|刊行情報| マルクス経済学の論点  岐路に立つ世界を読むために  勝村 務/著

資本主義はなぜ続いてしまうのか?

近代の到達点としての現代経済・現代社会は、限界を露呈しつつも、オルタナティヴの提示を簡単に許していないところがある———。マルクス経済学の基礎理論である原論(原理論)についての研究、現代経済・現代社会を解き明かすことを目指す研究、そして、経済学の方法を扱ったエッセイなどマルクス経済学からさまざまな問いを立てている論考を集成。


まえがき(抜粋)

資本主義がなかなか巧妙に組み上げられた強靱な経済体制であり、ちょっとやそっとの「危機」で倒れるようなものではないということ。この認識を、資本主義の基本構造や変容の論理の解明を通じて、あらためて確認していくのは経済学の任務であると思いますが、少なくともマルクス経済学においては、そこに批判的な構えが伴っていなければならないのではないでしょうか。

資本主義のもたらす問題を意識するからこそ、その体制としての強靱さが浮き彫りになるという面もあるでしょうし、資本主義の存続を自明視しないことにより、壮大な構築物の基底に潜む危うい前提やそれらを巧くカバーしてきた仕掛けに目を向けることができるのだと思います。

経済学でありつつ、経済学批判でもあること。経済学批判であるからこそ、経済学として深い考察・分析に逢着できるのだということ。どこか意識しておきたい構えです。


*目次

まえがき

第1篇 経済学の方法をめぐって
第1章  カール・マルクスとキリスト教
第2章  非対称性と外部

第2篇 経済原論研究 
第3章  貨幣の価値と価値形態論
第4章  貨幣の価値を決めるもの
第5章  資本の価値と価値喪失過程
第6章  労働力商品論の課題
第7章  市場価値論における時間
第8章  地代論と生産価格・競争
第9章  地代論研究の問題群
第10章  ミッション志向企業としてのNPO

第3篇 現代社会への視座
第11章  人口減少と資本蓄積
第12章  人口を<再生産>するということ
第13章  世界経済論の焦点としてのアフリカ
第14章  文化経済学とマルクス経済学

第4篇 問いを立てる 
第15章  貨幣と金融:歴史的転換期における理論と分析
第16章  侘美恐慌論をめぐって
第17章  価値論研究の意義と可能性
第18章  経済原論研究への誘い

あとがき


著者 勝村務 かつむら つとむ 北星学園大学経済学部教授。1968年、東京都生れ。認定NPO法人エク・プロジェクト理事長。日本小学生バレーボール連盟競技委員。共編著書:『貨幣と金融:歴史的転換期における理論と分析』(社会評論社, 2013年)。『経済原論研究への誘い』(響文社, 2016年)。共著書:『貨幣・信用論の新展開』(小幡道昭編, 社会評論社, 1999 年)。『模索する社会の諸相』(SG-CIME 編, 御茶の水書房, 2005 年)。

2023年3月14日刊(一般発売 4月6日)
マルクス経済学の論点  岐路に立つ世界を読むために
勝村 務/著
定価=本体2273円+税(税込2500円) ISBN978-4-7845-1897-5 A5判並製304頁


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投稿者: 社会評論社 サイト

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