|刊行情報| 歴史知の百学連環 文明を支える原初性   石塚正英/著

先史・野生の諸問題を通して現在この地球上に生きて存在する意味を問う”文明を支える原初性”シリーズ三部作の完結編。

はしがきより*

前近代の生活文化・精神文化に、現代社会の生活文化・精神文化を支える歴史貫通的な価値や現実有効性(actuality)を見通す知、それが歴史知である。近代ヨーロッパ人のように、科学知・理論知の立場にたつ人の多くは、肉体=身体に対する霊魂=精神の優位を説く。脳死すなわち人の死、という現代的な発想にはこの構えが潜在している。それに対して、ヨーロッパの辺境やその外部地域に生活する多くの人々のように生活知・経験知の立場にたつ人の多くは、霊と肉とを区別したがらない。霊とか精神とか理性とかを認めないわけではないにせよ、人間(精神)も自然(肉体とそれを包み込む環境)の一部であることに、さして異論をとなえない。歴史知的な立場・視座は、その双方の価値や意義を、転倒という構えで以って連結させる。科学知・理論知の立場を転倒させると生活知・経験知の立場に至り、その両極を交互的に連結させる構え、パラダイムが「歴史知」なのである。


 

目次
I 文明を支える先史の精神
第1章 〔講義〕先史の精神あるいはプラトンの相対化
第2章 〔講演〕神話の三類型—天地開闢・国産み・天地創造(成る・産む・創る)
第3章 土偶は植物そのものという新解釈をめぐって—『土偶を読む』へのコメント
第4章 信濃・上野古代朝鮮文化の関川水系遡上という可能性
第5章 親鸞の弥陀と越後の鬼神〔続編〕—今村仁司の親鸞研究を参考に
第6章 プシュケーという幻想態—蝶か息吹か魂魄か

Ⅱ 身体知・感性知による科学文明批評
第7章 〔講演〕マルクス『資本論』のフェティシズム無理解
第8章 物象化論を包み込むフェティシズム史学
第9章 〔講演資料〕アミルカル・カブラルと3A—アート・アウラ・アフリカ
第10章 〔講義〕技術者倫理の二類型
第11章 〔講義〕複合科学的身体論へのいざない

Ⅲ 歴史知の落穂ひろい
第12章 歴史知の落穂ひろい1
第13章 歴史知の落穂ひろい2

Ⅳ 研究生活五〇年記念
第14章 〔講演〕歴史知の知平あるいは〔価値転倒の社会哲学〕―研究生活五〇年記念

石塚正英
いしづか・まさひで 東京電機大学名誉教授。NPO法人頸城野郷土資料室(新潟県知事認証)理事長。著作『石塚正英著作選【社会思想史の窓】』全6巻『革命職人ヴァイトリング―コミューンからアソシエーションへ』『地域文化の沃土 頸城野往還』『マルクスの「フェティシズム・ノート」を読む―偉大なる、聖なる人間の発見』ほか多数

 

2022年6月7日刊
歴史知の百学連環 文明を支える原初性
石塚正英/著
定価=本体3000円+税 ISBN978-4-7845-1889-0 A5判上製328頁


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文明を支える原初性 シリーズ

1 歴史知のオントロギー
2 フレイザー金枝篇のオントロギー
3  歴史知の百学連環 (本書)

投稿者: 社会評論社 サイト

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