本書では、ウクライナ戦争が米国の「ネオコン」(新保守主義者)と呼ばれる勢力によるロシアへの復讐、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナへの復讐、さらに、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のロシアへの復讐という、三つの復讐の交錯のもとに展開していると論じたい。この復讐という感情がウクライナ戦争の終結を難しくしていることを示すことにもつながる。
*ウクライナ戦争の本質を衝く!
『プーチン3.0』『ウクライナ3.0』続編。
第1部 燃え上がる復讐心
第1 章 ネオコンの復讐
(1)ウクライナは「最新のネオコン災害」
(2)ネオコンの源流と「ポグロム」
(3)起爆剤としてのナショナリズム
(4)マスメディアによる煽動
第2 章 プーチンの復讐
(1)「非ナチ化」を隠すマスメディアの不見識
(2)2014 年へのクーデターへの復讐
(3)プーチンによるナショナリズム高揚
(4)プーチン・シナリオの蹉跌
第3 章 ゼレンスキーの復讐
(1)憤怒がかきたてる復讐心
(2)ユダヤ系のゼレンスキー
(3)ウクライナ移民の復讐心
(4)ロシアの「キャンセル」に動く
第2 部 制裁という復讐
第4 章 復讐精神(ルサンチマン)をめぐって
(1)ニーチェの教え
(2)「互酬性」(reciprocity)という正義
(3)神にささげる生け贄という原初段階
(4)身代わりから贖罪へ
第5 章 復讐から刑罰へ
(1)キリスト教における罪と罰
(2)復讐の精神をそらす宗教
(3)裁判制度
(4)国家による刑罰
第6 章 国際法からみた戦争
(1)ヨーロッパ公法(国際法)の誕生まで
(2)ヨーロッパ公法の誕生と揺らぎ
(3)英国と米国によるヨーロッパ公法への浸食
(4)正戦論のいま
第7 章 復讐・報復・制裁
(1)復讐と報復
(2)国際法上の報復
(3)報復と制裁
(4)二次制裁への批判
(5)帰結主義に傾く欧米
(6)制裁の大義に疑問
(7)「移行期正義」という視角
(8)復讐を阻む「インピュニティ」
第3 部 21 世紀の課題
第8 章 西洋・キリスト教世界への疑問
(1)西洋文明を問う
(2)西洋文明の「咎」
塩原俊彦/著 しおばら としひこ 評論家。陸海空およびサイバー空間にかかわる地政学・地経学を研究。元高知大学大学院准教授。
2022年12月12日刊
復讐としてのウクライナ戦争
戦争の政治哲学:それぞれの正義と復讐・報復・制裁
塩原俊彦/著
定価=本体2600円+税 ISBN978-4-7845-1380-2 A5判並製264頁
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