出来上がった解釈の提供ではなく、
〈新たな読み〉の可能性を探究する。
G. W. F. ヘーゲルの『精神現象学』(1807 年)をあらゆる角度から検討する包括的な論文集。第Ⅰ部は、各世代を代表する「ヘーゲル読み」が『精神現象学』の各章について自らの解釈を開陳。第Ⅱ部は、より発展的な課題として『精神現象学』にかぎらずヘーゲル哲学のさまざまな側面を現代の社会や思想との関連において捉え直す。
目次
第Ⅰ部 『精神現象学』の新たな解釈
第1章 真なる知に向かう出発点としての『精神現象学』緒論 飯泉佑介
第2章 悟性が「無限性」の世界を把握できないのはなぜか?――「転倒した世界」を手引きとして 久冨峻介
第3章 統覚から精神へ――『精神現象学』「理性」章におけるカテゴリーの展開 小井沼広嗣
第4章 人倫的行為の限界と可能性――無限的な中項としての行為の可能態と現実態 服部 悠
第5章 『精神現象学』における「犠牲」の意味――「宗教」章を中心に 小島優子
第6章 「絶対知」章 原崎道彦
第7章 〈精神とは何か〉の経験と近代――『精神現象学』の実践哲学的テーマ 滝口清榮
第Ⅱ部 『精神現象学』のアクチュアリティをめぐって
第8章 人格と承認――ヘーゲルと福祉思想 片山善博
第9章 ヘーゲルと社会構築主義――ジュディス・バトラーのヘーゲル解釈と美しき魂をめぐって 岡崎 龍
第10 章 芸術の過去性の暴露――『精神現象学』における喜劇的意識の機能 岩田健佑
[コラム] 明石英人、鈴木 覚、周阳、パオロ・リヴィエリ、江澤健一郎
編著者略歴 片山善博(かたやま よしひろ) 日本福祉大学社会福祉学部教授/『差異と承認──共生理念の構築を目指して』(創風社、2007年)、『新時代への源氏学』(共著、竹林舎、2016年) 小井沼広嗣(こいぬま ひろつぐ) 岐阜聖徳学園大学教育学部専任講師/『ヘーゲルの実践哲学構想──精神の生成と自律の実現』(法政大学出版局、2021年)、ロバート・B・ピピン『ヘーゲルの実践哲学──人倫としての理性的行為者性』(共訳、法政大学出版局、2013年) 飯泉佑介(いいずみ ゆうすけ) 京都大学文学研究科・日本学術振興会特別研究員PD/「なぜヘーゲルは『精神現象学』の体系的位置付けを変更したのか」(『哲学』、2019年)、「ヘーゲル哲学における「我々」」(『倫理学年報』、2018年)
2023年1月13日刊
ヘーゲル『精神現象学』をどう読むか 新たな解釈とアクチュアリティの探究
片山善博、小井沼広嗣、飯泉佑介 /編著
定価=本体3200円+税 ISBN978-4-7845-1895-1 A5判上製252頁
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