|刊行情報| 万人が使える科学の新定義 世界観転換のすすめ 荒木弘文/著 社会評論社

万人が使える科学の新定義

養老孟司の理論を社会科学に応用した科学的解説。他者の追随を許さない舌鋒の鋭さはまさに怪説であり、しかしその核心は人類社会が抱える限界といかに向き合って行くべきかの提言にある。前著『人材革命』と対をなす学問論。


*本書「前文」より

基本用語は、①新定義 ②全体知 ③新世界観である。この本は、二〇世紀までの世界観の転換を促しているものである。

二一世紀以後の新らしい科学が、これまでの世界観・生活観の転換を可能にするという、科学の「新定義」を提供しているのである。新定義は、科学とは「実体の情報化」である、ということである(養老孟司の理論の導入)。

この新定義は、鳥瞰的な視野であり、自然科学の定義と社会科学の定義とを統一する全体知を示している。これ以外には科学の定義はないという意味で、唯一の定義だということができる。唯一の定義から見れば、これまでの自然科学の定義も社会科学の定義も部分知でしかなかった点が了解されるのである。全体知がなければ、世界観は生まれない。

全体知を獲得した新定義によって、二〇世紀までの二〇〇〇年間にも及んだ欧米の世界観(部分知)が旧世界観と判定されるのである。新定義は、これからの新世界観を構築する基準になるのである。

こうして、この本には、世界観の転換のすすめという役割が込められているのである。


目 次

前文

はじめに

唯一の定義を考える 今西錦司と養老孟司との共通思考 大原理とは 養老の導いた結論

第一章 社会科学も科学になった!? 

明治期の科学の定義 異分野の交流がない―個別科学の全盛期― 科学の正道から外れていく 社会科学は科学ではない 社会科学、経済学の流れ 社会科学の見かた 総合科学分野を確立せよ

第二章 経済の「動的平衡」理論 ―資本のクレブス回路

「クレブス回路」とは 教授は科学者であること 大学の存在理由を考え直せ クレブス回路とは「動的平衡」論である 個別科学と総合科学と 資本のクレブス回路とは何か―私の応用編― 不毛な論争ばかりだった 経験論、プラグマティズムはケセラセラである 資本主義固有の法則―資本の動的平衡論― 資本の構造論は一般論である

第三章 民法の「動的平衡」理論 

商品論―商品の私的性質と社会的性質と― 実用法学としての民法学―所有と契約の法体系― 法解釈学は「科学としての法律学」ではない 理論の言葉的表現―動きつつ動かない―唯一の科学の定義のまとめ―

第四章 自然科学のいう客観性は科学的ではない

西欧の科学思考・概念への批判 科学の客観性とは何か―脳論を対置する― 脳論とは何か マックス・ウエーバーの「社会学」の紹介 続・科学の客観性批判 科学思考は相対的である

第五章 名実論争の紹介

実念論派(孔子)と唯名論派(公孫竜)との論争 名実論争は中国の伝統である 名実論争の現代的有効性 漢字と情報論との関係

第六章 科学は情報科学により完成する

脳機能には二種類がある 客観性とは情報化の第三段階(情報の状態・位置)のことである 客観性、コミュニケーション、グローバリゼーション 情報科学原理は二元論である

第七章 資本主義に関する若干の言及

資本には形があるのか 資本と資本主義とはどういう関係か 資本の本体を追跡する そもそも経済とは何かに一言を 資本主義の変動―総論編― 都市出現の根拠―余剰の発生― 都市は国家を必要とする 都市は機能的に変動する 資本主義の変動―各論編―

第八章 歴史とは何か

事実史と情報史との統一 種社会(今西)と脳化社会(養老)との違い 日常性と非日常性 情報史にはウソ等がある

第九章 世界史情報化の視点―年表作りについて

歴史作成者とその意図 いわゆる中世の扱いかた いわゆる世界史とは 日本史や中国史の場合 私の歴史年表の作りかた 欧米の進歩史観は偏りである 資本主義の歴史年表の作りかた

おわりに ―生態系の復権

著者 荒木弘文 あらき ひろふみ 1939年生まれ。1963年、新潟大学人文学部社会科学科卒業。1971年、中央大学大学院博士課程法学研究科満期退学。1995年より、中国山東理工大学教授、中国吉林大学北東アジア研究院客員研究員、中国武漢大学国家招聘教授などを歴任。帰国後は、総合思考アドバイザーとして活動している。著書に、『中国三千年の裏技』(社会評論社)『総合科学論入門―自然と人工の統一』(講談社)『人材革命 AI時代の資本の原理と人間の原理と』(社会評論社)などがある。

2021年3月下旬刊
万人が使える科学の新定義 世界観転換のすすめ
荒木弘文/著
定価=本体1200円+税 ISBN978-4-7845-1876-0 四六判並製216頁


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