|刊行情報| 櫛田民蔵 マルクス探求の生涯 石河康国/著 社会評論社

掲載情報
『大原社会問題研究所雑誌』779・780(2023・9・10)[書評と紹介]欄掲載(評者・榎一江氏)

マルクスへの道を泥臭く歩み続けた壮絶な生涯をひも解く。

櫛田民蔵(一八八五〜一九三四)は、日本におけるマルクス経済学の開拓者である。その史的唯物論の探究は河上肇を瞠目させ、大内兵衛をして業績を後世に伝えさせた。

ブルジョア経済学との論争の火ぶたを切ったのは民蔵である。小泉信三など最先端の面々を、ほとんど一人で相手取って価値論争を展開した。戦線は河上肇の「価値人類犠牲説批判」から、地代・小作料をめぐって野呂栄太郎らへと拡大した。

櫛田民蔵が人々を惹きつけてやまないのは、マルクスへの道を泥臭く歩み続けたその人生である。一向に洗練されず、おもねらず、いわき地方の濃厚な土の匂いを感じさせ、マルクスと格闘した男の壮絶な最期を、長谷川如是閑は「学徒としての殉職」と称した。

主要目次

第1章 彷徨せる若者

第2章 社会政策のゆりかごの中で

第3章 古典派経済学とマルクス経済学

第4章 『共産党宣言』と唯物史観に着目

第5章 河上肇の胸を借りて

第6章 唯物史観に沈潜

第7章 河上肇を越えて

第8章 マルクス派の分化のなかで

第9章 価値論争

第10章 河上肇との緊張と別れ

第11章 地代論争・小作料論争

第12章 早逝と定まる「値打ち」

著者 石河康国 いしこやすくに 著書に『労農派マルクス主義 理論・ひと・歴史』(上・下巻ともに品切れ)『マルクスを日本で育てた人 評伝・山川均』(1・2巻)『向坂逸郎評伝』(上・下巻)など多数ある。

2021年3月下旬刊
櫛田民蔵 マルクス探求の生涯

石河康国/著
定価=本体2500円+税 ISBN978-4-7845-1877-7 A5判並製256頁


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向坂逸郎評伝 全2巻

大正~昭和にかけマルクスに人生をかけた人々の姿を浮かび上がらせ、近代日本の政治・思想史を照射する向坂逸郎評伝。

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[上巻主要目次]
第1章 晩生の若木
第2章 野に放たれた虎
第3章 ファシズムと対峙
第4章 日本資本主義論争
第5章 戦中と戦時下をしのぐ
第6章 戦後戦略論議と『資本論』三昧
第7章 『前進』と『経済学方法論』のころ

A5判並製432頁
定価=本体4,000円+税
ISBN978-4-7845-1848-7
[下巻主要目次]
第八章 左派社会党とともに
第九章 スターリン批判をはさんで
第十章 六〇年三池闘争前後
第十一章 構造改革論争、『マルクス伝』
第十二章 社会主義協会の発展
第十三章 最後の奮闘
第十四章 最晩年
主要論文初出と再録一覧 向坂逸郎年譜

A5判並製416頁
定価=本体4,000円+税
ISBN978-4-7845-1849-4

マルクスを日本で育てた人評伝・山川均(全2巻)

今こそ生きる山川均。その全軌跡を克明にたどる初の本格的評伝

没後半世紀以上たって今なお理論的生命力が感じられる日本の社会主義者は山川均を措いていない。どこかで育った「マルクス」を移植するのはなく、日本でマルクスが生まれたらこう行動するだろうと探求したのが山川だった。第1巻は、社会主義運動の成長期における彼の卓越した仕事を追う。

*第1巻主要目次
第1話 早熟な青年
第2話 飛 躍
第3話 「方向転換」と第1次日本共産党
第4話 孤 高—福本イズム
第5話 「労農」—傾注と失意
第6話 筆の力
山川均年譜(Ⅰ) 

A5判並製272頁
定価=本体2600円+税
ISBN978-4-7845-1533-2
*第2巻主要目次
第七話 ファシズムへの論陣
第八話 急暗転
第九話 民主人民戦線
第一〇話 模索—『前進』時代
第一一話 左派社会党
第一二話 歴史のうねりを俯瞰
第一三話 晩 年
あとがき その後の「山川均」と現代
山川均年譜(Ⅱ)

A5判並製320頁
定価=本体2800円+税
ISBN978-4-7845-1540-0

投稿者: 社会評論社 サイト

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