい動物公園に生まれ変わる可能性も高い。これから変わる動物園を展望しながら、今をみていただけると幸いである。

石田戢(石田おさむ)



2018年2月15日刊
石田戢/著(いしだ・おさむ)
千葉市動物公園 リスタート園長ガイドブック
A5判・本文104ページ(カラー80ページ、モノクロ24ページ)
定価=本体1400円+税 ISBN978-4-7845-1919-4

レッサーパンダで全国区になった市営動物園。直面する施設の老朽化と展示の刷新を図る“リスタート構想”を公開。教育事業を強化した未来の新しい動物園構想を提言。

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目次


まえがき

千葉市動物公園の特徴

観 察

❶ サル・ゾーン
フクロテナガザル
ニホンザル・サル山
ワオキツネザル
ブラッザグエノン
フサオマキザル
クロザル
マンドリル
パタスザル
ジェフロイクモザル
エリマキキツネザル
アビシニアコロブス
カオムラサキラングール
ボルネオオランウータン
チンパンジー
ニシゴリラ

❷ 動物科学館の展示 ─教育や情報機能を兼備─
科学館1F夜行獣
デマレルーセットオオコウモリ
ショウガラゴ
キンカジューなど
科学館2Fバードホール
科学館2F小型サル類
マーモセット類
タマリン類

❸ レッサーパンダ、ライオン、キリン回廊
レッサーパンダ
コツメカワウソ
アカハナグマ
アメリカビーバー
ライオン
ミーアキャット
アジアゾウ
アミメキリン
シロオリックス
アフリカハゲコウ
草原の動物たち
グレービーシマウマ
オオカンガルー
フラミンゴ類
マレーバク

❹ 鳥類と水辺の動物
カラフトフクロウ
ヘビクイワシ
イヌワシ/オジロワシ
エジプトハゲワシ
ハシビロコウ
ヒロハシサギ
ヒオドシジュケイ
エミュー
カリフォルニアアシカ
ケープペンギン
水禽池

❺ ふれあい動物の里

❻ 大池

リスタート構想

園長日記より

千葉市動物公園の歴史

あとがき

写真提供:千葉市動物公園

著者経歴 石田 戢(いしだ おさむ)

昭和21(1946)年東京生まれ、東京大学文学部卒、昭和46(1971)年上野動物園勤務、その後東京都公園緑地部、井の頭自然文化園園長、葛西臨海水族園園長、多摩動物公園飼育課長・副園長などを経て、帝京科学大学教授、平成26(2014)年から千葉市動物公園園長、この間、ヒトと動物の関係学会会長、ボルネオ保全トラストジャパン理事長、動物観研究会幹事などを歴任。著書に、『現代日本人の動物観』(ビイング・ネット・プレス、2008年)、『日本の動物園』(東京大学出版会、2010年)、『日本の動物観』(東京大学出版会、共著、2013年)、『どうぶつ命名案内』(社会評論社、2009年)、『上野動物園』『井の頭自然文化園』(東京公園文庫)など多数。動物園学と日本人の動物観を専門としており、特に動物園動物学、動物園利用者の動物嗜好と園内での行動、生命と虐待をめぐる日欧の動物観比較、ペットへの命名などに興味をもって研究を進めている。またボルネオの熱帯雨林の保護活動も行っている。

投稿者: 社会評論社 サイト

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