|刊行情報| キリスト教学校の「犯罪」 明治学院大学〈教科書検閲〉事件  寄川条路 /編

*「学問の自由」シリーズ 第8弾*

明治学院大学事件の概要を説明し、教科書の使用について大学側の主張と教授側の主張をそれぞれ紹介したうえで、裁判所の判断に基づいて事件の要点を整理したものである。本書によって、授業を盗聴したり教科書を検閲したりして、教員を調査し排除していたキリスト教学校の「犯罪」が告発される。

序 章 「明治学院大学事件」の概要 
第一節 授業盗聴から教員解雇までの経緯
第二節 労働審判委員会の調停
第三節 東京地方裁判所の判決
第四節 東京高等裁判所の和解案
第五節 大学側と教授側の主張を踏まえた裁判所の判断

第一章 教科書が不適切なので解雇する―大学側の主張
第一節 キリスト教大学への誹謗中傷―『教養部しのろ教授の大学入門』
第二節 倫理学とは関係のない教科書―『教養部しのろ准教授の恋』
第三節 裁判所の判断の誤り
第四節 教授の自由の制約

第二章 教科書検閲は自由の侵害である―教授側の主張 
第一節 新感覚の大学入門―紀川しのろ『教養部しのろ教授の大学入門』
第二節 教養科目の教科書―紀川しのろ『教養部しのろ准教授の恋』
第三節 裁判所の判断について
第四節 第三者の客観的な評価
第五節 教授の授業内容
第六節 明治学院大学のキリスト教主義
第七節 明治学院大学の「排除の論理」
第八節 明治学院大学の「犯罪」と隠蔽

第三章 教科書も授業も不適切ではない―裁判所の判断
第一節 事件の概要
第二節 被告(大学)の主張
第三節 原告(教授)の主張
第四節 裁判所の判断
第五節 裁判所の結論

終 章 「明治学院大学事件」の裁判記録  
第一節 労働審判委員会の調停結果
第二節 東京地方裁判所の判決主文
第三節 東京高等裁判所の和解調書


明治学院大学はキリスト教主義を掲げるプロテスタント系の私立学校である。教員に対しキリスト教組織への隷属を求める明治学院大学は、学校の方針に従わない教員を容赦なく排除してきた。これは私立学校が建学の精神を守っているといえるのだろうか。それとも、特定の宗教を強要することで個人のもつ信教の自由を侵害しているのだろうか。学問の自由、教育の自由、表現の自由の観点から、キリスト教学校の宗教問題を取り上げていきたい。

(はじめにより)


編者 寄川条路
よりかわ・じょうじ 早稲田大学文学部卒業、ボーフム大学大学院修了、哲学博士。愛知大学教授、明治学院大学教授などを歴任。専門は思想文化論。単著『哲学の本棚』『教養としての思想文化』『ヘーゲル』以上晃洋書房。共著『ヘルダリーンとヘーゲル』『学問の自由と自由の危機』『実録・明治学院大学〈授業盗聴〉事件』『表現の自由と学問の自由』以上社会評論社など。


2023年6月5日刊
キリスト教学校の「犯罪」 明治学院大学〈教科書検閲〉事件
寄川条路 /編
定価=本体1000円+税 ISBN978-4-7845-1599-8 A5判ブックレット88頁


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掲載情報

・『情況』2023年秋号「読後感」で取り上げられました。

投稿者: 社会評論社 サイト

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